大学入試共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験 第1問)の解説ページです。
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問題と解答
共通テスト(2026年 地理総合、地理探究 本試験)の問題と解答のリンクです。
問題文のPDFは下記リンク先から入手し、図表や問題文を手元に置きながら解説(次項)を見て下さい。
リンク切れ対策のため複数サイトへリンクを貼っていますが、いずれも同一です。
入試速報トップ:河合塾|朝日新聞|
問題:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
解答:読売新聞|河合塾|朝日新聞|
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解説
第1問は乾燥帯に関する設問です。
問1 写真と文章読み取り
2つの写真a, bについての説明文のうち、不適当なものを選ぶ問題です。
<写真>
a:砂漠で見られるレンガ製の窓が小さな建物が並んでいる
b:少し離れた場所に植物(ヤシ?)が生えている
<説明文>
①:(aの建物について)日干しレンガが主に用いられている
→正しい
日干しレンガの建物は、木材の入手が難しい砂漠でよく見られるものであり、土や砂などが原料です。
②:(aの建物の窓が小さい目的は)砂やほこりの侵入を防ぐことである
→正しい
aの建物に小さな窓がついており、窓が小さい方が外から砂やほこりが入りづらいのは当然です。
③:(bのナツメヤシは)伝統的にオアシスで栽培されている
→正しい
ナツメヤシは中東・北アフリカの砂漠地帯で栽培されてきた作物であり、この砂漠の農業は水が手に入るオアシスで行われてきました。
④:(bのナツメヤシの実は)大部分が工業用として輸出されている
→誤り
bのナツメヤシの実はデーツと呼ばれ、北アフリカや中東の砂漠地帯で食料として利用されています。
このため、④の「大部分が工業用として輸出」は間違いです。
ヤシの仲間ではアブラヤシ(パーム油原料)やココヤシ(実を乾燥させたコプラは油脂原料)が工業利用の需要がありますが、ナツメヤシはそうではありません。
よって、④が明確に誤りであることが分かります。
正解:4
必要な知識:
・ナツメヤシは現地で食料として利用されていること
参考ページ:ヤシ類(ココヤシ・アブラヤシ・ナツメヤシ)
問2 地図読み取り
中東~中央アジアの地図(標高を濃淡で表現)を見て、地図上の地点ア~ウと説明文A~Cの対応を答える問題です。
<地図上の地点>
ア:イラク中央部のティグリス川(チグリス川)・ユーフラテス川流域付近
イ:アラビア半島東部のペルシャ湾沿岸
ウ:中国西部のタリム盆地(=タクラマカン砂漠)の北側外縁部(天山山脈の麓)
<説明文>
A:エネルギー資源が豊富に得られることを背景として、施設内で淡水化した水を主に利用する
B:高山の雪や氷河が季節による気温変化によって融け出すことで、流量が大きくなる内陸河川の水を主に利用する
C:上流の湿潤地域を水源とする外来河川から、ダムや水路によって得た水を主に利用する
まず、Aで「淡水化した水を主に利用する」とあります。
「何を」淡水化したのかが問題文から抜けていますが、これは塩分濃度が濃くてそのままでは使えない「海水を」淡水化しています。
海水が得られる沿岸部についての記述なので、Aは唯一海沿いに位置するイ(ペルシャ湾沿岸)です。
次にBで「高山の雪や氷河」とあるため、氷河が形成されるくらい非常に標高が高い山脈から流れる川の水を利用していることがわかります。
さらに「内陸河川」とあることから、海から離れた場所であることが推測できます。
ア~ウを比べると、ウが圧倒的に内陸部に位置し、近くに非常に標高が高い山脈(=地図上で色が濃い場所)があります。
アは内陸部だが海から近くて周辺の山の標高も低めであり、イは半島の沿岸部・周囲に標高が高い場所が無いです。
このため、Bはウ(中国西部)です。
残ったCはアです。
イラク中央部(かつてメソポタミア文明が栄えた地域)であり、砂漠地帯であるがティグリス川(チグリス川)とユーフラテス川という大河川が流れていることを知っていればわかります。
Aは海水淡水化技術について知っていれば、目的語を推測して正答できます。
Bについては地理的な知識が無くても地図と文章を読み解くことができれば正答できます。
Cについては、ティグリス川川とユーフラテス川という有名河川を知っていれば正答できます。
正解:5
必要な知識:
・海水淡水化技術があり、海水から真水を手に入れられること
・イラク中央部は砂漠地帯であるが、ティグリス川とユーフラテス川という外来河川が流れていること
参考ページ:オアシス農業(乾燥帯の灌漑農業)
問3 雨温図と地図上の分布の対応
雨温図と説明文を読んで、南アメリカ大陸上の4地点のどれに対応するかを選ぶ問題です。
雨温図横の説明文を見ると「ジャガイモの栽培・消費が盛ん」で家畜として「アルパカやリャマを飼育」していることから、アンデス山脈の高山地域、おそらくペルー~ボリビア周辺であると推測できます。
次に地図上の4地点を確認します。
①:コロンビア内陸部(赤道より若干北側に位置)
②:ボリビア内陸部
③:ペルー太平洋沿岸部
④:アルゼンチン南部の大西洋沿岸部
南アメリカ大陸でアルパカやリャマが家畜として見られるのはアンデス山脈の高山地帯です。
かつてインカ帝国が栄えたペルー・ボリビア周辺の高山はジャガイモの原産地であり、当然栽培・消費が盛んな地域です。
このため②が正解です。
説明文からアンデス山脈の高山地帯を選べばよいと推察できれば、雨温図を一切見ずとも正答できます。
ちなみに、雨温図からも南半球の高山(=事実上アンデス山脈しかない)の気候であることがわかります。
・年間通して平均気温10℃未満の寒冷な地域(亜寒帯~寒帯または高山帯の特徴)
・最暖月と最寒月の気温差が小さく、3-4℃程度しかない(熱帯または高山帯の特徴)
・最暖月は11-2月頃であり、南半球に位置する
雨温図からも高山気候の特徴が読み取れるため、海沿いの③④は外れます。
①は北半球に位置するため外れます。
正解:2
必要な知識:
・アンデス山脈やペルー(インカ帝国)の位置
・ペルー(インカ帝国)の高山地域ではアルパカやリャマといった家畜が見られ、ジャガイモの原産地であること
参考ページ:ジャガイモの栽培と歴史(アイルランドのジャガイモ飢饉)
問4 家畜の分布
インドから中国にかけての地域の牛、ヤギ、羊の家畜飼育数分布を選び、さらに説明文中の空欄を穴埋めする問題です。
まず、地図x,yはいずれかが牛と羊です。
注釈を見ると、牛には水牛を含むとあります。
xの分布はインドに圧倒的に集中しており、インド東部やバングラデシュなど温暖・湿潤な地域に集中しています。
次にyの分布は、中央アジアや中国北部・モンゴルなどの乾燥・寒冷な地域に集中しています。
このため、湿潤なインド東部でも家畜として使われる水牛(牛)がxであり、羊毛があるため寒さに強い羊がyです。
次に説明文の空欄ですが、モンゴルで近年ヤギの飼育頭数が増加した理由を選択します。
「(カ)高級衣料の原料繊維需要の高まり」と「(キ)砂漠化抑制に向けた対策の広がり」のどちらかです。
まず、家畜を飼育する目的は食べ物を得たり、ミルクや肉を売り物にするためです。
このため、「砂漠化対策」といったお金にならないことを目的として家畜を飼うというのが論理としておかしいです。
また、ヤギは何でも食べてしまうため、離島などで食害によりはげ山化するなど環境破壊の原因となっています。
この点でもヤギを飼うことは砂漠化対策とは真逆を行っています。
一方、繊維需要の高まりはヤギの売り物としての価値が高まるため、飼育頭数が増加するのも自然です。
よって、「(カ)高級衣料の原料繊維需要の高まり」が正解です。
正解:3
必要な知識:
・インドでは水牛がたくさん飼育されていること
・羊は寒さに強く、寒い地域でも飼育されていること
参考ページ:家畜の分布の違い