気候 系統地理

低気圧と高気圧(大気圧・風向)

地球上の大気圧は絶えず変化しており、気圧が相対的に低い低気圧と高い高気圧が存在します。
上昇気流が発生して降水の原因となる低気圧と、下降気流が発生して晴天になる高気圧気候にも大きな影響を与えます。
このページでは、大気圧(気圧)について説明したうえで、低気圧や高気圧について解説します。

大気圧(気圧)

地球を取り巻く大気(空気)にも重力が働くため、地表ではその上に乗っている大気の重さにより押されています。
大気が地表を押す圧力を大気圧(気圧)と呼び、海面上の標準的な大気圧は1013.25hPa(ヘクトパスカル)です。
大気圧は地表の上に乗っている大気が押す圧力なので、標高が高いほど上に乗っている大気が少なくなるため、気圧は低くなります。
たとえば、気温0℃では海面上で大気圧は1013.25hPaであるのに対し、標高1,000mでは気温が同じ0℃であっても895hPaまで低下します。

以下では、相対的に気圧が低い低気圧と、相対的に気圧が高い高気圧について順に解説します。

低気圧

大西洋上のアイスランド島南西沖に位置する寒冷低気圧の衛星画像。低気圧では最も気圧が低い中心点に向かって風が吹き込み、上昇気流が発生するため雨雲ができやすい。この衛星画像でも、低気圧の中心に向かって渦巻き状に雲が発達している。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/2/28閲覧

低気圧は、周囲より相対的に気圧が低い区域です。
低気圧周辺では上昇気流が発生して雨雲ができやすく、低気圧性降雨が発生しやすくなります。

同じ場所であっても大気圧は絶えず変化します。
日が昇り、太陽光に照らされて地表の空気が暖められると、地表の空気が暖められて膨張し、周囲より密度が低く(軽く)なることで気圧が低下します。
その結果、軽くなった空気が上昇し、上昇気流が発生します。

低気圧があると、地表では最も気圧が低い中心点に向かって周囲から風が吹き込み、中心部では周囲から集まった空気が上昇気流により上空に運び上げられます。
上昇気流により地表の水蒸気が上空に運ばれると、温度低下により水蒸気が結露(凝結)するため、低気圧周辺には雨雲が形成されて雨が降ります(低気圧性降雨)。

低気圧の種類

低気圧には、発生場所と原理によって熱帯低気圧・温帯低気圧・寒冷低気圧の3種類が存在します。

熱帯低気圧は海水温が高い夏から秋にかけて低緯度地域で発生する低気圧です。
低緯度地域の海上で水蒸気を集め、上空で水蒸気が結露(凝結)する際に発生する熱で周囲を暖めて成長します。
台風も熱帯低気圧の一種であり、猛烈な暴風雨を伴い災害の原因となります。

温帯低気圧は、中緯度~高緯度で発生する低気圧です。
単に「低気圧」と言った場合、温帯低気圧を指すことが多いです。
低緯度地域の暖かい空気(暖気)と高緯度地域の冷たい空気(寒気)がぶつかる境界に寒帯前線が形成され、大気がかき乱される過程で温帯低気圧が発生します。

寒冷低気圧は、高緯度地域から南下してきた寒気が偏西風ジェット気流)によって切り離されて渦状になることで形成される低気圧です。
温帯低気圧とは異なり、寒気のみから成るため前線はありません。
日本上空が寒冷低気圧に覆われると、大気の状態が不安定になり、冬には豪雪、夏には集中豪雨をもたらします。

表 低気圧の種類

低気圧発生域説明
熱帯低気圧低緯度高温の海上で水蒸気を集めて発達・猛烈な暴風雨を伴う
温帯低気圧中・高緯度暖気と寒気の境界で形成・前線を伴う
寒冷低気圧中緯度南下してきた高緯度の寒気の一部が偏西風ジェット気流)で切り離されて低気圧化

高気圧

オーストラリア大陸の南に形成された高気圧の衛星画像。高気圧では下降気流が発生し、地表では最も気圧が高い中心点から周辺部に向かって風が吹き出す。上空の雲が地表に吹き下ろして消失するため、高気圧周辺では雲が見られない。この画像では高気圧を取り囲むように雲が発達しているが、高気圧がある場所は穴が開いたように雲が無い場所が広がっている。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/2/28閲覧

高気圧は、周囲より相対的に気圧が高い区域です。
高気圧周辺では下降気流が発生するため雲が少なく、晴天になりやすいです。

高気圧周辺は周囲よりも地表を押す圧力(大気圧)が高いため、上空の空気を地表に向かって押し込む力が強く、上空から地表に向かって下降気流が発生します。
高気圧があると、最も気圧が高い中心点では下降気流が発生し、地表では上空から降りてきた風が周囲に向かって風が吹き出します。
下降気流によって上空の雲は地表に押し込まれ、高度低下により気温が上昇して飽和水蒸気量が増加するため、雲は水蒸気として空気に取り込まれて消えてしまいます。
このため、高気圧周辺では晴天になり、同じ場所に長期間にわたり高気圧が居座ると雨が降らず乾燥します。

高気圧の種類

特徴的な高気圧として、移動性高気圧と停滞性高気圧があります。

移動性高気圧は、その名の通り同一方向に移動し続ける高気圧です。
日本付近では春と秋に中国の華中~華南で発生する移動性高気圧が日本列島付近を通過するため、天気が数日の周期で変化します。

停滞性高気圧は、その名の通りほとんど同じ場所に数日~数週間にわたって停滞し続ける高気圧です。
高気圧が長期間停滞することで、広範囲で気温や湿度などの性質が均一になるため、停滞性高気圧は気団を形成します。
日本周辺では、シベリア高気圧はシベリア気団を伴い、オホーツク海高気圧はオホーツク海気団を伴います。
小笠原諸島近海に位置する北太平洋高気圧(小笠原高気圧)は小笠原気団を伴います。

気温や湿度などの性質が異なる停滞性高気圧同士がぶつかると、境界に前線が形成されます。
両者が押し合う力が均衡すると、前線が長期間同じ場所に停滞する停滞前線が形成されます。
日本では、毎年6月頃と9月頃に北東のオホーツク海気団と南東の小笠原気団の間に停滞前線が形成されます(梅雨前線と秋雨前線)。

表 高気圧の種類

高気圧説明
移動性高気圧同一方向へ移動し続ける高気圧。中緯度地域で偏西風に流されて東進。
停滞性高気圧同一地域を数日~数週間停滞。気団を形成。

低気圧・高気圧と風向

北半球の低気圧(左)と高気圧(右)の風向。低気圧では上昇気流が発生し、地表では中心に向かって風が吹き込む。一方、高気圧では下降気流が発生し、地表では中心から周囲に向かって風が吹き出す。地球の自転の影響で、北半球では北(高緯度)へ向かう風は東に、南(低緯度)へ向かう風は西に曲げられる。

上の画像は、北半球の低気圧と高気圧の風向きを示した模式図です。
低気圧周辺では上昇気流が発生しているため、地表では低気圧の中心に向かって周囲から風が吹き込みます。
一方、高気圧周辺では下降気流が発生しているため、地表では高気圧の中心から周囲に向かって風が吹き出します。

低気圧に吹き込んだり高気圧から吹き出す風は、地球の自転の影響を受けて転向力(コリオリの力)という力がはたらき、風が曲がりながら吹きます。
転向力(コリオリの力)は、緯度により地球一周の距離が異なるため、緯度ごとに自転速度(西から東への回転速度)に差があることに起因して発生する力です。
地球一周の距離が長い低緯度側ほど大気の自転速度が速く、地球一周の距離が短い高緯度側ほど大気の自転速度が遅くなります。

赤道から離れた場所では、ある地点の南北で地球の自転速度に差があります(低緯度側ほど速く高緯度側ほど遅い)。
このため、北半球で低緯度側から高緯度側(北)へ向かう風では、低緯度側の速い自転速度のまま自転速度が遅い高緯度側に進むため、周囲よりも相対的に自転速度が速くなりに流されます。
一方で、高緯度側から低緯度側(南)へ向かう風は、相対的に自転が遅れて西に流されます。
このため、低気圧では中心に向かって反時計回りに渦を巻くように風が吹き込みます。

高気圧では中心から周囲に向かって吹き出すため、低気圧とは反対に時計回りに渦を巻くように吹き出します。

また、南半球では低緯度側と高緯度側の南北が逆転するため、低気圧は時計回りに吹き込み、高気圧は反時計回りに吹き出します。

表 低気圧と高気圧の風向き

半球低気圧高気圧
北半球反時計回り時計回り
南半球時計回り反時計回り

参考文献

地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
標高から気圧を計算 - 高精度計算サイト keisanサービス 2026/2/28閲覧
1分でわかる天気のコトバ〜低気圧〜 Weathernews 株式会社ウェザーニューズ 2026/2/28閲覧
1分でわかる天気のコトバ〜高気圧〜 Weathernews 株式会社ウェザーニューズ 2026/2/28閲覧
低気圧(テイキアツ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/3/16閲覧
熱帯低気圧(ネッタイテイキアツ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、日本大百科全書(ニッポニカ)、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、最新 地学事典 2026/2/7閲覧
温帯低気圧(オンタイテイキアツ)とは? コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、改訂新版 世界大百科事典、百科事典マイペディア、日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/3/16閲覧
寒冷低気圧(カンレイテイキアツ)とは?  コトバンク デジタル大辞泉 2026/3/16閲覧
高気圧(コウキアツ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/3/17閲覧
移動性高気圧(イドウセイコウキアツ)とは? コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、改訂新版 世界大百科事典、日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/3/17閲覧

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