地表に到達した雨水の一部は土壌中に浸透して地下水となります。
地下水は、井戸を通してくみ上げて利用される水資源であり、特に砂漠などの地表が乾燥した地域では重要な水資源です。
ここでは、地下水が含まれる地層中の構造や地下水の分類について解説します。
地下水とは

地下水は、陸域にある水(陸水)のうち、地表より下(地下)にある水のことです。
元々地表を流れていた地表水の一部が、土壌中に浸透して地下にたどり着くことで地下水となります。
地下には砂礫が粗くて隙間があるため水が浸透しやすい帯水層(透水層)と、反対に粘土やシルトなど細かくて隙間が小さいため水が浸透しにくい不透水層(厳密には難透水層)の2種類があります。
このため、地下水は帯水層を浸透して地下に潜り、不透水層のすぐ上で滞留して地下水の層を形成します。
地下水の中には特定の場所で地表へ噴出するものもあり、日本では各地に名水として知られる湧水が存在します。
一方、多くの地下水は地下に留まっているため、井戸を掘削して地下水をくみ上げ、生活用水や農業用水、工業用水などに利用します。
地下水は、カルスト地形や扇状地の扇央のように水が地下に浸透しやすい地形の場所で多く見られます。
石灰岩質の土壌が広がる場所では、石灰岩が水に溶けやすいため、石灰岩が溶けて無数の小さな穴(ドリーネ、シンクホール)が形成されます。
このため、地表の水がドリーネの中に吸い込まれ、地下水となります。
一方、扇状地の扇央では、上流から流れてきた粗い礫が堆積し、隙間が多い土壌となります。
このため、上流からの水が地下に浸透して伏流水となり、地下水を形成します。
扇状地の末端(扇端)では、伏流水が再び地表に現れる場所(湧水)が見られます。
また、砂漠のように乾燥した気候であっても、数万年前に浸透した水が滞留した大規模な地下水層(化石水)が存在している場合もあります(例:米国中西部のグレートプレーンズの地下に存在するオガララ帯水層)。
乾燥した場所では地下水は貴重な水源となり、農業用水や生活用水として使われます。

地下水の構造と分類

上図は地下水が含まれる地下の構造を示した模式図です。
地層には水を通しやすい帯水層(透水層、粒子が大きい砂礫や水に溶ける石灰岩)と水を通しづらい不透水層(正確には難透水層、粒子が小さい粘土やシルト)があります。
上図では、青色(不圧帯水層や被圧帯水層)が透水層であり、黒色(難透水層)が不透水層です。
降水によって地表に到達した水の一部は土壌中に浸透し、地下水となります。
地表から浸透した地下水は、地表付近の空気が含まれる不飽和層(通気層、上図で「浸透」と書かれている茶色部分)を通り抜け、透水層(帯水層)に到達します。
透水層の下には不透水層があるため、水は透水層よりも下に行くことができません。
このため、不透水層の上に水が溜まっていき、透水層に地下水が滞留します。
透水層の地下水はその位置関係によって2種類に分けられます。
地表との間に不飽和層(通気層)しかない場所に溜まっている地下水は自由地下水(不圧地下水)と呼びます(上図では不圧地下水と記載)。
これに対し、地表との間に不透水層が存在する地下水は被圧地下水と呼びます。
以下では、自由地下水と被圧地下水について解説します。
自由地下水

自由地下水(不圧地下水)は、地表と一番浅い不透水層の間にたまった地下水です。
地表から近いため入手しやすく、古くから井戸を掘って利用されてきました。
とくに乾燥地域など地表に水が少ない場所では重宝されてきました。
自由地下水の例として、扇状地の扇央付近の伏流水や砂漠の水無川の下に存在する地下水などがあります。
自由地下水を利用した井戸を浅井戸といいます。
浅井戸はその名の通り地表に近く浅い位置に地下水面が現れる自由地下水を掘るための井戸であり、深くても8m程度になります。
自由地下水の上には水を通す不飽和層(通気層)しか存在せず圧力がかかっていない状態なので、掘削しても地表に自噴せずに地下水面として現れます。
このため、昔はひもにつないだ桶を井戸の中に下ろして水を入れて引き上げることで水を得ていました。
現在でも自由地下水を得るためにはポンプなどでくみ上げる必要があります。
自由地下水は地表に近いため、地表の環境変化の影響を受けやすく、周囲の環境によって水量や水質が変化します。

宙水

宙水は、局所的な不透水層の上に溜まった小規模な自由地下水です。
地表付近の帯水層(透水層)では、局所的に不透水層が見られることがあります。
この場合、不透水層が広がる場所では雨水が下に浸透せず、局所的に地下水が溜まります。
地層全体に広がる不透水層(直上に自由地下水層)よりも浅い場所に存在するため、一般的な自由地下水よりも容易に地下水を入手できます。
宙水は一般的な自由地下水よりも浅い場所に存在するため入手が容易ですが、地下水としては局所的・小規模な分布であることが多く、降雨後にのみ一時的に形成される場合もあります。
台地(洪積台地)では自由地下水の地下水面が深いため、比較的浅い位置に溜まる宙水が得られる場所に集落が形成されます。

被圧地下水

被圧地下水は、上下を不透水層に挟まれた帯水層(透水層)に溜まった地下水です。
上下を不透水層に阻まれているため水が自由に移動できず、水圧がかかった状態で地中に存在するため、「被圧」地下水と呼びます。
このため、井戸を作るために掘削すると圧力によって水面が高くなります。
盆地(鑽井盆地)など地形的な条件によっては、掘削時に地表に水が噴出することもあります(自噴井)。
被圧地下水を入手するために掘削した井戸を深井戸(掘り抜き井戸)と呼びます。
深井戸を掘削する際には不透水層の硬い岩盤を貫通する必要があり、自由地下水を取水する浅井戸と比べて技術的難易度が高く、コスト面でも割高になります。
一方、地表との間に不透水層が存在し、地表から遮断されているため外部からの汚染の影響を受けづらく、水質や水量、水温が年間通して安定しています。
このため、工業用水や灌漑用の農業用水として利用されています。
被圧地下水や化石水、自噴井(鑽井)、鑽井盆地については、次のページで解説しています。
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参考被圧地下水(化石水・自噴井と鑽井盆地)
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参考文献
岩手県/下閉伊郡岩泉町 龍泉洞地底湖の水 環境省 2026/5/13閲覧
地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
陸水 環境用語集 EICネット 2026/4/8閲覧
地下水の基礎 地下水マネジメント推進プラットフォーム 内閣官房 2026/4/9閲覧
地下水(チカスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、百科事典マイペディア、最新 地学事典 2026/5/15閲覧
自由地下水(ジユウチカスイ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2026/5/15閲覧
被圧地下水(ヒアツチカスイ)とは? コトバンク デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、日本大百科全書(ニッポニカ)、最新 地学事典 2026/5/16閲覧
不圧地下水(ふあつちかすい)とは? コトバンク 最新 地学事典 2026/5/15閲覧
井戸の種類について | 浅井戸と深井戸の違い コラム 水道修理ネクスト@広島 合同会社ニューネクストスタイル 2021/1/31閲覧
世田谷区内の宙水について 東京都世田谷区 2026/5/16閲覧
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高源院 (世田谷区) ウィキペディア 2026/5/16閲覧
地下水の種類を詳しく紹介!地下水の定義や仕組みなどの基礎知識も ゼオライト株式会社 2026/5/16閲覧
掘抜き井戸(ほりぬきいど)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、最新 地学事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/5/16閲覧
