このページでは、マイカー不要の「車なし生活圏」とみんながマイカーを持つ「車社会」の境界がどこにあるかの結果をまとめています。
今回は東京都の市区町村についてみていきます。
【他県の結果を見る:全体・埼玉県・東京都・千葉県・神奈川県 】
東京は車がいらないとよく言われますが、それはどこまでなのでしょうか。
「車なし生活圏」と「車社会」の境界
マイカーなしで生活できる限界を調べるために、市区町村別に自家用車の世帯平均保有台数を集計しました。
平均して1家に1台以上車を持っている町を「車社会」、1台未満の町を「車なし生活圏」としました。
市区町村別世帯平均保有台数
次の図は、マイカーの市区町村別世帯平均保有台数です。
赤系の色はマイカー保有台数が1台未満の「車なし生活圏」、青系の色は「車社会」です。
赤色が濃いほどみんなが車を持っていない町で、逆に青色が濃いほど車を持っているのが当たり前の町です。
東京都心がある東部はマイカー保有台数が少なく、西部の山間部に近づくとマイカー保有台数が増える傾向がはっきり出ました。
加えて、東京都はマイカーの世帯平均保有台数が1.0を越える「車社会」の町が非常に少ない結果になりました。
東京23区内では軒並み世帯平均のマイカー保有台数が0.5未満ですが、千代田区のみ高めの数値になっています。
これは千代田区は地価が高く人口が極端に少ない(6.7万人)ことが影響した異常値かもしれません。
鉄道路線追加
マイカーを持たない人は通勤や外出に電車を使うため、鉄道路線を白線で追加しました。
東京都は大部分の町に鉄道が通っているため、鉄道路線の有無とマイカー保有台数の関係はわかりにくくなっています。
西部拡大
「車なし生活圏」と「車社会」の境界を細かく見るために、西部を拡大して市町村名を追加しました。
マイカーの世帯平均保有台数が1を下回る「車なし生活圏」の西限は、北から順に青梅市、羽村市、福生市、八王子市という結果になりました。
青梅や八王子など、他県との境界に位置する町でもマイカーの世帯平均保有台数が1.0を下回る「車なし生活圏」です。
ただし、八王子や青梅(河辺)は都心(今回は新宿)からの距離は30 km程度で、これは他の県の場合と同じです。
いずれもJR中央線・青梅線で都心直結の列車が数多く運行されていますが、都心からこれだけ離れた地域でも車なし生活圏が広がるのが東京都の特徴的です。
また、線路自体は八王子や青梅の先まで続いていますが、都心からの多くの列車が高尾駅(八王子市)や青梅駅(青梅市)で折り返します。
これは、埼玉など他県の「車なし生活圏」と「車社会」の境界の町でも見られる傾向です。
マイカーの世帯平均保有台数が1.0を越える「車社会」は、武蔵村山市、瑞穂町、あきる野市、日の出町の4市町です。
武蔵村山と日の出は鉄道が通らない町で、埼玉など他県の車社会の町と同様の傾向です。
あきる野と瑞穂に関しては、鉄道は通りますが都心直結の列車が極端に少ない町です。
埼玉県でも都心直結の路線が通らない町はマイカー保有台数が増える傾向にあるので、これも同じ傾向です。
東京は福生で東西に路線が分かれるため、福生や羽村は東西を「車社会」の町に挟まれているのが特徴的です。
車なし生活圏とイトーヨーカドーの店舗分布
「車なし生活圏」の分布は、おおむねイトーヨーカドーの店舗分布に合致します。
次の地図では、Google Mapで南関東のイトーヨーカドー店舗にピンを立てています。
出典:店舗を探す イトーヨーカドー 2022/11/12閲覧
※出典に記載の店舗について作成
東京都の場合は、都心に店舗が分布していない以外は分布が一致しています。
武蔵村山やあきる野など「車社会」の町には店舗がないのに対し、八王子や昭島、東大和など「車なし生活圏」の境界の町には店舗が分布しています。
都心に店舗がないのは、イトーヨーカドーが大型スーパーであり、地価の高い都心には業態的に展開しづらいためと考えられます。