日本ではたびたび巨大地震が発生し、大きな被害が発生してきました。
このページでは地震のしくみや地震の分類・地震の分布、地震によって引き起こされる災害(震災)についてまとめます。
火山についてはこちらのページ、火山の分布についてはこちらのページに移行しました。
地震
地震は、地殻内部の岩石が急激に動いて振動が発生し、その結果大地が大きくゆれる現象です。
地球表面(地殻)は十数枚のプレートに分かれており、それぞれのプレートが別方向に動いています。
このため、プレート境界では2つのプレートがぶつかりあってしだいにひずみがたまってきます。
ひずみが限界に達すると地殻に亀裂が走ったり大きくゆれ動き、地震が発生します。
地震がひとたび発生すると、時には数十kmも地面がズレ動いたり、海岸では数mも隆起したり沈降する地殻変動が起きることもあります。

地震が発生した地点(地中奥深く)を震源といい、震源の真上の地表を震央といいます。
実際には地震の原因となる地中での岩石の破壊・変動は時には数百kmにもおよび、このように地震の原因となる岩石の破壊・変動が発生する領域を震源域といいます。
震源域は広がりをもつ領域であるのに対し、震源は地震の原因となる岩石の破壊・変動が開始した1点であるという違いがあります。
震源が近い地震が複数回発生することもあり、その中で飛び抜けてゆれが大きい地震を本震といいます。
本震よりも前に発生した地震を前震といい、本震よりも後に発生した地震を余震といいます。
前震が発生しない場合も多いのに対し、震源が浅い大地震は多数の余震が発生するという違いがあります。
特に規模が大きい地震が発生した後の余震は、多数の余震が発生して家屋倒壊や火災などの二次災害の原因にもなります。
地震の大きさに関する指標としては、マグニチュードと震度があります。
マグニチュードは地震それ自体のエネルギーの大きさを表すのに対し、震度は計測地点でのゆれの大きさを示します。
マグニチュード
マグニチュードは、地震のエネルギーの大きさを表す尺度です。
同じ地震でもゆれの大きさは観測地点によって変わりますが、1回の地震のマグニチュードはただ1つの値に定まります。
マグニチュードは指数関数的な尺度であり、マグニチュードが1上がるとエネルギーの大きさが約32倍になり、マグニチュードが2上がるとエネルギーがちょうど1,000倍になります。
このため、マグニチュードが0.2上がるだけで地震のエネルギーは約2倍になります。
地震の被害はマグニチュードだけでは決まらず震源との距離や地盤などが影響します。
マグニチュードと具体的な地震の例は次の表の通りです。
マグニチュード | 例 | 備考 |
0.0 | --- | TNT(トリニトロトルエン)15gの爆発に相当 |
1.5 | ペルーでの隕石落下(2007年) | |
2.0 | テキサス州肥料工場爆発事故(2013年) | |
4.0 | 北朝鮮の核実験(2006年) | |
5.0 (中地震) | 長岡地震(Mj 5.2, 1961年) | 日本で死者が出た最小の地震。震央付近で被害が発生。 |
5.5 | ツァーリ・ボンバ(M5.25) | 史上最大の核実験 |
6.0 | 大阪府北部地震(Mj 6.1, 2018年) | 死者6名。 |
6.5 | 北海道胆振東部地震(Mj 6.7, 2018年) | 死者43名。北海道全域停電(ブラックアウト)。 |
7.0 (大地震) | 兵庫県南部地震(Mw 6.9, 1995年)、熊本地震(Mw 7.0, 2016年) | 震央周辺で大災害。 |
7.5 | 能登半島地震(Mw 7.5, 2024年)、北海道南西沖地震(Mw 7.7, 1993年) | |
8.0 (巨大地震) | 昭和南海地震(Mw 8.1, 1946年)、十勝沖地震(Mw 8.0, 2003年) | 主に海溝付近で発生。津波の被害。 |
8.5 | 明治三陸地震(Mw 8.5, 1896年) | |
9.0 (超巨大地震) | 東北地方太平洋沖地震(Mw 9.1, 2011年)、スマトラ島沖地震(Mw 9.1, 2004年) | |
9.5 | チリ地震(Mw 9.5, 1960年) | 日本でも津波被害。観測史上最大の地震。 |
10.0 | 地球上で起こり得る最大の地震 |
参考
様々なマグニチュードの定義
マグニチュードには複数の計算方法が存在し、同じ地震でも値が変わります。
マグニチュードの種類としては、地表を伝わる振動(表面波)から計算する表面波マグニチュード(Ms)や地震による岩盤のずれの規模から計算するモーメントマグニチュード(Mw)、日本の気象庁が独自に算出する気象庁マグニチュード(Mj)などがあります。
同じ地震でもマグニチュードの定義の違いにより数値が変わるため注意が必要です。
たとえば、東北地方太平洋沖地震(2011/3/11)では、気象庁マグニチュード(Mj)が8.4であるのに対し、モーメントマグニチュード(Mw)は9.0です。
2つのマグニチュードの差は0.6であるため、定義を取り違えると地震のエネルギーが8倍も変わってしまいます。
日本では気象庁マグニチュードがよく使われていますが、巨大地震のマグニチュードの計算方法としては、世界的にはモーメントマグニチュードが一般的です。
ちなみに、モーメントマグニチュードは1979年にカリフォルニア工科大学教授の金森博雄(1936-)とハンクス(Thomas C. Hanks)によって考案されたものです。
震度

震度は、観測地点における地震のゆれの強さを表す尺度です。
基本的には震源から近いほど震度が大きくなりますが、沖積平野などやわらかい地盤の場所はゆれが大きくなり、山地のようにかたい地盤の場所はゆれが小さくなります。
日本では震度0から震度7までの10段階の震度階級が使われています(震度5, 6のみ弱と強の2段階)。
かつては震度0から震度7までの8段階でしたが、1996年から10段階になりました。
変更理由は、1994年の三陸はるか沖地震(Mw 7.7)や1995年の兵庫県南部地震(Mw 6.9, 阪神・淡路大震災を引き起こす)において、同じ震度5や震度6であっても被害の状況が大きく異なることが明らかとなったためです。
従来は気象庁の観測員が体感で地震のゆれや被害を確認して震度を判定していましたが、震度計を使って実態に合致した震度を迅速に判定できるよう震度の基準を見直しました。

震度の目安は上表のとおりです。
震度1-3では屋内にいる人がゆれを感じはじめ、震度5弱で屋内で棚から食器が落ちるなどの被害がではじめます。
震度5強では物につかまらないと歩けなくなり、固定されていない家具が倒れます。
震度6弱では立つことが困難となり、瓦が落ちたり窓ガラスが割れるなど建物に被害がではじめます。
震度6強では木造住宅が倒壊したり土砂崩れが発生します。
震度7は最大値であり、さらに被害が大きくなり、鉄筋コンクリート造の建物でも耐震性が低いものは倒壊することがあります。
地震の分類

同じ地震でも、その発生場所によってその特徴が変わります。
2つのプレートの境界では、プレート同士が違う方向に動く力が働くため、プレート境界型地震(海溝型地震など)が発生します。
特に沈み込み帯(海洋上の狭まる境界)では、プレート境界が海の下にあるので、津波が発生して沿岸部に大きな被害を及ぼすことがあります。
プレート境界では大きな力が働くため、境界から離れたプレート内部にも多数の亀裂(断層)が入ります。
岩盤・地層がずれ動いた跡である断層は、他の場所よりも力に弱い場所であるため、再び力が働くと同じ場所が繰り返しずれ動きます。
このように繰り返しずれ動く断層を活断層といいます。
プレート境界から離れた大陸プレート内部では、活断層がずれ動く活断層型地震が発生します。
活断層型地震は、内陸部や陸地に近い場所で発生するため震央周辺で大きな被害を及ぼすことがあります。
次のページでは、プレート上における発生位置の違いに基づく地震の分類について紹介します。
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参考地震の分類(プレート境界型地震・活断層型地震・火山性地震など)
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断層とその分類

断層は、岩盤・地層がずれ動く断層運動により地震が発生した痕跡です。
断層運動が起きると、断層を境に両側の地面の位置関係がずれます。
このずれ方の違いにより、縦ずれ断層(正断層や逆断層)や横ずれ断層に分類できます。
断層と活断層、断層の分類については次のページで解説しています。
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参考断層と活断層(断層の分類:正断層・逆断層・横ずれ断層)
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また、1回の地震でずれ動く断層は数m程度ですが、繰り返し同じ断層がずれ動くことで大きな地形を作り出します。
このように断層によって形作られる地形を断層地形といいます。
断層地形には、断層崖(だんそうがい)や断層山地、地塁、傾動地塊、三角末端面などがあります。
断層地形については、次のページで解説しています。
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参考断層地形(断層崖・地塁・傾動地塊・断層山地)
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地震の分布

日本では各地でたびたび発生する地震ですが、世界的には地震の発生場所は限られています。
地震が発生する場所はプレート境界に集中しており、巨大地震は主に狭まる境界(沈み込み帯と衝突帯)とずれる境界(トランスフォーム断層)で発生します。
プレート境界以外の場所ではあまり地震が発生しませんが、ホットスポットであるハワイ諸島(米国)では火山性地震が多発します。
地震の分布については、次のページで解説しています。
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参考地震の分布(プレート境界・ホットスポット)
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地震に伴う災害

地震が発生すると莫大なエネルギーが放出されるため、様々な災害を引き起こし、地上の地形を大きく変えることもあります。
地震により強いゆれが起きると、家屋が倒壊したり、斜面では土砂崩れが発生します。
埋立地や沖積平野のように土壌中に大量の水を含むような場所では、ゆれによって地面が液体状になる液状化現象が発生します。
地震の発生場所(震源)が海洋上にあると、海底の地面の振動によって海水が持ち上げられ、津波とよばれる高波が発生することがあります。
地震のゆれによる直接の被害だけではなく、地震によって副次的に発生する二次災害も大きな被害を引き起こします。
地震による二次災害の例としては、津波や火災などがあります。
以上のように地震によって引き起こされた災害を震災とよびます。
地震をはじめとする様々な災害に対する注意喚起のために、自治体は災害時の被害の大きさを地図で表したハザードマップを作成・公開しています。
ハザードマップは災害の種類ごとに作成され、地震、火山噴火、洪水、土砂災害、津波、高潮など様々な災害について作成されています。
地震によって引き起こされる様々な災害(震災)については、次のページでまとめています。
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参考地震による災害(震災:火災・断水/停電・河道閉塞・液状化現象・地盤隆起/沈降など)
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参考文献
地震(ジシン)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2024/12/2閲覧
特集 地震を知って地震に備える! 内閣府防災情報 2024/12/5閲覧
マグニチュード ウィキペディア 2025/1/14閲覧
地震の大きさ 山賀 進のWeb site 2024/12/5閲覧
震度・マグニチュード・地震情報について 気象庁 2024/12/5閲覧
東北地方太平洋沖地震 ウィキペディア 2024/12/5閲覧
Moment magnitude scale, Wikipedia 2024/12/6閲覧
震度(シンド)とは? コトバンク デジタル大辞泉 2024/12/6閲覧
気象庁震度階級 ウィキペディア 2024/12/7閲覧
震度について 気象庁 2024/12/7閲覧
ハザードマップ(はざーどまっぷ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2025/1/15閲覧