地球表面を大きく分けると陸地と海洋に分けられます。
ここでは、陸地と海洋について解説します。
陸地と海洋
地球の表面は大きく分けて陸地と海洋に分けられます。
地球は陸地よりも海洋の方がずっと広く、おおよそ陸地:海洋 = 29 :71 の比率です。
この比率は世界中で一定ではなく、北半球では陸地が多く南半球では海洋の割合が高いです。
東西で見ると、太平洋がある東経150°から西経120°の間や大西洋がある西経30°から45°周辺では海洋の割合が非常に高くなっています。
次の表は緯度別に陸地と海洋の面積の比率を表したものです。
この表を見ると、北緯60°付近は陸地の比率が非常に高くなっています。
北緯60°付近は太平洋の北端部にあたるため海の面積が小さく、ユーラシア大陸が東西に最も広く広がっている緯度に当たるため、陸地の割合が非常に高いです。
同じ北半球でも北極海がある北極付近や太平洋が東西に広がる低緯度側では海洋の割合が高くなっています。
一方南半球では、南極大陸が広がる高緯度側で陸地の比率が高い以外は、ほぼ全域で海洋が広がっています。
特に南緯40°から70°の間はほぼ全域で海が広がり、風をさえぎるための陸地がほとんどありません。
この緯度では、地球の自転と大気の循環の影響で偏西風が吹きますが、陸地が少ないため強烈な風になります。
南緯40°付近は強い偏西風を利用できるため、蒸気船登場前の帆船時代にヨーロッパと東南アジアやオセアニアを結ぶ最速の航路として利用され、クリッパールートとよばれています。
この緯度の海域は、南に行くほど陸地が少なく風が強くなるため、緯度ごとに次のような俗称がつけられています。
陸半球と水半球
地球の表面を二等分したものを半球といいます。
北極点・南極点をそれぞれ中心とした北半球・南半球がよく知られています。
半球には他にも種類があり、地球表面を二等分したときに陸地の割合が最も大きくなる半球を陸半球(りくはんきゅう)といい、海洋の割合が最も大きくなる半球を水半球(すいはんきゅう)といいます。
陸半球の中心はフランス西部のナント付近にあり、半球の中に地球上の陸地のおよそ80%が含まれます。
陸半球でも陸地より海洋の割合のほうがわずかに多く、陸地:海洋 = 47 : 53となります。
大航海時代から第二次世界大戦後まで世界中に植民地を築き上げたヨーロッパ列強諸国はいずれも陸半球の中心に近い場所にあり、全世界へのアクセスに適した場所に位置しています。
こういった地理的な事情も、歴史に少なからず影響を及ぼしています。
一方、水半球の中心はニュージーランド南東沖(ニュージーランド領アンティポディーズ諸島付近)にあり、地球全体の海洋の64%が含まれます。
水半球には陸地が少なく、陸地:海洋 = 1 : 9です。
水半球に含まれるオセアニアや南極大陸、南米大陸はいずれも歴史に登場するのが遅いですが、地球上の他の陸地から離れているといった地理的な事情も少なからず影響しています。
陸半球と水半球は地球のちょうど反対側を切り取った半球であり、陸半球と水半球の中心は地球のちょうど反対側(対蹠点(たいせきてん))に位置します。
参考
カンガルールート
水半球の中心に近いオーストラリアとニュージーランドでは、航空路線の国際線が長距離路線ばかりになるという宿命を背負っています。
いずれもイギリスの元植民地であり、宗主国のイギリスや文化的に近い欧米諸国と強いつながりをもっています。
しかし、これらの国は陸半球の中心付近に位置するため、移動するためには地球を半周しなければなりません。
オーストラリア最大都市のシドニーからロンドンまで17,000 kmもあります。
オーストラリアやニュージーランドから地球を半周するロンドンへの路線は、需要が高いが超長距離のため高額な運賃設定が可能であり、航空会社にとっては儲かる路線です。
この路線は超長距離であり、途中で燃料補給等で着陸や乗り換えが必要になるため、カンガルーがぴょんぴょん跳ねながら進んでいく様子に見立ててカンガルールートといいます(現在は航空技術の発達により直行便が運航)。
近年では両国とも地理的に近いアジア諸国との連携を強めていますが、水半球の中心付近に位置するだけあってアジアへも距離があります。
オーストラリア最大都市のシドニーからインドネシアの首都ジャカルタへは、隣国なのに5,500 kmもあり、航空機で7時間もかかります。
地球表面の凹凸
地球上の陸地の平均高度(標高)は約840mであるのに対し、海底の平均水深は約3,800mにもなります。
山の高さよりも海の深さの方が大きくなります。
これは一番標高が高い山と深い海溝を比較しても同様です。
地球上の陸地で最も高いのはエベレスト(チョモランマ)で標高8,848 mです。
それに対し、海で最も低いのはマリアナ海溝で水深10,924 mです。
マリアナ海溝は日本の南、フィリピンの東にある太平洋で特に水深が深い場所です。
このようにマリアナ海溝は、エベレストが全て海の下に沈められるほど深いのです。
エベレストとマリアナ海溝の高度差はおよそ20 kmです。
この差は1万 km以上ある地球の直径に対して非常に小さな値です。
地球を直径1 mの球に縮めて考えると、この高度差はわずか1.6 mmとなり、地球の表面は非常に滑らかであることがわかります。
標高に応じて凹凸をつけている(山岳隆起加工)地球儀が売られていますが、リアルな標高差を再現してしまうと平べったくて普通の地球儀との差がわからないので、高度差をかなり極端に表現しています。
大陸と標高
次の表は、大陸ごとに高度(海抜高度、標高)の分布をまとめたものです。
この表を見ると、アジアの5,000 m以上の標高の割合が際立っています。
標高が高い山上位100座は全てアジアに存在し、ヒマラヤ山脈とその周辺に位置します。
アジア以外で最も高い山はアンデス山脈のアコンカグア(アルゼンチン、6,962 m)であり、標高5,000 m以上の土地はアジア以外にはほとんどありません。
面積割合の0.0という値は、陸地は存在するがその割合が0.1%にも満たないことを表しています。
その標高の陸地が存在しない場合はハイフン表記です。
逆にヨーロッパは標高200 m未満の土地が半分以上になっています。
ヨーロッパは、北ヨーロッパ平野や東ヨーロッパ平原を中心に多く場所が安定陸塊のため、低地が広がっています。
低地は農業や工業など人間の生産活動に適した場所なので、経済発展に有利です。
しかしその一方で、ヨーロッパの広大な低地は比較的北側で大西洋から離れた内陸部な存在するので気候としては冷涼です。
そのため、文明が発達して歴史に登場するのは温暖な地中海沿岸と比べてやや遅めでした。
アフリカは200 m未満の低地割合が少ないにもかかわらず、200から1,000 m程度の場所が非常に多いです。
アフリカ大陸は台地上の地形が海岸近くまで広がるため、中程度の標高の場所が多く、低地と高山が少ないという特徴があります。
アフリカでは今も道路等の交通手段の発達が不十分のため、内陸部でも河川を使った水運が盛んです。
しかし、台地状の地形のため、海から比較的近い場所に急流がある川が多く、外洋船が内陸部の都市まで入ることができません。
そのため、急流部分を回避するための鉄道が川の上流の港町と沿岸部を結んでいます。
たとえば、中部アフリカのコンゴ盆地を流れるコンゴ川は、河口近くに急流が続く区間があるため、海を超えて外国と行き来する外航船が来る下流のマタディと上流の河港都市キンシャサを結ぶマタディ・キンシャサ鉄道が交通を連絡しています(コンゴ民主共和国)。
北アメリカは標高200 m未満と200-500 mの割合が同じくらい多いのが特徴です。
低地の割合はアフリカより多いがヨーロッパほど多くないという分布になります。
南アメリカは標高が高くなるにしたがってゆるやかに割合が減っていくため、感覚的に一番自然な分布かもしれません。
アジア以外で最も高いアコンカグアがあるアンデス山脈が存在するため、4,000 m以上の場所もアジアの次に多いです。
オーストラリア大陸は平坦な大陸で2,228 mのコジオスコが最高峰です。
しかし、この統計が、高山が発達しているニューギニア島を含んでいるため、標高4,000-5,000 mの土地が存在します。
オーストラリア大陸と比べて他の島々はそもそも面積が小さいため、標高2,000 m以上の割合が0.0%になっています。
南極大陸は1,000 m以下の土地が少なく、1,000-4,000 mの土地が多い非常に特徴的な高度分布です。
これは、南極大陸が分厚い氷河(大陸氷河)におおわれているため、その氷河の分だけ標高が高くなったためです。
このように、大陸ごとの標高の分布はいろいろな地理的な特徴が反映されています。
参考文献
地球とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/5閲覧
松倉公憲「地形学」 朝倉書店(2021)
応用地理部 須賀正樹他「地球地図全球版第 2 版土地被覆データを用いた世界各緯度帯の海陸の面積とその比の算出」 国土地理院時報 124 95-98 (2013)
データブックオブ・ザ・ワールド 2020年版 二宮書店
陸半球とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/6閲覧
水半球 コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 2021/1/6閲覧
Clipper route Wikipedia 2021/1/7閲覧
List of highest mountains on Earth Wikipedia 2021/1/7閲覧