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砂糖の原料となる糖料作物(サトウキビ・テンサイ他)

砂糖は世界中で菓子や料理などに使われていますが、限られた作物を原料とするため生産地が限られます。
ここでは、砂糖の原料となる作物についてまとめています。

砂糖と糖料作物

様々な色の砂糖。それぞれ精製糖(左上)、精製前(右上)、ブラウン・シュガー(左下)、サトウキビ由来の甘蔗糖(かんしょとう、右下)である。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2023/5/13閲覧

砂糖は菓子や清涼飲料水、料理などで甘みをつけるために利用されている調味料です。
糖分を多く含む作物を原料として製糖工場で工業的に製造して得られます。

砂糖の原料として栽培される作物を糖料(とうりょう)作物といいます。
砂「糖」の原「料」となる「作物」です。
糖料作物には、サトウキビ、テンサイ(甜菜、サトウダイコン)、サトウカエデ、サトウヤシなどがあります。

糖料作物から糖分が多く含まれる部位を収穫し、絞り出して不純物を取り除くこと(製糖)で砂糖が得られます。

参考

現在では砂糖は菓子や清涼飲料水、料理などで甘みをつけるために多量に利用されている調味料です。
しかし、砂糖は歴史の長い期間で大多数の人々にとって入手困難なものでした。
そのため、現代の砂糖を使ったお菓子とは対象的に、砂糖が伝来する前の人々にとっての菓子は甘い果物のことでした。
このような歴史的経緯があるため、砂糖(甘味料)を使って製造した加工食品である和菓子や洋菓子と区別して、果物のことを「水菓子」とよびます。

糖料作物

開花したサトウキビ(モザンビーク西部・マニカ州)。サトウキビは熱帯や亜熱帯(熱帯隣接地域)で栽培される作物であり、砂糖の原料として最も多く栽培されている作物である。出典:Wikimedia Commons, ©Ton Rulkens, CC BY-SA 2.0, 2023/5/14閲覧

ここからは、砂糖を得るために栽培される糖料作物について紹介します。
主要な糖料作物として、熱帯・亜熱帯地域で栽培されるサトウキビ亜寒帯(冷帯)~温帯で栽培されるテンサイがあります。
砂糖の生産量は、サトウキビ由来が1億3500万トン、次いでテンサイ由来が3500万トン(2020年)となっています。

以下では、サトウキビ、テンサイ、その他の糖料作物について順に紹介します。

サトウキビ

収穫されたベネズエラ産サトウキビ。サトウキビを原料として製糖工場での工業的な精製を経て砂糖が生産される。出典:Wikimedia Commons, ©Rufino Uribe, CC BY-SA 2.0, 2023/5/20閲覧

砂糖の原料として最も多く栽培されている作物はサトウキビです。
サトウキビの栽培は熱帯~亜熱帯に限られる一方で砂糖は世界中で需要があるため、国際的に広く取引される重要な商品作物です。
サトウキビについては次のページでまとめています。

参考サトウキビの栽培と歴史

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テンサイ

畑に埋まるテンサイ。テンサイ(別名:砂糖大根)は寒冷な中高緯度地域で栽培され、砂糖の原料となる作物である。ビートとよばれることもあるが、正確にはビートのうち砂糖生産用の品種をテンサイとよぶ。出典:Wikimedia Commons, ©User:MarkusHagenlocher, CC BY-SA 3.0, 2023/5/20閲覧

テンサイ(てんさい、甜菜、別名:砂糖大根)はサトウキビ同様に砂糖の原料となる作物です。
ビートとよばれることもありますが、正確にはたくさんあるビートの品種のうち砂糖生産用に栽培される品種群をテンサイとよびます。
ビートの品種改良を繰り返すことで、糖分の含有量が多い品種を作り出し、それらの砂糖生産用品種がテンサイとして栽培されています。

テンサイは寒冷な中高緯度地域で栽培できるため、気候的にサトウキビが栽培できない地域でも砂糖を生産できるという点で画期的な作物です。
19世紀にヨーロッパで栽培がはじまり、大正時代(1919年)には北海道で本格的な栽培と砂糖の生産がはじまりました。
現在では、世界の砂糖消費量のおよそ30%がテンサイ由来です(約7割がサトウキビ由来)。

テンサイの生産量上位はロシア、フランス、ドイツ、米国、トルコです。
ヨーロッパ北部の涼しい国や米国北部の涼しい気候の州で栽培されます。
トルコでは、温暖な地中海沿岸ではなく標高が高く涼しい内陸部(アナトリア高原)で栽培されます。

世界のテンサイの生産量(2000年)。テンサイは温帯~亜寒帯(冷帯)の地域で栽培されている。ヨーロッパ(フランス北部、ドイツ等)や北米(米国・カナダ国境周辺)で栽培が盛んである。ミネソタ大学環境研究所編。出典:Wikimedia Commons, ©AndrewMT, CC BY-SA 3.0, 2023/5/21閲覧

その他の糖料作物

紅葉したサトウカエデ(ラヴァル大学、カナダ東部・ケベック州ケベックシティ)。サトウカエデはカナダの代表的な樹木である。樹液から甘味料であるメープルシロップが得られるため、糖料作物としても利用される。出典:Wikimedia Commons, ©Cephas, CC BY-SA 4.0, 2024/3/6閲覧

サトウキビやテンサイ以外にも、糖分を多く含む作物から砂糖を生産することができます。
一例として、サトウカエデやオウギヤシ(サトウヤシ)などがあります。

サトウカエデとメープルシロップ

カナダ東部・ケベック州産のメープルシロップ。北米に生育するサトウカエデの樹液を濃縮したものをメープルシロップという。メープルシロップは甘味料として使われる。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2023/5/21閲覧

北米に生育するサトウカエデの樹液を煮詰めて濃縮したものをメープルシロップといいます。
メープルシロップ自体が調味料として利用されますが、更に煮詰めて固形化させたものをメープルシュガーといいます。

メープルシロップの生産量は、カナダが世界生産量の8割を占めます。
カナダの国旗に描かれている葉はサトウカエデのものです。

カナダの国旗(1965~)。カナダの代表的な樹木であり、メープルシロップの原料となるサトウカエデ(砂糖楓)の葉が描かれている。1965年までは英国の植民地であったことからユニオンジャックを用いた国旗が使用されていた。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/3/6閲覧

 

サトウヤシとパームシュガー

サトウヤシから樹液を採取する様子。竹製の容器を樹木に固定して樹液がたまるのを待つ。採取した樹液からはパームシュガーとよばれる甘味料が得られる。出典:Wikimedia Commons, ©VoDeTan2 Dericks-Tan, CC BY-SA 4.0, 2024/3/6閲覧

熱帯で栽培されているサトウヤシの樹液からも砂糖を生産できます。
サトウヤシから得られた砂糖をパームシュガーといいます。
パームシュガーはタイなどの東南アジアをはじめ、ヤシが生育できる熱帯地域で栽培されています。

サトウヤシの樹液から作り出したパームシュガー。パームシュガーはヤシが生育できる熱帯地域で生産されている。出典:Wikimedia Commons, ©VoDeTan2 Dericks-Tan, CC BY-SA 3.0, 2023/5/21閲覧

 

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参考工芸作物(嗜好作物・油料作物・繊維作物等)

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参考商業的農業(自給的/商業的混合農業・酪農・地中海式農業・園芸農業)

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参考熱帯の気候(熱帯雨林気候・熱帯モンスーン気候・サバナ気候)

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参考文献

Sugar, Wikipedia 2023/5/13閲覧
ブラウン・シュガー ウィキペディア 2023/5/13閲覧
糖料作物(とうりょうさくもつ)とは? コトバンク 百科事典マイペディア 2023/5/6閲覧
砂糖 ウィキペディア 2023/5/6閲覧
サトウキビ ウィキペディア 2023/5/13閲覧
砂糖の歴史 ウィキペディア 2023/5/6閲覧
テンサイ ウィキペディア 2023/5/20閲覧
甜菜とは? 日本甜菜製糖株式会社 2023/5/20閲覧
メープルシロップ ウィキペディア 2023/5/21閲覧
Flag of Canada, Wikipedia 2024/3/6閲覧
パームシュガー ウィキペディア 2023/5/21閲覧

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