カルデラは火山の陥没によってできた凹地です。
カルデラにの凹地に水がたまるとカルデラ湖が形成されます。
このページでは様々な種類のカルデラとカルデラ湖について解説し、最後にカルデラ湖に類似する火口湖についても紹介します。
カルデラ
カルデラとは、大規模な火山噴火によってできた巨大な凹地です。
大規模な噴火が起きると大量のマグマが放出されて火山内部のマグマがたまっていた場所が空洞になり、地表が陥没して円形の凹地ができます。
この際、火口の外縁部はマグマの放出がないため陥没せず、周囲を急峻な山(外輪山)に囲まれた凹地となります。
大規模な噴火によって形成された巨大なカルデラの中に小規模な火山地形が形成されることもあります。
たとえば、カルデラが形成された後にカルデラ内部を火口とする小規模な噴火が発生した場合、カルデラの内部に中央火口丘とよばれる小さな火山が形成されます。
中央火口丘はカルデラとは別の火山であり、溶岩円頂丘(溶岩ドーム)や成層火山などが形成されます。
カルデラは周囲を外輪山に囲まれているため、雨水などがたまってカルデラ湖とよばれる湖を形成することがあります。
カルデラの例としては、箱根カルデラ(神奈川県西部)や阿蘇カルデラ(熊本県東部)、姶良カルデラ(あいらカルデラ、鹿児島湾のうち桜島以北)などがあります。
カルデラ湖
カルデラ湖は、カルデラの内側に雨水などがたまってできた湖です。
カルデラ全体に水がたまるものもあれば、カルデラの一部だけ水がたまる場合もあります。
たとえば、箱根カルデラ(神奈川県西部)は、カルデラの西側部分にのみカルデラ湖(芦ノ湖)が存在し、東側部分にはカルデラ湖はありません。
カルデラの中央部には中央火口丘とよばれる小規模な火山がある場合があります。
カルデラ湖では、中央火口丘の部分だけが湖面から顔を出して島になっている場合もあります。
上の画像の洞爺湖(北海道胆振地方)は、中央火口丘の頂上付近が島になっている例です。
カルデラ湖は水深が深い湖が多いです。
たとえば、日本で最も水深が深い田沢湖(432m, 秋田県東部・仙北市)や米国で最も水深が深いクレーター湖(590m, 米国北西部オレゴン州・クレーターレイク国立公園)はいずれもカルデラ湖です。
カルデラ湖の分布は火山の分布におおむね一致します。
小規模なものも多いですが、特に大規模なカルデラ湖は北海道・北東北と九州南部に分布しています。
大規模なカルデラ湖の例としては、屈斜路湖(くっしゃろこ)や摩周湖(ましゅうこ)(いずれも北海道釧路地方・弟子屈町)、支笏湖(しこつこ、北海道石狩地方・千歳市)、十和田湖(青森県内陸部・秋田県北東部)、池田湖(鹿児島県南西部・指宿市)などがあります。
カルデラ湖がないカルデラ
カルデラ湖が存在しないカルデラも存在します。
たとえば、阿蘇カルデラ(阿蘇山)にはカルデラ湖が存在せず、中央火口丘の周辺を取り囲むように平地が広がり、外輪座はさらにその外側に位置しています。
阿蘇カルデラはかつてカルデラ湖が広がっていた時期もありましたが、現在では中央火口丘の周りは平地になっています。
他にカルデラ湖が存在しないカルデラの例としては、1980年の噴火で山体崩壊をおこしてカルデラがU字状(馬蹄状)に崩れたセント・ヘレンズ山(米国北西部・ワシントン州)などがあります。
海中に沈んでいるカルデラ
カルデラの中には、海中に沈んでいるため陸地の地形からは全貌が見えないカルデラもあります。
たとえば、鹿児島湾北部(桜島以北)は、2万9000年前の噴火により形成された姶良カルデラ(あいらカルデラ)です。
カルデラの内部は海中に沈み、外縁部が陸地になっているため鹿児島湾の一部になっています。
ちなみに、桜島(御岳(おんたけ))は姶良カルデラが形成された後にカルデラ外縁部にできた新しい火山です。
カルデラの大部分が海中に沈んでいる例もあります。
鹿児島県本土の50km南には、鬼界カルデラ(きかいカルデラ)とよばれる大部分が海中に沈んだカルデラがあります。
鬼界カルデラは、外輪山の一部が薩摩硫黄島と竹島(鹿児島県三島村)として陸地になっている以外は全て海中に沈んでいます。
鬼界カルデラは約7,300年前の巨大噴火(アカホヤ噴火)で陥没・形成されたカルデラです。
この噴火は完新世(1万1700年前~現在)の中で世界最大の噴火であり、噴火により火山灰は東北地方まで到達し、特に九州南部の縄文人の人々の暮らしに壊滅的な被害を与えました。
火口湖(カルデラ湖との違い)
火口湖は、火山の噴火口に水がたまってできた湖です。
火口の上にあるため、火山活動の活発さによって湖の色が変化します。
火口湖は単一の火口のくぼみにできた直径 2km未満の小規模な湖です。
それに対して、カルデラ湖は火口のみならず山頂付近の地表が陥没してできた火口湖よりも大規模な湖です。
カルデラ湖は水深が深い湖が多いですが、火口湖は陥没をおこしていないため比較的浅い湖です。
火口湖の例としては、蔵王連峰の御釜(おかま、宮城県南西部・蔵王町)、草津白根山の湯釜(ゆがま、群馬県北西部・草津町)、霧島連峰(霧島山)の大浪池(おおなみのいけ、鹿児島県中央部・霧島市)などがあります。
参考文献
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