地形 系統地理

狭まる境界(収束境界)とその分類(沈み込み型・衝突型)

狭まる境界(収束境界)は2つのプレートが互いぶつかり合うように動くプレート境界であり、主に大陸と大洋の境界付近に位置します。
このページでは狭まる境界とその分類(沈み込み型と衝突型)について解説していきます。

プレートテクトニクス広がる境界海洋大陸)・狭まる境界(沈み込み帯地形)・衝突帯)・ずれる境界

狭まる境界(収束境界)とは

プレート境界の地形や地質構造の模式図。左側から順に狭まる境界(海洋-海洋型)、ホットスポット、広がる境界(海洋リフト)、狭まる境界(大陸-海洋型)、広がる境界(大陸リフト)を表している。(出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/8/18閲覧

狭まる境界(収束境界)は、2つのプレートが互いにぶつかりあうように動くプレート境界です。
2つのプレートが押し合うため強い力がたまりやすく、狭まる境界は地震が発生しやすい場所です。

狭まる境界は、主に大陸と海洋(大洋)の境界付近に分布します。
大陸側のプレート(大陸プレート)と海洋側のプレート(海洋プレート)がぶつかると、密度が高く重い海洋プレートが密度が低く軽い大陸プレートの下に潜り込みます(沈み込み帯)。
一方、密度に差がない大陸プレート同士がぶつかると、片方のプレートがもう片方のプレートに乗り上げて隆起し、巨大山脈ができあがります(衝突帯)。

広がる境界(発散境界)は地球内部からのマグマが新しい地殻を作る場所であるのに対し、狭まる境界は地殻(プレート)が地球内部に戻っていく場所です。
大陸プレートと海洋プレートがぶつかる狭まる境界では、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込み、高温高圧環境で岩石が溶けてマグマになります。
マグマの一部は絞り出されるように大陸プレートを貫通して地表へ噴出します。
そのため、狭まる境界の大陸プレート側では、プレート境界に沿うように活火山が分布します。

狭まる境界の分布

2022年の研究に基づく世界のプレートの分布と境界。プレート境界は種類別に色分けしている。広がる境界(発散境界)は赤系、狭まる境界(収束境界)は青系、ずれる境界(すれ違う境界)はオレンジと緑色である。ソマリアプレートはアフリカプレートの一部であり、アフリカ大地溝帯を境界としてアフリカ大陸から分裂しようとしている部分である。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, ©M.Bitton, CC BY-SA 3.0, 2024/8/1閲覧

狭まる境界は主に大陸と海洋(大洋)の境界付近に分布します。
プレート境界は大陸の海岸線ではなく、やや沖合に位置することが多いです。
上図では、狭まる境界を沈み込み型(青)と衝突型(紫)に分けて示しています。

狭まる境界で多いのは沈み込み型です。
沈み込み型は大陸側のプレート(大陸プレート)と海洋側のプレート(海洋プレート)の狭まる境界です。
沈み込み型の狭まる境界は、太平洋プレートの西側境界に広く見られ、日本の東側~オーストラリアの北~北東~東側などに位置します。
また、南米大陸西海岸沖合(ナスカプレートと南アメリカプレートの境界)にも沈み込み型の狭まる境界が見られます。

一方、大陸プレート同士がぶつかる衝突型の狭まる境界の存在します。
衝突型の狭まる境界は、インド北部(ヒマラヤ山脈)が代表的です。
ヒマラヤ山脈は大陸プレート同士が衝突した場所であり、南側のインドプレートが北側のユーラシアプレートの下に潜り込み、上側のユーラシアプレートが圧力をうけて隆起してできた巨大山脈です。

広がる境界(発散境界)は地球内部からのマグマが新しい地殻を作る場所であるのに対し、狭まる境界は地殻(プレート)が地球内部に戻っていく場所です。
そのため、1つのプレートのちょうど反対側に広がる境界と狭まる境界が位置する傾向にあります。
たとえば、太平洋プレートは東側境界(北米~南米沖)に広がる境界が分布し、西側境界(日本の東~オーストラリア東沖)に狭まる境界が分布しています。
そのため、太平洋プレートでは東側境界で作られた地殻が長い時間をかけて西に向かって移動し、やがて西側境界に到達すると地球内部に潜り込んでいくという地殻の形成~消失の流れができています。

狭まる境界の分類

狭まる境界は、ぶつかり合うプレートの種類によって沈み込み型と衝突型に分類できます。

沈み込み型は密度が高く重い海洋プレートと密度が高く軽い大陸プレートがぶつかる狭まる境界です。
一方、衝突型は密度が同程度の大陸プレート同士でぶつかる狭まる境界です。

また、ぶつかるプレートの組み合わせは3種類あるため、大陸-海洋型、海洋-海洋型、大陸-大陸型に分けられます。
このうち、大陸プレート同士がぶつかる大陸-大陸型が衝突型に対応し、残り2つが沈み込み型に対応します。
大陸-海洋型と海洋-海洋型はいずれも大陸プレートと海洋プレート同士の狭まる境界ですが、ぶつかり合う場所が少し違います。
海洋-海洋型は、大陸から離れた沖合にプレート境界が位置するため、大陸の沖合に火山島が円弧のように並んだ弧状列島ができます(例:日本列島)。
一方、大陸-大陸型では、プレート境界が大陸に近すぎるため、火山が大陸上に出現し、その影響で大陸の海岸沿いに火山が点在する山脈ができあがります。(例:南米のアンデス山脈)

以下では、これら狭まる境界の分類についてそれぞれ解説しています。

沈み込み型(沈み込み帯)

沈み込み帯周辺の地形と地質構造の模式図。沈み込み帯は広がる境界(収束境界)のうち、低密度で軽い大陸プレートの下に高密度で重い海洋プレートが潜り込む場所である。海洋プレートが地球内部に潜り込むプレート境界には海溝が形成され、大陸側には火山が弧状に並ぶ弧状列島(島弧)などの地形が見られる。出典:Wikimedia Commons, ©KDS4444, 日本語訳:ObladiOblada, CC BY-SA 3.0, 2024/8/18閲覧

海洋上に位置する狭まる境界(収束境界)は、重い海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込むため沈み込み帯とよばれます。
沈み込み帯では、地球内部に潜り込んだ海洋プレートが高温高圧環境下で融解してマグマになります。
マグマの一部は絞り出されるように大陸プレートを貫通して地表へ噴出します。
このため、プレート境界の大陸側では沈み込み帯に並行して火山が弧を描くように並びます
プレート境界と大陸との距離に応じて火山ができる位置が変わり、火山の位置に応じて沈み込み帯は2つに分類できます。

参考沈み込み帯:海洋上の狭まる境界(収束境界)

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参考沈み込み帯(狭まる境界)の地形(海溝・トラフ・弧状列島など)

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大陸-海洋型

広がる境界(収束境界)の模式図(沈み込み型、大陸-海洋型)。大陸-海洋型では、低密度で軽い大陸プレートの下に高密度で重い海洋プレートが潜り込む(沈み込み帯)。沈み込んだ地殻は高温高圧環境下で溶けてマグマとなり、一部は絞り出されるように大陸プレートを貫通して地表へ噴出する(活火山)。大陸-海洋型では沈み込み帯の位置が大陸から近いため、大陸上に火山が弧を描くように分布し、その噴火の影響で海岸線に沿うように巨大山脈ができあがる。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/8/18閲覧

プレート境界が大陸に十分に近い場合、火山は大陸上に位置します。
火山はプレート境界に沿って列をなすように並び(火山列)、大陸の海岸線には火山が点在する山脈が形成されます。
この例として、南米大陸西海岸を南北に走るアンデス山脈があります。
南米西海岸沖合では、西側のナスカプレート(海洋プレート)が東側の南アメリカプレート(大陸プレート)の下に潜り込む沈み込み帯が存在し、アンデス山脈はその東側を並行しています。

海洋-海洋型

広がる境界(収束境界)の模式図(沈み込み型、海洋-海洋型)。海洋-海洋型では、低密度で軽い大陸側のプレートの下に高密度で重い海洋プレートが潜り込む(沈み込み帯)。沈み込んだ地殻は高温高圧環境下で溶けてマグマとなり、一部は絞り出されるように大陸プレートを貫通して地表へ噴出する(活火山)。海洋-海洋型では沈み込み帯の位置が大陸から遠いため、大陸の沖合に火山が円弧状に分布し、その噴火の影響で火山島が円弧状に並ぶ弧状列島(島弧)ができあがる。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/8/18閲覧

海洋上のプレート境界が大陸から離れていると、火山は海洋上に位置します。
火山は噴火を繰り返して火山島を形成し、プレート境界に沿って列をなすように火山島が並びます(火山列)。
島々は直線ではなく円弧を描くように並ぶため、このような島々を弧状列島(こじょうれっとう)または島弧(とうこ)とよびます。
弧状列島の島々はアンデス山脈やロッキー山脈などの大陸-海洋型の火山よりは海抜高度(海面からの高さ)が低いですが、それは山の麓が海の下に沈んでいるからです。
海底からそびえ立つ巨大山脈の上側部分が島となって海面から顔を出し、それが連なっているのが弧状列島です。

弧状列島は日本列島など西太平洋で数多く見られます。
多くの弧状列島は太平洋プレートの西側境界に位置し、環太平洋造山帯(の北~西側部分)を構成しています。

衝突型(衝突帯・大陸-大陸型)

広がる境界(収束境界)の模式図(衝突型、大陸-大陸型)。大陸-大陸型では、低密度で軽い大陸プレート同士がぶつかり合い、片方のプレートがもう片方のプレートの上に乗り上げる(衝突帯)。乗り上げたプレートは横から強い力を受けて波を打つように変形(褶曲)し、褶曲山脈とばれる山脈が形成される。この図では左側のプレートの上に右側のプレートの上に乗り上げて褶曲山脈が形成されている。さらに右側のプレートの山脈側には標高が高い高原が形成されている。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/8/28閲覧

大陸上に狭まる境界(収束境界)が位置する場所では、大陸プレート同士がぶつかり合う衝突帯が見られます。
衝突帯では片方のプレートがもう片方プレートに乗り上げるため、横から強い力を受けて褶曲(しゅうきょく)断層(逆断層)といった地形が多数形成されます。
褶曲や断層(逆断層)によって地面が隆起して山脈が形成されます。

衝突帯の例としてヒマラヤ山脈(中国・インド他)があります。
ヒマラヤ山脈では、南側のインドプレート(インド=オーストラリアプレート)が北側のユーラシアプレートに衝突した場所であり、多数の褶曲や断層が見られます。

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参考文献

地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
Convergent boundary, Wikipedia 2024/8/17閲覧
収束性境界(しゅうそくせいきょうかい)とは? コトバンク 世界大百科事典(旧版) 2024/8/17閲覧
火山列(カザンレツ)とは? コトバンク デジタル大辞泉 2024/11/22閲覧
火山帯 ウィキペディア 2024/11/22閲覧
大陸の衝突-ヒマラヤ山脈 栃木県の地球科学 2024/8/25閲覧
褶曲山脈(シュウキョクサンミャク)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2024/8/25閲覧
Continental collision, Wikipedia 2024/8/31閲覧

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