プレートの境界では、多くの火山が分布し、地震の震源も集中しています。
ここでは、火山の分布と地震について解説します。
活火山と地震の震源の分布
次の地図は、地球上で起きたマグニチュード7以上の地震の分布を震源の深さで色分けした図です。
地球上でおきる大きな地震や火山の分布は、おおむねプレートの境界に沿うように集中しています。
上の図を見ると、大きな地震(赤・緑・青の丸)や活火山(黄色三角)は黄色線で示したプレートの境界に重なるように分布しています。
ここでは、狭まる境界・広がる境界・ずれる境界それぞれにおける火山の分布と地震についてふれていきます。
狭まる境界の火山分布と地震
狭まる境界は、最も多く地震が発生する境界です。
上の図でもアルプス=ヒマラヤ造山帯にも環太平洋造山帯にも数多く丸が存在し、大地震が発生していることがわかります。
特に環太平洋造山帯は地震の数が多いだけではなく、黄色三角で示した活火山も大量に分布しています。
環太平洋造山帯では、海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこんだひずみを解消する海溝型地震が頻繁におきます。
海溝型地震の特徴は沖合の震源が深い所で発生することです。
上の図でも、震源が深い大地震の分布(緑丸や青丸)は環太平洋造山帯に集中しています。
広がる境界の火山の分布と地震
アフリカ東部のアフリカ大地溝帯やアイスランド島などの広がる境界では、大地震は多くないものの活火山が集中しています。
これらは、広がる境界によりできた2つのプレートの隙間からマントルが上昇してくるためです。
地図には記載されていませんが、大西洋上の広がる境界には海底でマグマが噴出して山脈状の海嶺という地形をつくりだしています。
上の図を見ると、海嶺が地上に出ている世界唯一の場所であるアイスランド島とアフリカ大地溝帯に活火山が分布していることがわかります。
ずれる境界の火山の分布と地震
ずれる境界(トランスフォーム断層)として有名なサンアンドレアス断層があるアメリカ西海岸にはいくつかの活火山が分布し、震源の浅い地震がおきています。
トランスフォーム断層は地上からも見える断層でおきる直下型地震のため、海溝型地震と比べて震源は浅くなります。
ホットスポット
火山と地震の分布で特徴的なのは、太平洋プレートの中央に位置するハワイに火山が存在し、地震が発生することです。
これはハワイ諸島が、局地的に地下から熱いマントルの上昇流が吹きあがるホットスポットだからです。
ホットスポットにあたるハワイでは、太平洋プレートの中央にもかかわらず火山が数多く存在し、それらの火山活動に起因する火山性地震がおきるため、太平洋中央ではハワイだけ大地震の発生を示す赤丸があります。
参考
上の図からわかるように、地震や火山活動は世界全体から見ると狭い範囲でおきています。
そのため、地震がほとんどない地域で暮らしていた人が日本に引っ越したときに、大人なのに小さなの地震で非常に驚き、慌てふためくということがおきます。
日本に住んでいれば当たり前の小さな地震も、経験したことがない人には大変な恐怖なのです。
地震による災害
海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこんだひずみを解消する海溝型地震では震源が深い深発地震が多く、海の下が震源になることから地震によって津波が発生することがあります。
1960年のチリ地震では、津波は太平洋を越えて地震発生の約1日後に日本の沿岸まで到達し、三陸海岸では6 mの津波を観測しました。
三陸海岸は湾の入り口が広く奥が狭いリアス式海岸です。
津波の力を強めるような地形のため、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)をはじめ、歴史上何度も津波により多くの被害を出しました。
プレートの境界以外でも、過去の地震でできた既存の断層である活断層がずれることで震源の浅い直下型地震(内陸地震)が発生することがあります。
2008年の四川大地震(中国四川省)や1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)は、活断層が動くことで発生した直下型地震です。
都市部で直下型地震が発生した場合は、震源に近い地域に人口が密集しているため大きな被害が生じます。
地震をはじめとする様々な災害に対する防災のために、自治体は災害時の被害の大きさを地図で表したハザードマップを作成・公開しています。
ハザードマップは災害の種類ごとに作成され、地震、火山噴火、洪水、土砂災害、津波、高潮など様々な災害について作成されています。
参考
地震によってできる地形として断層がありますが、地震による津波でも地面が削られて地形が変わることもあります。
北海道の道東にある霧多布島は、元々北海道本土とトンボロ(陸繋砂州)でつながった半島でした。
しかし、1960年のチリ地震で半島をつなぐトンボロが流されて半島が本土と切り離されて島になってしまいました。
このように、地震による津波は海岸部の地形に大きな影響を与えます。
参考文献
地震とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧
海溝型地震とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧
ホットスポット コトバンク 知恵蔵 2021/1/10閲覧
Geofileld 鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 ニュースレター 7 2018/7 2021/1/10閲覧
火山性地震 コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧
チリ地震とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧
四川大地震とは コトバンク 知恵蔵 2021/1/10閲覧
兵庫県南部地震とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2021/1/10閲覧
地震 ウィキペディア 2021/1/10閲覧
ハザードマップとは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧
霧多布とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/10閲覧