地表の7割を占める海洋は、一定方向に流れる海流をつくりながら循環しています。
このページでは、海流の種類について成因別に紹介します(吹送流・補流・傾斜流・密度流)。
海流の成因
海流は、海洋において海水が一定方向に帯状に動く流れです。
河川とは異なり、時期によって水が流れる方向が変わることがあります。
短期的には流れる向きや速度などが変わることがあっても、長期的に平均を取ると一定方向に動きます。
このような海流が発生する原因としては、卓越風(ある期間に一定方向に吹きやすい風)や塩分濃度の差といったの要因があります。
以下では、海流の成因別分類である吹送流、補流、傾斜流、密度流について解説します。
吹送流

吹送流は、大気に接する海水面にて、風の流れに引っ張られて動く海流です。
海水面付近では、大気に接しているため風の影響を受けて海流が発生します。
海水面付近の海流を表層流と呼び、海水面を吹く卓越風(ある期間に一定方向に吹きやすい風)に引っ張られて同じ方向に動く海流が生じます。
このように、風に押されて発生する海流が吹送流(風が吹いて送られる風)です。
吹送流の例としては、貿易風に押されて低緯度地域を西進する北赤道海流・南赤道海流や偏西風に押されて中緯度地域を東進する北太平洋海流や北大西洋海流などがあります。
補流

補流は、他の海流による海水の動きを補うように動く海流です。
ある場所の海水が卓越風に押されて吹送流により一定方向に流れると、海水が多い場所と少ない場所の偏りが生じるため、それを補うように直接卓越風に押されていない場所でも海流が発生します。
補流の例として、赤道直下を東進する赤道反流があります。
赤道反流は、低緯度地域を西進する北赤道海流・南赤道海流に挟まれています。
これらの南北の赤道反流は海水を大洋の西端に運びますが、そのままでは大洋の西端に海水が溜まってしまうため、それを解消するように、2つの海流の間の赤道を東向きに海水を運んでいく赤道反流が形成されます。
傾斜流

傾斜流は、海水面の高低差に起因して動く海流です。
海水面は一見同じ高さに見えますが、高気圧や低気圧の影響を受けたり、河川から大量の水が流入するなどして、局所的に海水面が高い/低い場所が発生します。
この際に、海水面が高い場所から低い場所へ向かって動く流れが傾斜流です。
傾斜流が地球を南北に動く際には、コリオリの力が働き、北半球では進行方向右側、南半球では進行方向左側に引っ張られます。
北太平洋を例に考えると、貿易風に押された西向きの北赤道海流によって太平洋西端(フィリピン諸島付近)に集められた海水は、局所的に海水面が高くなり、一部は傾斜流によって北進します。
この際、地球の自転速度が速い(地球一周の長さが長い)低緯度地域から、自転速度が遅い(地球一周の長さが短い)高緯度地域に向かって移動します。
この結果、海流自体は同じ速度で自転しているにもかかわらず、高緯度地域では相対的に周囲より速い速度で自転しているように見え、結果として東に流されていきます。
同様に、偏西風に押された東向きの北太平洋海流によって大洋東端(北米大陸西海岸沖)に集まった海水は、傾斜流によって南北に進み、南進した海流(カリフォルニア海流)は、自転速度が速い低緯度地域で周囲より自転速度が遅いため西に流されていきます。
これらの海流は、吹送流である北赤道海流と北太平洋海流とともに北太平洋の海洋の大循環を構成しています。
密度流

密度流は、海水の密度差に起因して発生する海流です。
海流は風の影響だけではなく、海水の密度(主に塩分濃度)の違いによっても発生します。
海水の密度に違いが発生する場所としては、海水面が凍結する高緯度地域が挙げられます。
高緯度地域では、気温が低く海水面が凍結して海氷を作ります。
この際、できるだけ水分だけで凍ろうとするため、海水から水分が失われる一方で塩分は残り、残された海水の塩分濃度が上昇します。
塩分濃度が高い海水は密度が高く重いため、海水面付近の海水が深海に向かって沈み込みます。
参考文献
海流(カイリュウ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典 2026/6/30閲覧
吹送流(スイソウリュウ)とは? コトバンク 百科事典マイペディア 2026/7/1閲覧
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補流(ホリュウ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典 2026/7/1閲覧
海洋大循環とは?わかりやすい概要とメカニズム、観測方法 Beyond Our Planet NTT R&D Website 2026/7/1閲覧
傾斜流(ケイシャリュウ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/7/8閲覧
密度流(ミツドリュウ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、日本大百科全書(ニッポニカ)、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/7/1閲覧