地球 系統地理

緯度と経度(重要な緯線と経線)

地球上の場所を数値で表現するために、緯度と経度という座標が使われます。
緯度と経度を組み合わせることで、地球上のすべての場所を数値で表現できます。
ここでは、緯度と経度について解説します。

緯度と経度

地球の経度(左)と緯度(右)の模式図。出典:Wikimedia Commons, ©Djexplo, CC0, 2021/1/6閲覧

緯度と経度はどちらも度(°)という角度の単位で表される数値です。
1°の60 分の1を分といい、1分の60分の1を秒といいます。
1秒は地表の距離にするとおよそ30 mに相当します。

緯度や経度はこれらの単位を使って、35°39'17" N(北緯35度39分17秒)、139°44'40" E(東経139度44分40秒)という形式で表現します。
最後のアルファベットは方角を表すもので、N (north, 北)とE (east, 東)を表しています。
南緯と西経も同様に、S (south, 南)とW (west, 西)で表します。

参考

余談ですが、この座標は昔、東京天文台があった東京の港区麻布台にある「日本経緯度原点」のもので、日本で測量を行う際の原点(基準点)となる場所です。

ここでは、緯度と経度は何かについて説明し、重要な緯度と経度について見ていきます。

緯度

緯度とは、ある地点がどれくらい北(南)にあるかを示す数値です。
赤道を緯度0°、北極点と南極点を緯度90°と定義して、その間の地点がどれくらい北(南)にあるかを表します。
緯度の値が大きく北極や南極に近いことを高緯度、緯度の値が小さく赤道に近いことを低緯度といいます。
赤道から北方向の緯度を北緯、南方向の緯度を南緯といいます。

地球上の同じ緯度の場所を結んだ線を緯線といいます。
緯線は地球上をぐるっと一周しますが、緯度によりその長さが全然違います。
赤道では、4万kmもあるのに北極点や南極点では1つの点になります。

次の図は地球と太陽の位置関係の図です。

地球と太陽の位置関係。6月下旬(北半球の夏至)には太陽は北回帰線上にあり、12月下旬(北半球の冬至)には南回帰線上にある。出典画像を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2021/1/7閲覧

ここでは、回帰線と北極圏・南極圏について紹介します。
緯度は北緯と南緯の2種類があるため、回帰線と極線はどちらも北半球と南半球に1ヶ所ずつあります。

回帰線

23°26' の緯線のことを回帰線といいます。
23°26'は地球の自転軸の傾きの角度と同じです。

北半球の回帰線を北回帰線、南半球の回帰線のことを南回帰線といいます。
地球上で太陽が一番近くなることがある地点のうち、最も高緯度の場所です。

日本が太陽に最も近くなる6月下旬(夏至)には、太陽は北回帰線の真上にいます。
一方、日本が太陽に最も遠くなる12月下旬(冬至)には、太陽は南回帰線の真上にいます。

太陽は1年かけて、
赤道(の真上)(3月)→北回帰線(6月)→赤道(9月)→南回帰線(12月)→赤道(3月)
というように動いています(正確には地球上から見た太陽の位置が動いています)。

北極圏・南極圏

北緯66°33'より北を北極圏といい、南緯66°33'より南を南極圏といいます。
この値は90°から地球の自転軸の傾き23°26'を引いたものです。

北極圏と南極圏は地球の自転軸の傾きの影響を最も強く受けます。
夏には地球の自転軸の傾きのせいで、一日で一番太陽から遠いときでも太陽から隠れず、深夜でも太陽が出る白夜がおきます。
一方冬には、一日で最も太陽から近いときでも太陽の影になって、真昼でも太陽が出ない極夜がおきます。
北極圏や南極圏は人が住んでいない地域が多いですが、暖かいメキシコ海流の影響で高緯度ながら温暖なノルウェー北部などでは、このような環境下で人々が生活しています。

冬のトロムソ(ノルウェー北部)。時刻は正午過ぎだが北極圏に位置するため、極夜になっている。薄明かりなのは太陽光の屈折や雪が町の明かりを反射するためである。出典:Wikimedia Commons, ©Osopolar, CC BY-SA 3.0, 2021/1/6閲覧

経度

緯度が地球上の南北の位置を示すのに対し、東西の位置を示すのが経度です。
地球上の同じ経度の場所を結んだ線を経線といいます。
緯度が赤道と北極点・南極点という物理的に意味がある場所を基準にしているのに対し、地球の東西には目安となるものはありません。
そこでイギリスのロンドンのグリニッジ天文台を通る経線を基準として、ロンドンより東側が東経0°〜180°、西側は西経0°〜180°というように経度を決めています。
円の角度は360°なので東経と西経をたしてちょうど360°になるようになっています。
このため、東経0°と西経0°、東経180°と西経180°は同じ場所にある経線です。
経度0°の経線を本初子午線といい、経度180°の経線を日付変更線といいます。

本初子午線

本初子午線はロンドン(イギリス)を通る経線のことで、この経線が経度0°と定義されています。

子午線は経線の別称で、昔の日本人が方角を十二支で表していたことに由来します。
360°を12分割し、真北を子(ね)の方角とし、丑、寅、卯(真東)、辰、巳と30°ずつ進み、真南は午(うま)の方角になります。
子の方角(真北)と午の方角(真南)を結ぶ線なので子午線といいます。

本初子午線を基準に東西に向かって経度が1°、2°と増えていくので、スタート(本初)の子午線という意味で本初子午線といいます。

参考

ロンドンを通る経線を本初子午線と決めたのは、1884年にワシントンD.C.で開かれた国際子午線会議です。

この会議でフランスは、特定の国(具体的にはイギリス)を基準とする本初子午線の引き方に反発し、主要な大陸を通らない経線を本初子午線にすることを主張しました。しかし、当時は大英帝国の全盛期で、国際社会におけるイギリスの力は非常に強いものでした。そのような背景もあり、イギリスの主張が通ってロンドンを通る経線が本初子午線に決まりました。

日付変更線

太平洋上(日本とハワイの間)にある経度180°の経線は日付変更線とよばれ、この経線の東西で日付が1日違います。
日付変更線を東から西に越えると日付が1日進み、西から東に越えると日付が1日戻ります。
このため、日付変更線の西側が世界で最も早い時刻となり、逆に東側は世界で最も遅い時刻になります。

地球上では太陽は東から昇るため、より東にある地点のほうが先に朝をむかえます。
そのため東に進めば進むほど時刻が早くなっていくのですが、時計の針を動かしながら地球を一周して同じ場所に戻ると24時間(丸一日)早い時刻になってしまいます。
この矛盾を解消するため、人為的に日付変更線を定めてその東西で24時間の時差をつくっています。

日付変更線は経度180°の経線にそって引かれているのですが、一部に一致しない場所があります。
下の地図の黒線が日付変更線です。
経度180°の経線の大部分は海上にありますが、シベリアの東端などごく一部は地上を通過しています。
陸上で24時間の時差があると住民の生活に支障が出るため、このような場所では日付変更線を国境までずらして、国内で24時間の時差が出ないように調整しています。

日付変更線と周辺のタイムゾーン。中央の黒線が日付変更線。おおむね180°の経線にそっているが、一つの国の中で日付が違う事態をさけるために、一部地域で曲がっている。出典:Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0, 2021/1/7閲覧

参考

上の地図の中央で、黒色の日付変更線が大きく東に突き出ている場所があります。

この場所にある島国キリバスは、180°の経線の東西に国土が広がっているため、昔は国の東西で24時間の時差がありました。このため、国の東西で仕事の連絡をとるのが大変でした。日付変更線の西側が月曜日のときに東側は日曜日で休日になり、東側が金曜日のときには西側は土曜日で休日になるため、日付変更線の東西で連絡をとれる平日は週に4日しかありませんでした。

そこで、1995年に日付変更線を東側の国境まで動かし、東西の日付を統一しました。その際、キリバス東部は経度に合わせて時刻を設定したため、ロンドンより14時間も時刻が早い場所ができました。この結果、キリバス東部は世界で一番早く21世紀をむかえる場所として話題になりました。

さらに、世界で一番早く21世紀をむかえるということで、キリバスの最東端のカロリン島はミレニアム島と名づけられました。

参考文献

秒 (角度) ウィキペディア 2021/1/6閲覧
日本付近の経度1秒の実距離 古都の片隅で… 2021/1/6閲覧
緯度経度とは? 株式会社パスコ 2021/1/6閲覧
緯度とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/6閲覧
回帰線とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/6閲覧
国際子午線会議 ウィキペディア 2021/1/10閲覧
キリバス 国際機関 太平洋諸島センター 2021/1/7閲覧

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