地形 系統地理

ウェゲナーの大陸移動説(超大陸・パンゲア)

人間の目には地面はずっと静止しているように見えますが、実際には非常にゆっくりと移動しています。
このように地面が移動して大陸や大洋といった大地形が作られるという仮説を大陸移動説といいます。
このページでは、現在主流となっているプレートテクトニクス理論の元となるウェゲナーの大陸移動説について解説します。

ウェゲナーの大陸移動説

ロビンソン図法による世界地図。ロビンソン図法は、地球上の全域を平面で表現する際に生じる様々な問題をふまえ、様々な図法を折衷させて編み出された図法である。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2021/1/7閲覧

世界地図を見ると、南アメリカ大陸の東側とアフリカ大陸の西側の海岸線は、まるでパズルのようにきれいに形を合わせることができます。
これは決して偶然ではなく、かつて南アメリカ大陸東岸とアフリカ大陸西岸はつながっていて一つの大陸でした。
それどころか、3~2億年前頃(古生代末期・ペルム紀~中生代初期・三畳紀)の世界の大陸は全て陸続きであり、パンゲアとよばれる超大陸が存在していました。
超大陸とは、現在存在する大陸が複数まとまって形成された巨大な陸地のことです。
地球は長い歴史の中で、世界中の主要な陸地が1つにまとまり超大陸を形成する時期と、現在のように複数の大陸に分かれた時期を繰り返してきました。


超大陸パンゲアの形と現在の大陸と対応する場所。3~2億年前頃(古生代末期・ペルム紀~中生代初期・三畳紀)には、地球上の大陸は1箇所に集まり、パンゲアとよばれる超大陸を形成していた。パンゲはその後にプレートの移動に伴い分裂し、現在の位置に移動した。出典:Wikimedia Commons, ©en:User:Kieff, CC BY-SA 4.0, 2021/1/8閲覧
超大陸パンゲアの分裂。パンゲアが分裂して現在の位置に移動するの様子をアフリカ大陸に着目して追跡している。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2021/1/8閲覧

パンゲアは地表の大陸が全て1箇所に集まり超大陸を形成していましたが、時間の経過とともに分裂して現在に至ります。
パンゲアはおよそ2億年前に北のローラシア大陸(北アメリカ+ユーラシア)と南のゴンドワナ大陸(南アメリカ+アフリカ+インド+南極+オーストラリア)に分裂しました。
その後長い時間をかけて少しずつ分裂しながら移動して今日の世界の形が作られました。
このように、大陸が地球表面を移動して位置や形状を変化させるという考えを大陸移動説といいます。

大陸移動説は1912年にドイツのウェゲナー(Alfred Lothar Wegener, 1880-1930)が提唱しました。
ウェゲナーは、大陸同士の海岸線の形や氷河・動植物の化石の分布の類似性から大陸移動説を主張しました。
かつて地球には1つの超大陸が存在し、その後に陸地が分裂・移動して現在の形になったと考えたのです。
しかし、当時は「大陸を移動させる物理的な力が何か」という疑問に答えることができませんでした。
当時の常識では大陸を越えた化石の類似性は巨大な陸橋がつながっていたと考える説が主流であり、ウェゲナーが気象学者で地質学は専門外ということもあって、大陸移動説は受け入れられませんでした。

しかし、その後の科学技術の発展で、過去の地球の磁場を調べる古地磁気学の観点から大陸移動説が証明されました。
大陸移動説は発展し、今日ではプレートテクトニクス理論という理論に発展しています。

参考

大陸移動説の証明
ウェゲナーの時代には受け入れられなかった大陸移動説は、過去の地球の磁場を調べる古地磁気学の観点から証明されました。
現在の地球は北極をS極、南極をN極とする磁石です(地磁気)。
大陸が移動して地球上での位置が変わる(例:南極付近から赤道への移動)と、時代によって磁場の向き(磁石の力が働く方向)が変わります。
逆に考えれば、もしある時代に2つの岩石が同じ場所に存在していれば、その後に別々に分かれて移動してしまっても、岩石に残されたで過去の時代の磁場の方向を調べることで同じ場所に存在していたことを証明できます。
このように岩石に残された過去の磁場の向きを調べた結果、南アメリカ大陸東海岸とアフリカ大陸西海岸で一致することから、かつては同じ場所に存在していたことがわかります。
以上のような古地磁気学の研究からウェゲナーの大陸移動説が証明され、現在のプレートテクトニクス理論に発展してきました。

関連記事

参考プレートテクトニクス(3種類のプレート境界のしくみ)

続きを見る

参考広がる境界(発散境界)とその地形

続きを見る

参考狭まる境界(収束境界)とその分類(沈み込み型・衝突型)

続きを見る

参考ずれる境界(トランスフォーム断層)

続きを見る

参考文献

大陸移動説 コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/8閲覧
吉田 晶樹「研究者コラム ウェゲナー「大陸移動説」完成100年に寄せて」 国立研究開発法人 海洋研究開発機構 2024/7/27閲覧
超大陸とは? コトバンク デジタル大辞泉 2024/7/27閲覧
超大陸 岐阜聖徳学園大学 2024/7/27閲覧
松倉公憲「地形学」 朝倉書店(2021)
パンゲアとは コトバンク デジタル大辞泉、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2021/1/11閲覧
ゴンドワナ大陸とは 世界大百科事典 第2版 2021/1/11閲覧

-地形, 系統地理
-, , , ,