大学入試共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験 第5問)の解説ページです。
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目次
問題と解答
共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験)の問題と解答のリンクです。
問題文のPDFは下記リンク先から入手し、図表や問題文を手元に置きながら解説(次項)を見て下さい。
リンク切れ対策のため複数サイトへリンクを貼っていますが、いずれも同一です。
入試速報トップ:河合塾|朝日新聞|
問題:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
解答:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
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解説
第5問は人口と都市に関する設問です。
問1 人口密度と穀物生産量
世界の地域別の人口密度と穀物生産量の表から南アメリカを選ぶ問題です。
地域はアフリカ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパの4地域であり、1970年と2020年の人口密度と穀物生産量が示されています。
まず人口密度が飛びぬけて高い①がヨーロッパです。
ヨーロッパは温帯に位置し、温暖湿潤で低地も多く農業に適しているため人口密度が高いです。
次に、1人当たりの穀物生産量が飛びぬけて高い②が北ヨーロッパです。
注釈にある通り北米はアメリカとカナダという先進国のみからなる地域であり、大規模栽培により効率的に穀物を生産しています(企業的農業)。
残った③と④を比較すると、③は人口密度(=人口)の増加率が高く、1人当たりの穀物生産量は元々低い上に増加もしていません。
それに対して④は人口密度(=人口)の増加率は③より低いが、1人当たりの穀物生産量は元々③より高い上に増加しています。
人口増加率の高さと1人当たりの穀物生産量の低さから、③は発展が遅れているアフリカであると推測できます。
一方、南アメリカではブラジルで森林を伐採して企業的農業を行っている場所が増えていることから、1人当たりの穀物生産量が増加している④が南アメリカであると考えられます。
正解:4
必要な知識:
・温帯に位置し低地も多いヨーロッパは人口密度が高い
・企業的農業が行われている地域
・地域ごとの人口増加率の違い
参考ページ:企業的農業(企業的穀物/畑作農業・企業的牧畜・プランテーション)
問2 人の国際移動
各国の自国民の国外居住者数と自国内の外国人居住者数を示したグラフを見て、ア~ウの国名の組み合わせを答える問題です。
ア~ウはアラブ首長国連邦、インドネシア、フランスのいずれかです。
<グラフ>
ア:国外居住者100万人未満、外国人居住者900万人
イ:国外居住者200万人程度、外国人居住者900万人
ウ:国外居住者500万人弱、外国人居住者100万人未満
まず3か国の人口規模を考えると、
アラブ首長国連邦(~1,100万人)<<フランス(~6,800万人)<<インドネシア(2.8億人)
です。
人口がここまで違うと、自国民の国外居住者数もおおむね人口に比例するはずです。
この問題はこれだけで正答にたどり着け、国外居住者の少ない順にア:アラブ首長国連邦、イ:フランス、ウ:インドネシアです。
正確な人口を知らなくても、アラブ首長国連邦は小さい国、フランスは人口5,000万~8,000万人くらい、インドネシアは2~3億人くらいの「感覚」があれば、この推測にたどり着けます。
ただし、本当はそれ以外の要因に左右されることもあるはずなので(実際に日本は人口1億人に対して国外居住者が少ない)、もう少ししっかり見ていきます。
アとイは外国人居住者が多いのに自国民の国外居住者は少ないのに対し、ウは逆に外国人居住者は少ないのに自国民の国外居住者は多いです。
このため、アとイは労働者(移民)受入国、逆にウは労働者(移民)送出国です。
人口規模と経済力を勘案すると、人口が多い発展途上国であるインドネシアが労働者(移民)送出国であるウです。
残ったフランスは先進国であり、アラブ首長国連邦は石油資源が豊富でオイルマネーにより移民を雇い入れているため労働者受入国です。
両者の違いとしては
・アラブ首長国連邦よりもフランスの方が人口規模が何倍も大きい
・フランスはEU加盟国であることから域内の移動の自由があるEU内の外国(ベルギーやドイツなど)に移動しやすい
ことから、アラブ首長国連邦よりもフランスの方が自国民の国外居住者が多いと推測できます。
よって、ア:アラブ首長国連邦、イ:フランスです。
正解:2
必要な知識:
・アラブ首長国連邦、インドネシア、フランスの人口規模(ざっくりとした大小関係)
問3 人口の自然増加率推移
3か国(フィンランド, メキシコ, アフリカのマリ)について、人口の自然増加率(1950~2020年)を示したグラフと人口ピラミッド推移を見て、メキシコを選ぶ問題です。
問題文に「アフリカのマリ」と書かれていることからマリについて前提知識を求められる問題ではなく、フィンランド、メキシコ、アフリカの3つであるという認識で大丈夫です。
なお、「自然増加率」とあることから、移民のような社会増は含まず、あくまでその国の出生数と死亡数の差からなる人口変化を見ています。
<人口の自然増加率>
A:期間を通して人口増加率は高く、上昇トレンド
B:元々人口増加率は高かったが、1960年代をピークとして長期下落傾向
C:元々人口増加率は低く、期間を通して長期下落傾向で最近はマイナス圏に近づいている
<人口ピラミッド>
カ:1960年の時点で釣鐘型で、その後はつぼ型に推移
キ:1960年はピラミッド型だが、その後は釣鐘型に推移
ク:期間を通してピラミッド型
※人口ピラミッドの分類
富士山型/ピラミッド型:子供が一番多く、年齢が上がるほど人数が減っていく多産多死
釣鐘型:子供の死亡率が激減し、年齢を重ねても人数があまり変わらず、高齢期に急激に減っていく
つぼ型:少子化で子供が少なく、中年など中間的な年齢に人口のボリュームゾーンがある(=人口ピラミッドの横幅が一番大きい)
まずアフリカは多産多死で自然増加率が高く、人口ピラミッドはピラミッド型になります。
このため、アフリカは「A」と「ク」です。
次に先進国であるフィンランドは発展途上国よりも高齢化が早く進んでおり、人口増加率は早い時期に低下し、人口ピラミッドも釣鐘型~つぼ型になるはずです。
このため、フィンランドは「C」と「カ」です。
よって残った「B」と「キ」がメキシコです。
正解:5
必要な知識:
・発展途上国と先進国の人口分布の違い
・人口ピラミッドの見方と分類
問4 都市内外の職業別就業者割合
米国の都市圏について、中心都市と周辺地域の住民の職業別就業者割合を示したグラフを見て組み合わせを答える問題です。
都市圏についてはニューヨーク都市圏とデトロイト都市圏の中からニューヨーク都市圏を、職業については管理的・専門的職業と生産・輸送職の中から生産・輸送職を選びます。
管理的・専門的職業というのは、英語の職業分類を無理やり日本語訳したものであり、大学・大学院などで高度な教育を受けた企業の「管理」職や弁護士や金融専門職、エンジニアなどの「専門」家のことです。
一方、生産・輸送職は、工場のライン工のような「生産」工場の労働者やトラックなどを運転して荷物を「輸送」するいわゆるブルーカラーの仕事です。
これは知識として覚えておくものではなく、問題文の「管理的」「専門的」「生産」「輸送」という単語から連想して理解するものです。
次にニューヨークとデトロイトの都市の性格(産業)を考えます。
ニューヨークは国際連合本部がある国際都市であり、ニューヨーク証券取引所が立地するウォール街に代表される金融の町でもあります。
一方、デトロイトは自動車産業の町であり、アメリカを代表する自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)やフォードの本社が立地します。
ここからはグラフを見ていきます。
都市圏EとFのグラフを比較すると、Eは中心都市と周辺地域の両方で職業サの比率が高く、職業シの比率は低めです。
都市圏Fは職業サの割合が周辺地域では高く中心都市で低いです。
職業シの比率は中心都市で特に高く、周辺都市でもEよりは高めです。
ここで2つの職業の性格を考えます。
デトロイトに集中する自動車メーカーでは、「生産職」が多数必要ですが、一方でメーカーの頭脳として「管理職」「専門的職業(高等教育を受けた研究開発職)」も必要です。
一方、ニューヨークで発達している金融機関や国連などの国際機関では「生産職」は必要ないです。
これをふまえると、都市圏Fの周辺地域と都市圏Eで多い職業サは、管理的・専門的職業であり、都市圏Eで少なくFで多い職業シは、自動車メーカーを中心とした生産・輸送職であると考えられます。
このため、管理的・専門的職業が多い都市圏Eがニューヨーク都市圏であり、生産・輸送職が多い都市圏Fがデトロイトです。
正解:2
必要な知識:
・デトロイトとニューヨークの主要産業
問5 日本の各種統計地図
都道府県別の統計地図が示す内容の組み合わせを答える問題です。
統計地図夕~ツは、第一次産業就業者割合、平均通勤・通学時間、持ち家住宅割合のいずれかです。
<統計地図>
タ:関東・東海・近畿・山陽(岡山・広島)で値が大きく、北東北・四国・山陰(鳥取・島根)・南九州で値が小さい
チ:北海道・北東北・長野・和歌山・四国・九州南部で値が大きく、南関東・東海・近畿で値が小さい
ツ:東北地方日本海側・北陸・長野・三重・奈良・和歌山で値が大きく、北海道・宮城・南関東・愛知・京阪神・広島・福岡などで値が小さい
まず、「タ」は人口が集中する大都市圏で値が大きく、過疎化が進む地方で小さいです。
選択肢の中で大都市ほど値が大きくなるのは、「平均通勤・通学時間」です。
大都市圏では中心部に近いほど土地代や家賃が高くなるため、郊外から長時間通勤・通学している人の割合が高くなります。
地価が高い大都市より安い地方の方が持ち家率が高いはずですし、農業漁業などの第一次産業も地方の方が多くなります(実際にチ・ツともに三大都市圏は低位)。
次に「チ」と「ツ」の違いを見ていきます。
違いは色々とありますが、北陸地方に着目すると、「チ」は低位であるのに対し、「ツ」は高位です。
北陸地方は二世帯住宅など大家族で住んでいる傾向にあり、持ち家率が高い傾向にあります。
このため、北陸で値が大きいツが持ち家住宅割合です。
残ったチが第一次産業就業者割合です。
北海道や北東北、南九州や四国の南半分など、農林水産業が盛んな地域で値が高いです。
正解:3
必要な知識:
・大都市と地方の通勤時間の傾向
・農林水産業従事者の割合が高い地域
・持ち家率が高い地域
問6 都市の人口動態とモータリゼーション
1980年と2020年の人口集中地区(市街地)の範囲と大型店舗の分布を示した地図を見て、文章中で誤っている箇所を選ぶ問題です。
①:(1980年の時点で)城跡の近くや駅付近に商業の中心地が形成されていた
→正しい
1980年時点で城跡や駅の周辺が人口集中地区になっています。
②:人口集中地区は面積が拡大するとともに、人口密度も高まった
→誤り
1980年と比べて2020年は人口集中地区が広がっているため前半は正しい。
しかし、人口集中地区の人口は8%程度(57,328/52,920=1.08)しか増加していないにもかかわらず、面積は明らかに8%以上増加しており、人口密度は下がっているはずです。
③:人口集中地区の外側の主要道路沿いにも大型店舗が立地し
→正しい
人口集中地区の外側にも大型店舗の記号(△)が点在しています。
④:(都市をコンパクトにしようとする政策として)都市中心部に様々な施設を集中させるとともに、公共交通機関の利用を促す
→正しい
都市中心部は地価が高いため駐車場の確保が難しかったり、駐車料金が高くなりがちであり、マイカーでのアクセスに不便です。
その代わりに周辺地域からの路線バスや鉄道路線が集まるため、公共交通機関での移動の利便性は高いです。
このため、住民のお出かけの目的地を都市中心部に集中させると、マイカーではなく公共交通機関を利用するようになり、バス路線や鉄道路線の周辺に集中して住むようになります。
さらには、都市中心部に住んで徒歩で施設に向かう人も増えるため、人々の居住地域が縮小します。
②が誤りであることの判断に前提知識が必要ないため、知識ゼロで正答できます。
正解:2
必要な知識:なし