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地球上の水循環(蒸発散・降水・地表水と地下水)

水は低い場所へ流れ出てしまうにもかかわらず陸地で水を入手できるのは、水が絶えず地球上を循環しているからです。
ここでは、地球上の水の大循環について解説したのち、水循環から取り残された化石水についても解説します。

水の大循環

地球上の水の循環の模式図。地表の水(主に海水)は太陽光に温められて一部が蒸発したり、植物の活動により蒸散する。蒸発散した水分は水蒸気となり、上空で冷却されて雲を形成し、一部は陸上に流れて地表に降水をもたらす。地表に降った雨や雪は地表を流れながら河川を形成し、一部は地下に浸透して地下水となる。地表の水は一部が蒸発しながら低い場所へ流れていき、最終的には海洋に到達する。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/4/14閲覧

地球上では「水蒸気→雲→降水→(土壌水→地下水)→地表水→海洋→水蒸気」という流れで水が絶えず循環しています。
上図は、このような地球上の水の循環をイラスト化したものです。
水は同じ場所にとどまっているのではなく、地球上を形を変えながら循環しています。

蒸発散

湯気が上がる海地獄の熱泉(大分県中部・別府市)。海地獄は9世紀の鶴見岳の噴火に伴い形成された温泉である。硫酸鉄の影響でコバルトブルーの色をしているが、98℃もの高温であり、湯気が上がっている。なお、湯気は一度蒸発した水蒸気がすぐに結露したものであり、水蒸気そのものではない。出典:Wikimedia Commons, ©Totti, CC BY-SA 4.0, 2026/4/18閲覧

海洋や河川・湖沼など地表に存在する水は、太陽光に温められて一部が蒸発します。
陸上では、植物が地中から吸い上げた水分を水蒸気として空気中に放出する蒸散によっても水が失われます。
このように地表から水が失われる蒸発と蒸散を合わせて蒸発散と呼びます。
地表に存在する水の大部分は海水なので、蒸発散の大部分(86%)は海水の蒸発が占め、陸上からの蒸発散は残り(14%)に過ぎません。

ちなみに、水が蒸発する際に周囲のエネルギーを奪うため温度が下がり、地表の気温を下げる効果があります。
蒸発による気温低下がないと、地表の温度は67℃まで上がるという予測もあります。

火災により発生した火災積雲(米国西部・オレゴン州南西部)。火災が発生すると熱により周辺の空気が暖められて上昇気流が発生し、上空で冷やされて水蒸気が結露(凝結)して積雲が形成される。火災による黒煙が伴うため雲の下層では灰色の雲となっている。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/31閲覧
アマゾンの熱帯雨林の上空に形成されたポップコーン状の積雲(ブラジル)。森林が太陽光によって暖められると、水分が直接蒸発するだけではなく、蒸散により植物からも空気中に水蒸気が放出される。水蒸気は上空で結露(凝結)して雲となる。蒸散により植物から活発に水蒸気が放出されるため、樹木の上空で小規模な雲が無数に形成された結果、ポップコーン状の雲となった。河川の上空ではこのような雲が見られない。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/4/18閲覧

降水

発達した積乱雲と降水(米国西部・コロラド州北部)。積乱雲は強い上昇気流により発達した縦長の雲であり、狭い範囲で強い降水を伴う。寒冷前線上でしばしば見られる。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/31閲覧

蒸発散した水分は水蒸気となり、上空で冷却されて結露(凝結)して雲を形成します。
雲は次第に発達して雨雲となり、雨や雪を降らせます。
降水の大部分(約80%)は海洋に降りますが、およそ20%が陸地上に降って地表に淡水をもたらします。
この20%の水が陸上にたどり着き、氷雪として陸上に積もったり、地表を流れて河川や湖沼を形成したり、土壌に吸収されて地下水となります。
生物が直接利用できる水は、陸上へ届いた水の中でも河川や湖沼などごく一部です。

地表水・地下水

地表を流れる河川(フランス東部のフランシュ・コンテ地方)。フランス東部を流れるサヴルーズ川の清流である。出典:Wikimedia Commons, ©Thomas Bresson, CC BY 3.0, 2026/4/18閲覧

地表に降った雨水は地表を低い場所へ流れていき、いくつもの川筋が合流して河川を形成し、湖沼に水が滞留することもあります。
また、地表水の一部は土壌中に浸透して地下水となります。
地下水はそのまま地下に滞留するものもありますが、地下にも水の流れが存在し、湧水となって再び地表に戻る場合もあります。
地表の水は一部が蒸発しながら低い場所へ流れていき、最終的には海洋に到達します。

このように陸域の水は低い場所へ絶えず流れるため、湖沼は地表に長時間淡水をとどめておくことができる希少な場所です。
湖沼の少ない小規模な離島(特に人口が多く平坦な島の場合)では、降水によってもたらされた淡水がすぐに海へ流出するため、水不足に悩まされています。
そのため、人為的に水をせき止めたため池(溜池)を作って農業用水を確保してきました。
近代以降はダムを建設して水の流れをき止め、水を確保するようになりました(ダム自体は河川の水流調整や水力発電などにも利用)。

利根川上流部の支流・楢俣川に位置する奈良俣ダム(ならまた湖、群馬県北部・みなかみ町)。奈良俣ダムは1991年に完成したダムであり、利根川本流に位置する矢木沢ダム(奥利根湖)や藤原ダム(藤原湖)とともに首都圏の上下水道などの水の確保のために建設されたダムである。これらのダムは用水だけではなく、水量調整(治水)や水力発電にも利用される。一帯は利根川の最上流部にあたり、冬季の積雪など豊富な水資源を活用している。出典:奈良俣ダム 国土交通省 関東地方整備局 利根川ダム統合管理事務所 2026/4/18閲覧

水循環から取り残された水

地球上では絶えず水の循環が発生していますが、この水循環から取り残された水もあります。
ここでは、水循環から取り残された例として、化石水について取り上げます。

オガララ帯水層の分布と地下水位(米国中西部、1997年時点)。青色が濃いほど地下水位が高く、黄緑色に近いほど地下水位が低い。北部のネブラスカ州(Nebraska)州周辺では地下水位が高いのに対し、南部のテキサス州(Texas)周辺では地下水位が低い。米国中西部のグレートプレーンズの地下にはオガララ帯水層が分布しているため、この地下水をくみ上げて灌漑農業を行ってきた。このため、南部を中心に帯水層の地下水位は低下傾向である。出典:Wikimedia Commons, ©Kbh3rd, CC BY-SA 3.0, 2026/4/20閲覧

化石水は、何千年もの長期間にわたって地層中に閉じ込められた地下水帯水層)です。
現在の地球上の水循環から取り残されているため、水収支(域内外への水の流出入量)には含まれません。

地表が乾燥していても地下には広大な化石水が分布している場所も多く、砂漠などの乾燥帯の地域の水源として利用されている化石水も多いです。

代表的な化石水として、アメリカ合衆国中西部のグレートプレーンズに広がるオガララ帯水層があります。
グレートプレーンズの地表はステップ気候に分類される乾燥した地域で、年降水量が農業(畑作)の限界となる500mm前後しかないため、農業には不向きでした。

そこで、オガララ帯水層の地下水をくみ上げて農業に利用することで、グレートプレーンズ一帯は世界有数の穀倉地帯となりました。
一方で、一度使えば失われる地下水を大量に消費しており、地表が乾燥した気候ゆえに地下水が自然によって補充(涵養)される速度も緩やか(地下水位にして年間2-3cm)であるため、帯水層の貯水量減少が危惧されています。

表 化石水の例

帯水層の名称地域備考
オガララ帯水層グレートプレーンズ(米国中西部)センターピボット方式による大規模な灌漑農業企業的農業
ヌビア帯水層サハラ砂漠(エジプト、リビア、チャド、スーダン)サハラ砂漠のオアシスの水源。リビアでは化石水を沿岸部へ導水して灌漑農業を実施(リビア大人工河川計画)。
---サウジアラビア(アラビア半島)地下水による灌漑農業を実施していたが、地下水位の低下により停止。

参考文献

水循環とは!? 内閣官房水循環政策本部事務局 2026/4/15閲覧
水循環 環境用語集 EICネット 一般財団法人環境イノベーション情報機構 2026/4/15閲覧
海地獄【公式サイト】 2026/4/18閲覧
蒸散 光合成事典 日本光合成学会 2026/4/15閲覧
水循環 ウィキペディア 2026/4/15閲覧
ダムの情報 国土交通省 関東地方整備局 利根川ダム統合管理事務所 2026/4/18閲覧
Ogallala Aquifer, Wikipedia 2026/4/20閲覧
Fossil water, Wikipedia 2026/4/18閲覧
地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
グレートプレーンズとは? コトバンク 改訂新版 世界大百科事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/4/25閲覧
新藤静夫の地下水四方山話 地盤環境エンジニアリング株式会社 2026/4/20閲覧
Great Man-Made River, Wikipedia 2026/4/20閲覧

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