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ダイズ(大豆)の栽培

ダイズ(大豆)はマメ科の中でも最も大量に栽培されている作物です。
このページでは、栽培方法や用途、生産量や輸出量など作物としてのダイズに関する内容についてまとめています。

豆類全体や根粒菌との共生については次のページでまとめています。

ダイズ(大豆)の特徴

収穫期した大豆と豆が収まっていた鞘。ダイズは鞘の中に収まる種子(豆)を食用とする。出典:Wikimedia Commons, ©Helge Höpfner, CC BY-SA 3.0, 2023/4/9閲覧

ダイズ(大豆)は東アジア原産の作物であり、日本でも古くから食用として栽培されてきた作物です。
穀物と同様に炭水化物を多く含み、たんぱく質も多く栄養価が高いため東アジアでは広く食べられてきました。
成熟した種子を「大豆」、未成熟な種子を「枝豆」とよび区別します。

19世紀までのダイズの栽培は東アジア中心であり、用途も食用中心でした。
20世紀に入ってからは品種改良のおかげで大豆油の製造などに用途が広がり、アメリカ合衆国やブラジルでも急速に栽培が広がりました。
現在ではダイズの用途の大部分は大豆油製造用や飼料用であり、アメリカ合衆国やブラジルをはじめとする南北アメリカ大陸での生産量が大半を占めます。

ダイズ(大豆)の起源と伝播

大規模な大豆畑(ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州)。ブラジルでは内陸部の高原地帯(ブラジル高原)を中心に大規模な畑作(企業的畑作農業)が盛んである。大豆は東アジア原産の作物であるが、20世紀に品種改良により用途が広がり、現在では大豆油製造用や飼料用として米国やブラジルを中心に栽培されている。出典:Wikimedia Commons, ©Tiago Fioreze, CC BY-SA 3.0, 2024/2/29閲覧

ダイズは中国東北部原産の作物であり、古くから東アジア一帯で栽培・利用されてきました。
他地域へ伝わるのは遅く、南北アメリカ大陸で本格的な栽培がはじまったのは19世紀後半から20世紀にかけてです。
20世紀以降は米国やブラジルで急速に栽培が広がり、主要な産地となりました。

ダイズの原産地と伝播の地図と詳細説明については以下のリンク先をご覧ください。
ダイズの起源地と伝播経路」©Shogakukan
出典:ダイズ(だいず)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2023/4/9閲覧

ダイズ(大豆)の栽培条件

ダイズは20~30℃が適温ですが、亜寒帯(冷帯)から熱帯まで幅広い地域で栽培されています。
20℃未満や40℃以上になると生育が非常に悪くなるため、寒冷なヨーロッパ北部は生産に不向きです。
他のマメ科植物同様、根粒菌と共生して空気中の窒素を栄養として取り込むため様々な土壌に適応できます。

日本では栽培時期によって夏ダイズと秋ダイズに分けられます。
夏ダイズは土の温度が15℃以上になる4~5月に種をまき、7~8月に収穫します。
秋ダイズは6~7月に種をまき、11月頃に収穫します。

連作障害の問題があるためアメリカ合衆国のコーンベルト(とうもろこし地帯)ではトウモロコシとの輪作が行われています。
次の地図の濃い緑色が東西に広がるエリアがコーンベルトです。

米国のトウモロコシ生産量の分布。トウモロコシの栽培が盛んな地域は、中西部のアイオワ州やイリノイ州を中心に同緯度に帯状に広がるため、とうもろこし地帯(コーンベルト)とよばれる。凡例のブッシェルは穀物の計量に使われる体積の単位である。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2023/1/9閲覧

大豆の用途

大豆とその加工品。大豆の豆が敷き詰められている上に、スコップに入った大豆粕(左)とビーカーに入った大豆油(右)が置かれている。大豆から絞り出した油が大豆油であり、残った部分が大豆粕である。出典:Wikimedia Commons, ©United Soybean Board, CC BY 2.0, 2023/4/9閲覧

大豆は東アジアで伝統的に食べられてきましたが、20世紀以降は大豆油や飼料用としての用途が大半を占めるようになりました。

食用としての大豆は栄養価が高い一方、そのまま食べると(煮炊きしても)消化に悪いため、豆腐や発酵食品(味噌や醤油)などの形で食べられています。

20世紀前半には満洲(まんしゅう、中国東北部)に進出した日本人により品種改良や技術改良が行われて用途が広がり、大豆から大豆油を取り出すようになりました。
大豆を圧搾して油(大豆油)を取り出し、しぼりかす(大豆粕、だいずかす)を飼料用や食品工業用(味噌や醤油の原料)に使います。
現在では、世界のダイズの生産量の87%が大豆油や大豆粕への加工用に使われています(2018年)。

生産量と輸出入量

ダイズ(大豆)の国別生産量(2018年)。大規模な農業が行われる米国やアルゼンチン、ブラジルで生産量が多い。出典:Wikimedia Commons, ©国連食糧農業機関(FAO), CC BY-SA 3.0, 2023/4/9閲覧

ダイズ(大豆)は大豆油製造用や家畜飼料用として広く利用されますが、その生産国は偏っています。
ダイズは企業的農業により大規模栽培が行われ、生産量・輸出量ともに米国とブラジルが世界全体の大半を占めます。
生産国上位の中国とインドは人口が多い国であり、その他の生産・輸出量上位の国はいずれも南北アメリカ大陸の国々です。

ダイズは遺伝子組換え作物の普及が非常に進んだ作物であり、全世界の作付面積の83%が遺伝子組換え作物です。
生産量・輸出量上位の国はいずれも遺伝子組換え作物を大規模に栽培している国が並びます。
遺伝子組換え作物は栽培効率の面で多くのメリットがあるため価格競争力が強く、日本も含めて世界中で消費されています。

大豆の生産量(2017年)。出典:データブックオブ・ザ・ワールド2020年版 p58 二宮書店

大豆の貿易(2016年)。出典:データブックオブ・ザ・ワールド2020年版 p58 二宮書店

輸入国を見ると、人口が多く歴史的に大豆を消費してきた中国が大半を占めます。
その他には元々ダイズを栽培する文化が無かったヨーロッパ諸国が並びます。
ダイズはヨーロッパ北部の寒冷すぎる気候は栽培に不向きな上に、ダイズの栽培をはじめるためには土壌に新たに根粒菌を導入する必要があるためヨーロッパでの生産量が少なく、特に輸入量が多くなります。

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参考文献

ダイズ ウィキペディア 2023/4/9閲覧
ダイズ(だいず)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2023/4/9閲覧
Soybean, Wikipedia 2023/4/9閲覧
地理用語研究会編「地理用語集第2版A・B共用」山川出版社(2019)
ブラジルの大豆・トウモロコシをめぐる最近の情勢(前編)~生産はマットグロッソ州を中心に今後も拡大の見込み~(海外情報 畜産の情報 2020年8月号) 独立行政法人農畜産業振興機構 2024/2/29閲覧
大西志全「アメリカコーンベルトの農業と大豆育種」北農 83(4) 417-423 (2016)
日本の大豆搾油業の黎明 一般社団法人日本植物油協会 2023/4/9閲覧
薄井寛「第 13 回:大豆油とバイオ燃料の2つの「油」が世界の食料貿易を激変させる(その1)~小麦・トウモロコシをすでに追い抜いた大豆・大豆粕の貿易量~」 JA総合研究所 (2019年7月31日)
大豆油 | 最新油脂事情 幸書房 2023/4/9閲覧

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