気候 系統地理

陸水の分類(氷雪・地表水・地下水)

河川や湖沼、地下水など陸地に囲まれた水を陸水といいます。
陸水には、河川や湖沼など地表に存在する地表水と地中に存在する地下水があります。
このページでは、陸水を地下水と地表水に分けて解説します。

陸水とは

雪の忍野(おしの)と富士山(山梨県南東部・忍野村・鯉の池)。忍野村は忍野八海と呼ばれる湧水池が点在する観光地であり、鯉の池自体は忍野八海には含まれないものの近接した場所に立地する。この写真に映る池の水や積雪はいずれも陸水であり、淡水として利用可能な水資源である。しかし、現実には積雪を直接利用するのは難しいため、河川水や湖水(雪解け水も流入)などの地表水を取水したり、地下に浸透した地下水をくみ上げて利用するのが主となる。出典:Wikimedia Commons, ©Hiroaki Kaneko, CC BY-SA 3.0, 2026/6/5閲覧

陸水とは、地球上に存在する水のうち海洋以外に存在する水の総称です。
海洋以外の陸域(地表と地下)に存在する水としては、地表に存在する地表水や地下に存在する地下水、寒冷地や高山の氷雪が含まれます(空気中の水蒸気は含まない)。

地球上の水の大半(97.5%)を占める海水は塩分濃度が高く(3-4%)、飲用水や農業用水として利用できません。
海洋の水は塩分濃度が高いため、人間が飲むと逆に水分が奪われてしまいます。
生体内よりも海水の方が塩分濃度が高いため、体内の水分が濃度の高い海水を薄めようと海水の方へ移動するためです(浸透圧)。
このため、陸水は人間の活動によって非常に重要な水資源です(注:塩湖など塩分濃度が高い地表水・地下水も陸水に含まれます)。

地球上の水の循環の模式図。地表の水(主に海水)は太陽光に温められて一部が蒸発したり、植物の活動により蒸散する。蒸発散した水分は水蒸気となり、上空で冷却されて雲を形成し、一部は陸上に流れて地表に降水をもたらす。地表に降った雨や雪は地表を流れながら河川を形成し、一部は地下に浸透して地下水となる。地表の水は一部が蒸発しながら低い場所へ流れていき、最終的には海洋に到達する。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/4/14閲覧

氷雪

西側の伯耆(ほうき)町から望む冠雪した大山(だいせん、1,729m, 鳥取県西部・大山町)。地球上に存在する水のうち淡水はわずか2.53%であるが、1.76%は氷雪(氷河や積雪)である。氷雪の直接利用は難しいため、春先に雪解け水が流れ込んだ河川水や地中に浸透した地下水・湧水を利用することで間接的に氷雪を利用している。出典:Wikimedia Commons, ©mstk east, CC BY 2.0, 2026/6/6閲覧

氷雪は、雪や氷のような固体の水を指す言葉です。
寒冷地や高山では、降水は低温のための雪となり、雨とは異なり流出せずにその場に積もり、積雪となります。
積雪は気温が高い夏季に融けて水となり流出しますが、夏でも寒冷な場所では積雪が融けずに積み重なって圧縮され、氷河を形成します。

地球上に存在する水のうち淡水はわずか2.53%であり、そのうち1.76%分は氷雪(氷河や積雪)です。
しかし、氷河や積雪は、直接水資源として利用するのは難しいです。
このため、春先に雪解け水が流れ込んだ河川水や地中に浸透した地下水・湧水を利用することで間接的に氷雪を利用しています。
積雪がある山岳地帯を流れる河川の下流部では、冬季は積雪により上流の降水が下流に流れて来ずに水量が減りますが、気温が上がる春先には積雪が融けるため、下流部の河川も増水します。
このように上流部の積雪の有無は、河川の水量変化(河況かきょう係数)を大きくする一因となります。

信濃川と利根川の月別の河川水量推移(1989-2002年の平均値)。信濃川は新潟県中部・小千谷市、利根川は埼玉県北部・久喜市栗橋の観測値である。流域に豪雪地帯が多い信濃川は雪解け水の影響で春先に河川水量が非常に多くなるのに対し、利根川は台風の影響を受ける9月頃にピークが来る。台風の影響を受ける8-10月頃は、信濃川と利根川で水量の差が小さいが、雪解け水の影響を受ける3-5月頃の水量の差は非常に大きい。また、利根川流域は夏季に降水が多い太平洋側気候で、9月頃に水量ピークが来るのに対し、信濃川流域は冬季に降水が多い日本海側気候で、積雪~融雪の時間差から4月頃に水量がピークになる。出典:融雪洪水(ゆうせつこうずい) 国土交通省 北陸地方整備局  2026/6/6閲覧

地表水

黒部峡谷の十字峡(富山県南東部・立山町)。右手前から左奥に向けて流れる黒部川の本流に対し、両側から河川が合流している。それぞれの河川が地面を削り急峻なV字谷が形成され、合流地点では十字状にV字谷が形成されている。雨水は標高が低い場所に向かって流れていき、川筋を形成して合流しながら次第に大きな河川を形成し、海に向かって流れていく。出典:Wikimedia Commons, ©Yasu, CC BY-SA 3.0, 2026/6/6閲覧

地表水は、陸水のうち地表に存在する液体の水の総称です。
主に河川と湖沼に存在する水が該当します。
地表に存在する水であっても、氷河積雪のような固体の水や空気中の水蒸気は地表水には含まれません。
また、海水と同様に塩分濃度が高い塩湖であっても、陸地に囲まれた湖の水は地表水です。

地表水の多くは淡水であり、生活用水や農業用水、工業用水の水源となる貴重な水資源です。
しかし、陸水に占める地表水の割合は限られています。
地球上に存在する淡水の大部分は氷雪(氷河と積雪)と地下水であり、地表水(河川水や湖水)は地球上の淡水の0.2%(地球上の水全体の0.01%)に過ぎません。
さらに、河川水は大雨が降っても速やかに流れていくので、利用したいときに利用できるとは限りません。
このため、人工的にため池やダムを建設して水を貯め、必要な時に利用できるようにしています。

明治時代(1900年)に生田川上流に建設された布引ダム(布引五本松堰堤)と布引貯水池(兵庫県南東部・神戸市中央区)。布引ダムは日本初のコンクリーダムであり、急傾斜のため短時間で海まで雨水が流出してしまう六甲山地において、上流から流れてきた水を留めている。布引ダムは現在でも水道専用ダムとして使われており、貯水した水を神戸市中心部へ供給している。出典:Wikimedia Commons, ©663highland, CC BY 2.5, 2026/6/7閲覧

地表水とその利用については、次のページで詳しく解説しています。

参考地表水とその利用(河川水・湖水)

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地下水

鍾乳洞内部の地下水面(沖縄本島南部・南城市・玉泉洞・青の泉)。玉泉洞の内部には8つの地下水脈が存在し、洞内を地下河川が流れている。なお、水面の青色はライトアップによる演出である。出典:Wikimedia Commons, ©663highland, CC BY 2.5, 2026/6/6閲覧

地下水は、陸水のうち地下に存在する水のことです。
降水によって地表にもたらされた水の一部は地下に浸透し、地下水となります。
地表に水が存在しない場所でも地下水脈が存在する場合もあり、特に砂漠などの地表が乾燥した地域では重要な水資源です。

地下水の利用には、井戸を掘削して水をくみ上げて利用したり、地表に自然に噴出する湧水を直接利用します。
地下水は滞留している場所の地下構造に応じて自由地下水被圧地下水に分かれます。
地層には水を通しやすい透水層帯水層、主に粒子が大きい砂礫)と水を通しづらい不透水層(正確には難透水層、粒子が小さい粘土や泥炭など)があります。
自由地下水は地表から最も近い透水層に位置し、比較的浅い位置に存在することから、古くから地中を数m程度を掘り進めて浅井戸を作り、桶などを下して水を入れ、人力でくみ上げて利用されてきました(現代では電動ポンプにより自動的にくみ上げ)。
一方、被圧地下水は上下を不透水層に挟まれた透水層に位置し、不透水層に挟まれて常に圧力がかかっているため、掘削時に地表に水が噴出することもあります(自噴せい)。

地下の地質構造と地下水流動の概念図。地下水は雨水が地中に浸透して地中に層状に滞留した水資源である。地下水には2種類が存在し、地表との間に水を通さない難透水層が存在しない自由地下水(不圧地下水)と難透水層を挟む被圧地下水が存在する。自由地下水を利用する井戸を浅井戸とよび、被圧地下水を利用するために掘った井戸を深井戸と呼ぶ。台地の下を流れる自由地下水は、台地の末端の崖線で地表に湧水として現れることがある。出典:持続可能な地下水の保全と利用に向けて(令和4年7月) 東京都環境局 2026/4/29閲覧

地下水とその構造については、次のページで詳しく解説しています。

参考地下水とその構造・分類(自由地下水と被圧地下水・宙水)

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参考文献

地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
陸水 環境用語集 EICネット 一般財団法人環境イノベーション情報機構 2026/6/5閲覧
陸水(リクスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典 2026/6/5閲覧
地表水(チヒョウスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、百科事典マイペディア 2026/6/5閲覧
布引五本松ダムとは? コトバンク デジタル大辞泉プラス 2026/6/7閲覧
布引ダム(兵庫県神戸市) 日本の土木遺産 一般社団法人 建築コンサルタンツ協会 2026/6/7閲覧
布引五本松堰堤(ぬのびきごほんまつえんてい) 神戸市 2026/6/7閲覧
神戸市の水道水源と給水区域 神戸市水道局 2026/6/7閲覧
玉泉洞(ギョクセンドウ)とは? コトバンク 日本歴史地名大系、日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典 2026/6/6閲覧
地下水(チカスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、百科事典マイペディア、最新 地学事典 2026/5/15閲覧
自由地下水(ジユウチカスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/5/15閲覧
被圧地下水(ヒアツチカスイ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、日本大百科全書(ニッポニカ)、最新 地学事典 2026/5/16閲覧

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