同じ活断層がずれ動く断層運動(活断層型地震)が繰り返し発生すると、断層を境に高さが変わる断層崖がどんどん高くなっていきます。
この結果、断層山地のように山地・山脈を形成することもあります。
このページでは、断層が形作る断層地形について紹介します。
断層地形とは
断層地形とは、断層によって形作られる地形の総称です。
断層運動がおきると断層面を境に高さが変わります。
長い年月をかけて断層運動が繰り返されることで山や谷のような地形が作られていきます。
このように断層運動によって形成された地形としては、断層崖や地塁、傾動地塊などがあります。
以下では、それぞれの地形について解説していきます。
断層崖
断層崖(だんそうがい)とは、断層運動(地震)により断層の境界(断層面)が上下方向にずれ動いたことでできた崖(がけ)のことです。
断層線(断層の地表部分を結んだ線)上に数kmから数百kmにわたって直線上に伸びています。
1891年の濃尾地震(Mw 7.5)では、高さ6mもの断層崖が形成されました。
1回の断層運動(地震)で形成される断層崖の高さはせいぜい数m程度ですが、同じ場所で繰り返し断層運動がおきることで高さが積み上げられ、やがては片側が断層崖(または急斜面)となった断層山地を形成します。
地塁・地溝
大陸上の広がる境界(発散境界)など、岩盤・地層が引き伸ばされる方向に力が働く場所では、上図のように隆起した丘状の地形と沈降した谷状の地形が見られます。
丘状の部分を地塁(ちるい)、谷状の部分を地溝(ちこう)とよびます。
地塁と地溝の境界は正断層となっています。
このように正断層が地溝や地塁を作る場所は、大陸上の広がる境界であるアフリカ大地溝帯などで見られます。
アフリカ大地溝帯では、その名の通り多数の地溝が列状に並ぶ地溝帯を形成しています。
参考大陸上の広がる境界と地形(アフリカ大地溝帯・断層湖)
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傾動地塊
傾動地塊(けいどうちかい)とは、片側に急な断層崖があり、反対側がゆるやかな斜面となっている山地です。
傾動地塊が見られる場所としては、米国カリフォルニア州東部を南北に走るシエラネバダ山脈(米国西部)が代表的です。
日本では、六甲山地(兵庫県南東部、南の神戸市街側が急崖)や養老山地(岐阜・三重、東の濃尾平野(岐阜)側が急崖)、鈴鹿山脈(滋賀・三重、南東の伊勢平野(三重)側が急崖)などで傾動地塊が見られます。
三角末端面
三角末端面とは、山の尾根の末端分にできる三角形をした断層崖です。
山の尾根の端の部分を横切るように断層が走ると、断層崖により山が切り取られ、その断面は三角形になります。
ふつう、山と平野の境界は入り組んでおり、一直線に線を引いて断面を切り取ると、尾根と谷が繰り返しています。
しかし、三角末端面が見られる場所では不自然に一直線に山が途切れ、山と平野の境界は直線状になります。
三角末端面が見られる場所としては、石鎚山脈(いしづち-)の北側山麓(愛媛県東部)や比良山地(ひら-)の東側山麓(滋賀県西部)などがあります。
断層山地
断層山地とは、山地・山脈の片側または周囲が断層崖になっている山地・山脈です。
断層山地は断層運動により隆起して標高が高くなりました。
断層山地には、傾動山地と地塁山地(地塁)があります。
傾動山地は、山地の片側のみが断層崖となった(=傾動地塊が山地となった)断層山地です。
一方、地塁山地は、山地の両側・周囲が断層崖で囲まれた(=地塁が山地となった)断層山地です。
断層山地が広範囲にわたって見られる場所としては、ベイスン・アンド・レンジ(米国カリフォルニア州東部のシエラネバダ山脈からコロラド高原までの地域)があります。
他にも、中央メキシコ高原、アルティプラーノ(アンデス山脈山中の高原地帯、ペルー南東部・ボリビア西部)、チベット高原(中国西南部)、アナトリア半島(トルコ)などで断層山地が見られます。
日本の断層山地の例としては、木曽山脈(中央アルプス、長野南部)や鈴鹿山脈(滋賀・三重)などがあります。
木曽山脈は、両側が断層崖となり中央が地塁となる地塁山脈(地塁山地)です。
一方で鈴鹿山脈は、東側(三重側)が逆断層の断層崖となっており、西側(滋賀側)はゆるやかに傾斜した傾動地塊であり、傾動山地に分類されます。
参考文献
断層地形(だんそうちけい)とは? コトバンク 改訂新版 世界大百科事典、日本大百科全書(ニッポニカ) 2025/1/2閲覧
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帝国書院編集部「新詳地理資料 COMPLETE 2023」帝国書院(2023)
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三角末端面 ウィキペディア 2025/1/3閲覧
日本の地形千景 愛媛県:中央構造線断層帯(池田断層,石鎚断層,岡村断層,小松断層) 地質情報ポータルサイト 2025/1/3閲覧
断層山地(ダンソウサンチ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、日本大百科全書(ニッポニカ) 2025/1/2閲覧
ベイスン・アンド・レンジ ウィキペディア 2025/1/2閲覧
大地形(何県にもまたがるような広域の地形) 国土地理院 2025/1/3閲覧
木曽山脈(キソサンミャク)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2025/1/3閲覧
鈴鹿山脈(スズカサンミャク)とは? コトバンク 改訂新版 世界大百科事典 2025/1/3閲覧