プレート境界では2つのプレートの動きによりひずみが蓄積し、たびたび地震が発生します。
このページでは、プレート境界で発生するプレート境界型地震について、狭まる境界(沈み込み帯・衝突帯)、ずれる境界、広がる境界に分けて解説します。
プレート境界で発生する地震
プレート境界で発生する地震をプレート境界型地震といいます。
地球表面の地殻は十数枚のプレートに分かれており、プレートの境界では互いに押し合ったり、遠ざかるなどの力が働くため、プレートの移動に伴うひずみが蓄積・解放されて地震が発生します。
このようなプレート境界型地震は、広がる境界(発散境界)、狭まる境界(収束境界)、ずれる境界(すれ違う境界)の全てで発生します。
特に狭まる境界やずれる境界では巨大地震が発生しやすいです。
以下では、狭まる境界、ずれる境界、広がる境界それぞれの地震について解説します。
狭まる境界
狭まる境界(収束境界)は2つのプレートが互いに押し合う力が働くため、巨大地震が発生しやすい場所です。
狭まる境界は沈み込み帯(大陸-海洋型等)と衝突帯(大陸-大陸型)に分けられますが、どちらも地震が発生しやすい場所です。
沈み込み帯(海溝型地震)
沈み込み帯は地球上でも特に地震が多発する場所です。
マグニチュード9以上の超巨大地震も沈み込み帯で発生するものが多いです(例:2011年の東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)や1960年のチリ地震(Mw 9.5))。
沈み込み帯では、高密度で重い海洋プレートの下に低密度で軽い大陸プレートが沈み込んでいきます。
この際にプレート同士に摩擦が発生し、ひずみが蓄積していきます。
ひずみが限界に達すると、プレートがずれ動いてひずみが一気に解消され、同時に地震が発生します。
このようなメカニズムの地震は、沈み込み帯の地形である海溝(かいこう)やトラフ(浅い海溝)付近で発生するため、海溝型地震といいます。
海溝型地震では、海底でプレートがずれ動くため津波が発生して沿岸部には大きな被害をもたらすことがあります。
海溝型地震や津波については、以下のページで解説しています。
参考海溝型地震(三陸沖地震・関東地震・南海トラフ巨大地震)
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参考津波のしくみと被害(インド洋大津波・チリ地震津波など)
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衝突帯
衝突帯は大陸プレート同士がぶつかりあう狭まる境界であり、沈み込み帯と同様に地震が多発する場所です。
衝突帯は2つの大陸プレートが互いにぶつかり合うため、プレート同士の摩擦によりひずみが蓄積して褶曲(しゅうきょく)や活断層(逆断層)が多数見られます。
このため、衝突帯周辺では活断層がずれ動く断層運動による地震が多発します。
プレート内部にも活断層が多数形成されるため、プレートの境界付近だけではなく離れた場所でも地震が発生します。
衝突帯はアルプス=ヒマラヤ造山帯の中でもヒマラヤ山脈~イラン高原で見られます。
これらの地域ではたびたび地震が発生し、家屋倒壊や土砂崩れ、地すべりなどにより大きな被害が発生してきました。
衝突帯での地震の例としては、2015年のネパール地震(Mw 7.8)があります。
ネパールではレンガ積みの耐震性が低い建物が多いため、ネパール地震により家屋倒壊が多発して8,700人以上が死亡しました。
ずれる境界
ずれる境界(すれ違う境界、トランスフォーム断層)は、2つのプレートが互いにすれ違うように動く境界であり、地震が発生しやすい場所です。
トランスフォーム断層という名前のとおり、2つのプレートが互いにずれ動くため、プレート境界で水平方向に断層運動が生じて地震が発生します。
特に大規模なトランスフォーム断層は、アメリカ合衆国西海岸(サンアンドレアス断層)やトルコ北部(北アナトリア断層)などで見られます。
これらのトランスフォーム断層ではたびたび地震(最大でマグニチュード8クラス)が発生し、大きな被害が発生しています。
ずれる境界で発生した地震の例としては、1906年のサンフランシスコ地震(Mw 7.9)や1994年のノースリッジ地震(ロサンゼルス地震、Mw 6.7)、1999年のイズミット地震(トルコ北西部地震、Mw 7.6)などがあります。
広がる境界
広がる境界(発散境界)でも地震が発生します。
広がる境界の地震は震源が浅く、比較的マグニチュードが小さい場合が多いです。
広がる境界の多くは大洋上に位置しますが、アイスランドやアフリカ大地溝帯では陸地を震央とする地震が多発します。
ただし、狭まる境界やずれる境界のような巨大地震(マグニチュード8以上)は発生しません。
広がる境界で発生した地震の例としては、2008年のキブ湖地震(Mw 5.9, 大地溝帯の断層湖であるキブ湖岸(コンゴ民主共和国)を震源)や1921年のマッサワ地震(Mw 6.1, 紅海のイタリア領エリトリア沖を震源)、2000年のアイスランド地震(Mw 6.1)などがあります。
参考文献
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