地理学は地球表面の空間におきる様々な事象を研究する学問です。
ここでは、地理学が対象とする場所の土台にあたる地球の形や大きさなどについて解説します。
地球の形
地球が丸い球体であることはよく知られていますが、昔はそれが当たり前ではありませんでした。
長い歴史の中では、地球は平面が続いているという考え方が広く信じられていました。

1472年にドイツでつくられたTO図。内側の円の中にアジア(上半分)、ヨーロッパ(右下)、アフリカ(左下)が描かれ、T字に描かれた海や川で隔てられている。内側の円と外側の円の間は外洋である。出典:Wikimedia Commons, Public domain 2021/1/5閲覧
上の図は、地球平面説に基づいて描かれたTO図(OT図)という世界地図です。
Oの字の中にTの字が描かれているように見えるため、TO図とよばれます。
内側に大陸(アジア、ヨーロッパ、アフリカ)が広がっていて、その外側に外洋が描かれています。
地球の端は滝になっていて、落ちたら戻ってこれない恐怖の場所でした。
はじめて地球が球体であると考えたのは、古代ギリシャ時代にピタゴラス(Pythagoras)がつくったピタゴラス教団(ピタゴラス学派ともいう、紀元前5世紀頃)の人たちです。
ピタゴラス教団は数学の三平方の定理(ピタゴラスの定理)を発見したことでも有名です。
昔は科学と宗教が密接に結びついていて、地球球体説もピタゴラスの宗教的な考えが入り混じったものでした。
中世ヨーロッパでは、キリスト教的な価値観のもと、再び地球は平面であると信じられていました。
しかし、15世紀頃からは科学技術の発展やイスラム世界の知見の流入により、地球は球状であるという意見が強くなりました。
そして、大航海時代にマゼラン(Ferdinand Magellan)の船団が地球を一周する(1519-1521年)ことで地球が平面ではなく球であることが証明されました。
地球の大きさ
次に地球の大きさについて見ていきます。
全周(円周) | 4万 km |
半径 | 6,400 km |
表面積 | 5.1億 km2 |
これらの値は、暗記しなくても計算で求められます。
なぜなら、長さを表すキロメートルという単位は、元々赤道から北極までの距離の1万分の1と定義されていたのです。
現在の定義は異なりますが、おおよその値を計算するには問題ありません。
赤道から北極までの長さは地球の円周の4分の1なので、地球の円周は4万 kmです。
円周がわかると半径がわかります。
円の半径と円周の関係の公式は次の通りです。
半径×2π = 円周
上記公式に円周の1万 kmをあてはめると、地球の全周はおよそ6,400 kmです。
次に半径から表面積を求めます。
球の半径から表面積を求める公式は次の通りです。
4π×(半径)2 = 表面積
上記公式に地球の半径6,400 kmをあてはめると、地球の表面積は5.1億 km2です。
ちなみに、地球は完全な球体ではありません。
北極と南極を通る全周(40,009 km)よりも赤道を通るの全周(40,075 km)の方がわずがに長いです。
これは、地球が自転するため、赤道付近は遠心力で外側に引っ張られてふくらむからです。
地球が完全な球体でないのに球の公式を使うことができるのは、地球の全周が4万 kmもあるのに対し、2つの全周の差はわずかに66 kmと無視できるほど小さいためです。
地球の自転
地球は北極点と南極点を結ぶ直線を軸にして、およそ24時間で一回転しています(自転)。
そのため、地球上のある地点が太陽側にあるか反対側にあるによって昼と夜が発生します。
地球は球なので、同じ地球上でも北極・南極よりも赤道のほうが太陽に近く、そのため赤道のほうが暑く、北極・南極は寒くなります。
次の図は夏と冬の地球と太陽の関係の模式図です。

地球と太陽の位置関係。6月下旬(北半球の夏至)には太陽は北回帰線上にあり、12月下旬(北半球の冬至)には南回帰線上にある。出典画像を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2021/1/7閲覧
地球の自転軸は太陽から見て垂直ではなく、少し傾いています。
自転軸の傾きは一年かけて少しずつ動いていくため、時期によって太陽に一番近い場所が変わります。
北半球の大部分では、6月下旬に最も太陽に近くなり(夏至)、12月下旬に最も遠くなります(冬至)。
南半球はその逆です。
夏至と冬至の日には上の図のε(イプシロン)の角度が最大になり、23°26'(23度26分)になります。
太陽に最も近い時期が夏となり、遠い時期が冬になります。
このため、北半球と南半球では夏と冬が逆転します。
オーストラリアのサンタクロースが半袖姿なのは、南半球のクリスマスは真夏だからです。
3月下旬と9月下旬には、赤道は太陽に一番近くなります。
このときは昼と夜の長さが同じになります。3月下旬の方を春分、9月下旬の方を秋分といいます。
太陽からの距離が一年間で周期的に変化することで寒暖の差が発生し、季節がうつりかわるのです。
参考文献
地理学とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/9閲覧
地球球体説 コトバンク 旺文社世界史事典 三訂版の解説 2021/1/5閲覧
TO図 コトバンク 百科事典マイペディアの解説 2021/1/5閲覧
地球の大きさ(周長や半径)を覚える必要はない 330K INFO 2021/1/5閲覧
知っているようで知らない地球トリビア1〈地球の基礎知識・大きさ、重さ〉 tenki.jp 2021/1/5閲覧
地球とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/5閲覧