森林限界の様子(スイス南東部・サンモリッツ)。町の背後の山では、低地側には森林が広がるが、一定以上の高さで森林が途絶え、それより上には樹木が生育していない。このように森林が発達する限界線を森林限界とよぶ。樹木が生育できない限界を樹木限界とよび、森林が広がる限界とは区別することもある。出典:Wikimedia Commons , ©Dolph Kohnstamm, CC BY-SA 3.0, 2021/2/20閲覧
緯度による違い 高山気候の場所でも低地と同じように緯度による影響をうけた気候になります。
高山気候では一日の中での気温の変動(日較差)は低地よりも大きいですが、一年間の気温の変動(年較差)は緯度の影響を大きくうけます。 高山では標高の分だけ気温が下がりますが、年較差は低地と同様です。 そのため、低地が熱帯になる低緯度地域 では年較差よりも日較差の方が大きく 、低地が温帯になる中緯度地域 では日較差よりも年較差のほうが大きく なります。
熱帯では年較差が小さい特性をもったまま気温が低下するので、年間通して気温が10℃~20℃前後の温暖で過ごしやすい春がずっと続くような気候になり、常春(とこはる) とよばれます。ボゴタ (コロンビア)、キト (エクアドル)、昆明 (中国雲南省)などの気候が常春とよばれます。
なお、日本でも富士山など高山気候の特色がみられる高山もありますが、範囲が狭いためふつう高山気候とはいいません。
標高による植生の推移 Alexander Keith Johnston (1804–1871)による様々な地域の植生の垂直分布を描いたイラスト。左から順にアンデス山脈、モロッコ沖のカナリア諸島・テネリフェ島(スペイン)、ヒマラヤ山脈、アルプス山脈・ピレネー山脈、ラップランド(スカンジナビア半島北部)を描いている。低緯度に位置するアンデス山脈(左端)やヒマラヤ山脈(左から3番目)では低地は熱帯林となり、標高が高い場所で温帯林が見られ、さらに標高が高い場所では森林限界となり樹木が途絶え、頂上付近には山岳氷河がある。より高緯度側のアルプス山脈(右から2番目)やラップランド(右端)では、低地でも温帯林や亜寒帯林となり、森林限界も低くなる。出典を加工して作成。出典:Wikipedia , Public domain, 2025/3/26閲覧 アフリカ最高峰のキリマンジャロ (5,895 m、タンザニア)のような低緯度地域に位置する高山 では、低地の熱帯気候から頂上の寒帯に近い高山気候までの気候の推移をみることができます。
低地ではサバナ や熱帯雨林 が広がり、標高が上がるについれて温帯のような落葉広葉樹林 、亜寒帯のような針葉樹林 がみられます。 森林限界より上では寒帯のようなツンドラ がみられます。 山頂付近では雪線 を超えるため年中雪が溶けずに万年雪 になり、山岳氷河 が広がります。
高山気候の植生 関東山地北部(秩父山地)・金峰山(2,599m)の森林限界(山梨県北部・長野県東信地方)。標高が高い山の山頂付近では、低温や強風などの影響で低地の植物は育たず、高山の環境に適応した植物が生育する。このため、森林が成立する限界線である森林限界が見られる場所もある。金峰山では、写真中央付近で亜高山帯林からハイマツ林に入れ替わっている。出典:Wikimedia Commons , ©Σ64, CC BY-SA 3.0, 2022/7/9閲覧 高山では気温の低下により高緯度側に類似した植生になります。 加えて、森林限界を越える場所では日差しや風が強いことから、そのような環境に適応した低木のハイマツや低地では見かけない高山植物の固有種 などがみられます。 高山植物の花は大きくて派手なものが多く、短い夏に一斉に花を咲かせて一面のお花畑 を形成します。
7月中旬の大雪山のお花畑(北海道中央部)。白と黄色の花はチングルマ、赤い花はエゾノツガザクラである。高山帯では過酷な環境に適応した固有種が、短い夏に一斉に花を咲かせる。出典:Wikimedia Commons , ©Miya.m, CC BY-SA 3.0, 2022/7/9閲覧 大雪山周辺に生育する高山植物であるエゾノツガザクラ(北海道中央部)。強い日差しや低温から身を守るために、光沢のある葉や白い毛をもつ。出典:Wikimedia Commons , © Miya.m, CC BY-SA 3.0, 2022/7/9閲覧 偏形樹 Hoad Monument周辺の偏形樹(英国・イングランド北西部)。一定方向に強風が吹く場所では樹木は風下側に曲がって生長する。出典:Wikimedia Commons , ©Yohan euan o4, CC BY-SA 3.0, 2022/7/9閲覧 常に一定方向に強い風が吹く場所では、ハイマツなどの樹木が風下に向かって傾いて成長し、このような樹木を偏形樹 とよばれます。 偏形樹は高山だけではなく、海沿いや山頂など周囲に遮るものがない地形で卓越風 が吹くような場所でもみられます。
高山気候がみられる地域 ラパス中心部のライカコタ公園からの風景(ボリビア)。ラパスの街はすり鉢状に広がる。標高が高いため、酸素濃度が高い中央の低地にダウンタウンや高級住宅地が立地し、スラムはすり鉢の外の高台(エル・アルト)に位置する。 出典:Wikimedia Commons , CC BY-SA 3.0, 2021/2/20閲覧 高山気候 は、新期造山帯 など標高が高い山脈が広がる地域にみられます。 南米のアンデス山脈 や北米のロッキー山脈 、エチオピア高原 、ヒマラヤ山脈 などに広がります。 南極大陸にも標高が高い地域がありますが、低地であっても氷雪気候 (EF)であり標高による気候の変化がないため、高山気候とはみなしません。
主な都市としては、キト (エクアドル)、ラパス (ボリビア)、クスコ (ペルー)、メキシコシティ (メキシコ)、アディスアベバ (エチオピア)、ラサ (中国チベット自治区)などがあります。
15世紀のインカ帝国の遺跡であるマチュピチュ(ペルー南東部)。アンデス山脈山中の標高2,430mの山の尾根に位置する。アンデス山脈では古くから標高が高い場所にも人が定住しており、キト(エクアドル)やラパス(ボリビア)、クスコ(ペルー)のような高山都市が点在する。出典:Wikimedia Commons , ©Martin St-Amant, CC BY-SA 3.0, 2021/2/20閲覧 参考文献 気候区分とは コトバンク 世界大百科事典 第2版、日本大百科全書(ニッポニカ) 2021/2/20閲覧ケッペンの気候区分 ウィキペディア 2021/2/20閲覧高山気候 ウィキペディア 2021/2/20閲覧高山気候とは コトバンク デジタル大辞泉、百科事典マイペディア、日本大百科全書(ニッポニカ) 2021/2/20閲覧森林限界とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、デジタル大辞泉、世界大百科事典 第2版 2021/2/20閲覧 地理用語研究会編 「地理用語集第2版A・B共用」山川出版社高山植物 ウィキペディア 2022/7/9閲覧常春 ウィキペディア 2021/2/20閲覧キリマンジャロ ウィキペディア 2021/2/20閲覧
-気候 , 系統地理 -植生 , 気候区分 , 氷河
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