大学入試共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験 第3問)の解説ページです。
2026年 地理総合、地理探究 本試験 |第1問|第2問|第3問|第4問|第5問|第6問|
目次
問題と解答
共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験)の問題と解答のリンクです。
問題文のPDFは下記リンク先から入手し、図表や問題文を手元に置きながら解説(次項)を見て下さい。
リンク切れ対策のため複数サイトへリンクを貼っていますが、いずれも同一です。
入試速報トップ:河合塾|朝日新聞|
問題:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
解答:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
試験日(2026年)から年数が経過している場合はリンク切れの可能性が高いため、下記サイトを利用して下さい。
解説
第3問は世界の自然環境と災害に関する設問です。
問1 海底地形
太平洋の海底地形の起伏図と地図上の3地点の対応を答える問題です。
<海底地形>色が濃いほど水深が深い
ア:南北に線が伸びているが、所々に東西にも線が見える
イ:非常に深い場所が細長く南北に伸びている
ウ:海洋上に浅い場所(島?)が列状に並んでいる
アは典型的な海嶺です。南北に海嶺が伸びていて、海嶺に直交する形で断裂が見られます。
イは典型的な海溝です。海洋上の狭まる境界では、プレート境界での海洋プレートの沈み込みにより、細長くて深い海溝が見られます。
ウは島が並んでいますが、並行して海溝が見られないため弧状列島(島弧)ではありません。
<地図上の地点>
A:関東の南(伊豆諸島付近)
B:太平洋中央部(ハワイ諸島付近)
C:南大西洋中央部
海溝が見られるのは、海洋上の狭まる境界(沈み込み帯)がある伊豆諸島付近です(伊豆・小笠原海溝)。
このため、イはAです。
大西洋中央部は海嶺が見られる場所として有名です。
よって、アはCです。
残ったウがBです。
ホットスポット上で火山島が形成された後に、プレートの移動により島だけが移動することが繰り返されて、列状に島が並んでいます。
ハワイ諸島の形に似ていることからも予想できます。
正解:4
必要な知識:
・海溝と海嶺の海底地形の特徴
・海溝と海嶺が見られる場所
・ハワイ諸島の海底地形
参考ページ:
海洋上の広がる境界と地形(海嶺・ギャオ)
沈み込み帯(狭まる境界)の地形(海溝・トラフ・弧状列島など)
ホットスポットとプレート移動(ハワイ諸島)
問2 二酸化炭素濃度の国別推移
大気中の二酸化炭素濃度の推移のグラフから国を選ぶ問題と文章中の穴埋めの複合問題です。
グラフのカ・キはアラスカとニュージーランドのいずれかです。
他にハワイのグラフがあります。
グラフ中の3地点の二酸化炭素濃度推移を比較すると、「キ」は季節変動が少ないですが、「カ」とハワイは夏にだけ二酸化炭素濃度が減少し、秋から冬にかけて増加するという周期的な変化をしています。
これだけではわからないので、文章も読んでみます。
「緯度帯ごとの濃度の季節変動は、図3中のいずれの地点においても共通し、主に陸域の( x )の活動による。」とあります。
二酸化炭素濃度の季節変動の理由について説明しており、原因であるxの選択肢は人間/植物です。
つまり、「夏に二酸化炭素濃度が下がる理由が人間と植物どっちなのか」という問題です。
夏は日差しが強く明るい時間も長いため、植物の光合成が活発になり二酸化炭素の吸収量が増加します。
一方、秋になると日差しが弱くなり明るい時間も短くなり、さらには落葉する植物も出てくるため二酸化炭素の吸収量が減少します。
このため、植物の影響で二酸化炭素濃度が夏だけに下がっていると判断できます。
ちなみに、人間の産業活動(主に工場)の観点では、工場が継続的に稼働しているため季節を問わず二酸化炭素を放出しており、夏にだけ少なくなる理由はありません。
むしろ夏はエアコンで電力需要が大きくなる側面もあります。
以上をふまえてグラフに戻ると、「アラスカとニュージーランドのどちらが植物の光合成による二酸化炭素濃度低下が顕著であるか」という問題になります。
ここで、文章の方の「緯度帯ごとの濃度の季節変動は、図3中のいずれの地点においても共通し」の部分に注目してください。
この内容は要するに、アラスカがある緯度、ニュージーランドがある緯度では、どの場所でも同じ季節変動をしますよという意味です。
海上には植物がいないはずですが、同じ緯度の陸上と同じ二酸化炭素変動をするということは、同じ緯度の陸上で植物が光合成をすると、その緯度全体の二酸化炭素濃度が減少すると解釈できます。
このため、「アラスカがある緯度とニュージーランドがある緯度では、7-9月に植物の光合成はどちらが活発ですか」という問題になります。
この問題は2つの観点から解答できます。
1つは季節性です。
「カ」は7-9月に二酸化炭素濃度が減少していますが、この時期は北半球は夏であるのに対し、南半球では冬です。
このため、7-9月に二酸化炭素濃度が減少する「カ」は北半球に位置するアラスカであることがわかります。
もう1つは緯度ごとの陸地と海洋の比率です。
北半球は陸地が多く、南半球は海洋が多いため、陸上にしか植物は存在しないことを考えると、北半球の夏である7-9月に光合成量が多い「カ」はアラスカです。
よって、ニュージーランドは「キ」です。
正解:3
必要な知識:
・アラスカとニュージーランドの地球上の位置
・植物は光合成により二酸化炭素を消費すること
・植物の光合成は夏に活発になること
参考ページ:陸地と海洋(大陸と外洋を大まかに理解)
問3 日本の土壌分布
3種類の土壌の分布を示した日本地図と土壌の説明文を読んで対応関係を答える問題です。
<分布図>
サ:鹿児島・熊本、関東、青森、北海道十勝~釧路~根室地方に分布が集中
シ:全国に広くうすく分布
ス:九州中央部・北部、中国山地、四国山地、紀伊半島、静岡北部、北海道北部などに集中
<説明文(抜粋)>
E:活火山や活発な活動をしていた火山の分布状況を反映している。
F:主に河川氾濫によって堆積した土砂などが母材の土壌である。
G:日本では山地や丘陵地に多くみられ
以上より、Eは火山の分布におおよそ対応している「サ」です。
日本の活火山は鹿児島(桜島など)と北海道(十勝岳や雌阿寒岳など)に多いことを知っていればわかります。
また、関東平野は火山灰由来の関東ローム層が広がっていることをふまえると、「サ」が唯一関東に広く分布することからも火山由来の土壌であることが明らかです。
西日本では、活火山がほとんどない東海~近畿~中国四国に分布が少ないことからも対応がわかります。
次にGは説明文で「山地や丘陵地に多く見られ」とあるため、九州山地や中国山地や四国山地、紀伊半島(紀伊山地)などに分布が集中する「ス」に対応します。
残ったFは河川の堆積土壌であり、川が流れる平野部であれば日本全国で見られることから、全国各地にうすく分布する「シ」が対応します。
火山の分布のみが知識問題ですが、どこか一地方だけでも活火山の分布を理解していれば解答できます。
正解:1
必要な知識:
・日本の火山の分布
参考ページ:火山(火山の構造・火山活動・マグマの粘性と火山の形・活火山)
問4 北米の湖沼分布
北米の湖沼分布地図上の4地点についての説明文の中から、地点チの説明文を選ぶ問題です。
<地点>
タ:アラスカ北端部
チ:カナダ中央部
ツ:米国南部・ルイジアナ州の沿岸部(ミシシッピ川河口)
テ:米国南部・フロリダ州先端部
<説明文>
①:夏季には草やコケ類が繁茂し、トナカイやカラフトライチョウなどの生息地となっている。
→コケ類が繁殖し、トナカイが生息するのは寒帯のツンドラ気候の特徴です。
カラフトライチョウを知らなくても「樺太」という名前がついている生物なので、樺太のように寒い場所に住んでいるという推測ができます。
よって、①はタです。
③:氷期にこの地域一帯を広く覆った氷床が、地表を削ったことにより形成された湖沼がみられる。
→氷期に氷床が覆っていたのはある程度高緯度な地域であり、北米ではタ・チの地点が該当します。
カナダでは氷河が地面を削った跡の溝に水が溜まって形成された湖が無数に点在しています。
「タ」は既に①で使ったため、③は「チ」が対応します。
氷床の分布について知識が無くても、北から順に地点を見ていき、①の説明文が最北の「タ」以外に当てはまらない(アメリカ本土に近い「チ」では、コケ類が繁殖したりトナカイがいるツンドラほど寒くないのでは、樺太ほどは寒くないのでは)と推測できれば、次に緯度が高い「チ」が③の説明文と対応すると推察できます。
以上で正答が分かりましたが、残りの選択肢についても見ていきます。
②:上流から運搬された土砂が堆積して形成された大規模な鳥状三角州がみられる。
→鳥趾状三角州の典型例として紹介されるミシシッピ川河口は「ツ」の場所です。
よって②はツです。
④:マングローブや草地が分布し、アメリカワニやフラミンゴなどの生息地となっている。
マングローブとあることから熱帯または亜熱帯です。
タ~テで唯一熱帯に位置するフロリダ半島先端部が該当します。
「ツ」も温暖ですが②で使ったため、④は「テ」の方です。
正解:3
必要な知識:
・ツンドラ気候(寒帯)では夏にコケ類が繁殖し、トナカイが生育すること
参考ページ:
寒帯の気候(ツンドラ気候と氷雪気候)
家畜としてのトナカイ(カリブー)
問5 水資源量
地域ごとの水資源量と1人当たりの水資源量のグラフから、地域の組み合わせを当てる問題です。
アジア、北・中央アメリカ、アフリカは明示されており、オセアニア、南アメリカ、ヨーロッパとグラフ中のJ~Lの組み合わせを答えます。
<グラフ>
J:水資源量全体はアジア並みに多く、1人当たりでも非常に多い
K:水資源量全体も1人当たり水資源量も少ない
L:水資源量は少ないが1人当たりに換算すると非常に多い
まずLに着目すると、水資源量が少ないにもかかわらず1人当たりに換算すると多いです。
これは、地域の人口が少ない地域では、少ない水資源でも1人当たりでは多くなるためです。
よって、人口が少ないオセアニアがLです。
次にJを見ると、水資源が多く、1人当たりでも非常に多いです。
南アメリカとヨーロッパを比較すると、南アメリカ大陸には温暖で雨が非常に多い熱帯のアマゾン盆地が広がります。
人口密度はヨーロッパほどは高くないため、1人当たりの水資源量も多くなりやすいはずです。
一方、ヨーロッパは人口密度が高く、雨こそ降るものの熱帯ほどは降水量が多くないです。
このため、Jは南アメリカであり、残ったK(水資源量も1人当たり水資源量も少ない)がヨーロッパです。
ちなみに、単純に面積比較で南アメリカの方がヨーロッパよりもずっと大きいため、地域全体の水資源量が多いはずだという推測でも正答できます。
正解:5
必要な知識:
・オセアニアの人口が少ないこと
・南アメリカとヨーロッパの気候や面積
参考ページ:アリソフとケッペンの気候区分(気候帯・気候区)
問6 火山災害とハザードマップ
火山災害に関するハザードマップと説明文を読んで、空欄に入る語句の組み合わせを選ぶ問題です。
資料1は火山周辺のハザードマップであり、P, Qいずれかが「融雪型火山泥流」と「土石流」です。
P, Qのハザードマップの範囲を比較すると、
p:被害予想範囲(黒色ぬりつぶし)が扇形に分布し、火山柄離れた場所には分布せず
Q:被害予想範囲が細長い筋状の形をしており、遠く離れた場所にも到達
火山泥流の特徴としては、積雪が熱で一気に溶けて突然発生した大量の水に流されるため、高速で川筋を下って遠方まで到達する点があります。
1924年の十勝岳の噴火では、積雪を巻き込んだ火山泥流が発生し、北西側の美瑛川と富良野川の川筋を下り、わずか20分で25km先の上富良野(かみふらの)の市街地まで到達しました。
これに対し、土石流は斜面に浸透した雨水により引き起こされるため、面的に土砂崩れが発生し、Pのような被害予想分布になります。
火山泥流よりは水が少ないため、被害範囲は小さい傾向にあります。
最後に文章中の穴埋めです。
「火山灰は火口から(マ )に降ることが多く」とあり、選択肢を見ると東側か西側かを選ぶ問題です。
ハザードマップの火砕流の範囲を見ると、PもQも火口を基準にして東側に分布が偏っています。
よって「マ」は「東側」です。
正解:4
必要な知識:
・火山泥流が比較的遠方まで到達すること
参考ページ:火山噴出物(火山ガス・溶岩・火山灰・火砕流など)