このページでは、高校地理の気候分野について解説します。
気候分野を理解することで、気候に合わせて営まれる農業やその他産業、人々の生活文化などの背景の理解につながります。
同じ地球上でも気候は地域によって大きく変わります。
地域によって気候が変わるのは、地球の自転に合わせて大気と水が循環しているからです。
その場所の緯度や海からの距離、大陸の東岸か西岸かなどによって大まかな気候が決まります。
地域ごとにその土地の気候に適応した植物が広がり、気候に合わせて農業やその他の産業が営まれます。
気候分野では、大気や海洋の循環などの気候を決める大きな力をはじめとして、卓越風や局地風などの風、海水や陸水(雨や川の水)、個々の地域の気候区分(熱帯や温帯など)や植生・土壌について見ていきます。
気候とは
気候は様々な気象現象の積み重ねによって形作られる天気の総合的な状態です。
よく似た用語に気象がありますが、気象がある瞬間の天気の状態(例:雨が降っている)を表すのに対し、気候はより長い期間の周期的な天気の状態(例:雨季と乾季がくりかえされる)を表します。
気候を理解するためには、気候を構成する要素(気候要素)や気候を決める原因(気候因子)について把握する必要があります。
気候要素の中でも「気温」と「降水量」は特に重要です。
気温や降水量が違う場所は異なる気候になり、生育する植物や農業のやり方も大きく変わります。
逆に考えれば、遠く離れた別の場所でも年間通して似たような気温と降水量であれば、おおむね同じような気候になります。
たとえば、次の写真は札幌にある北海道大学とトロント(カナダ)の紅葉の写真です。
遠く離れた場所でも気候が近ければ生育する植物が似るため、どこか同じような風景になります。


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参考気候と気候要素(気温・降水量など)
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参考気候と気候因子(緯度・標高・隔海度など)
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大気の循環と風

地球を取り巻く大気は、地球の自転や太陽光のエネルギーによって循環しています(大気の大循環)。
この結果、地球上では一定方向に吹きやすい風(卓越風)が発生し、卓越風が水蒸気や乾燥した空気を運び続けることで、各地で特徴的な気候を作り出します。
卓越風には、年間通して同じ方向に吹き続ける恒常風と季節により風向きを変える季節風があります。
恒常風の具体例としては、地球の自転によって引き起こされた大気の大循環に起因して発生した貿易風、偏西風、極偏東風があります。
一方で季節風はモンスーンとも呼ばれ、大陸と海洋の温度の変化しやすさの違いに起因して季節ごとに風向きが変化します。
これらの風は、大陸と海洋の位置関係や緯度に起因して発生するため、緯度や大陸上の位置関係(東岸/西岸.内陸)がその地域の気候に大きな影響をおよぼします。
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参考大気大循環(ハドレー循環・極循環・フェレル循環)
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参考恒常風のしくみ(貿易風・偏西風・極偏東風)
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参考季節風(モンスーン)
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一方で、特定の狭い地域で一定方向に吹く風を局地風(地方風)といいます。
局地風は影響範囲は狭いですが、その地域の気候に影響をおよぼします。
次の表は、局地風を成因別に分けて具体例をまとめたものです。
類似する性質の風であっても、各地で固有の名前がつけられる場合もあります。
表 局地風(地方風)の分類と具体例
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参考局地風と成因の分類(海陸風・山谷風・地峡風・滑降風など)
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気圧と降水

地球上の大気圧は絶えず変化しており、気圧が相対的に低い低気圧と高い高気圧が存在します。
上昇気流が発生して降水の原因となる低気圧と、下降気流が発生して晴天になる高気圧は、気候にも大きな影響を与えます。
熱帯低気圧の一種である台風は、夏から秋にかけて日本にも襲来し、大雨や強風、高潮などにより大きな被害を及ぼします。
地球上には緯度帯ごとに低気圧が発生しやすい緯度帯と高気圧が発生しやすい緯度帯が存在します。
赤道付近の熱帯収束帯(赤道低圧帯)は、低気圧が発生しやすく降水量が多いため熱帯雨林が広がり、海上では台風などの熱帯低気圧の発生源となります。
緯度30°付近の亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)では、高気圧に覆われやすく乾燥するため砂漠やステップが広がります。
このように、緯度という地球上の物理的な位置がその土地の気候を形作ります。
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参考地球上の低圧帯・高圧帯(熱帯収束帯・亜熱帯高圧帯・亜寒帯低圧帯・極高圧帯)
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地球上の大気は絶えず循環しており、低緯度側の暖かい空気(暖気)と高緯度側の空気(寒気)がぶつかると、前線(前線面)と呼ばれる境界を形成します。
前線は寒気と暖気のぶつかり方によって4種類に分類でき、寒冷前線や温帯前線、閉塞前線、停滞前線などがあります。
日本で梅雨の季節に雨が多いのは、梅雨前線という停滞前線が日本付近に長期間停滞するためです。
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参考気団と前線(日本周辺の気団・梅雨と秋雨・移動性高気圧)
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参考寒帯前線と温帯低気圧・前線の種類(寒冷前線・温暖前線・閉塞前線・停滞前線)
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地球上の水

水は低い場所へ流出し続けるにもかかわらず、陸地で継続して水を入手できるのは、水が絶えず地球上を循環しているからです。
海洋上で蒸発した水蒸気が雨雲となって陸上で雨を降らし、地表に到達した雨がいくつもの川筋を作りながら海に流れていきます(河川水)。
一部の水は地下に浸透して地下水となったり、地表上に滞留して湖沼を形成します。
これらの陸域(海洋以外)に存在する水を陸水と呼びます。
陸水は人間の活動に重要な水資源ですが、地表にある水はそのままでは低い場所に流出してしまいます。
水を安定的に利用するために人工的なダムやため池(溜池)を建設し、地表水(河川水や湖水)を貯水する工夫が行われています。
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参考陸水の分類(氷雪・地表水・地下水)
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降水

河川水や地下水などの陸域の水(陸水)は、陸上に降った雨や雪(降水)が大元です。
降水の原因としては、、湿った空気が上昇気流により結露して雨となる対流性降雨、前線に起因して発生する前線性降雨。低気圧に起因する低気圧性降雨、湿った空気が山を駆け上がる過程で結露して雨雲を作る地形性降雨などがあります。
地形性降雨は局地風であるフェーンと密接に関わっています。
風が山脈を越える際には山脈の風上側と風下側で対照的な天候になります。
水蒸気を含む湿った空気が山脈を越える際には、風上側で山を駆け上る過程で気温が低下し、空気中の水蒸気が結露して雨雲を作ります。
この結果、山脈の風上側で地形性降雨が発生するため、山脈を越えるころには風(空気)は水分を失います。
山脈の風下側では乾燥した風(空気)が山を駆け降りる過程で温度が上昇し、高温乾燥した風(フェーン)が吹くフェーン現象が発生します。
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参考降水とその分類(対流性・収束性(低気圧性)・前線性・地形性降雨)
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水収支と砂漠
あるエリアへの水の流入量と流出量の差を水収支と呼びます。
水収支がプラス(流入量>流出量)になるとそのエリアの水資源が増加しますが、水収支がマイナス(流入量<流出量)になるとそのエリアの水分が失われて乾燥し、砂漠を形成します。
砂漠の分類としては、成因と岩石の大きさによるものがあります。
成因別の分類としては、亜熱帯砂漠、雨陰砂漠、内陸砂漠、海岸砂漠などがあり、岩石の大きさ(粒径)別の分類としては、岩石砂漠、礫砂漠、砂砂漠があります。
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参考水収支と周辺環境への影響(湖沼の縮小・地下水位低下)
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参考砂漠と成因別分類(亜熱帯砂漠・雨陰砂漠・内陸砂漠・海岸砂漠)
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参考岩石砂漠・礫砂漠と砂砂漠(粒径による砂漠の分類)
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海流と気候

地球の自転の影響を受けて大気が循環すると、大気に接している海水の表面も同様に一定方向に動きます。
海水の流れを海流と呼び、海流は海水面付近を流れる表層流と、深海を流れる深層流が存在します。
表層流は大洋を循環していますが、世界規模で海洋の表層と深層を行き来する大循環も存在します(熱塩循環)。
海水面では、貿易風や偏西風などの卓越風(恒常風)に海水が押されて大洋を循環する吹送流が発生します。
海流は暖かい海水を高緯度地域に運んだり(暖流)、冷たい海水を低緯度地域に運ぶ(寒流)などの働き(熱交換)もあります。
暖流の影響を受ける西ヨーロッパでは緯度の割に温暖湿潤な気候となり、寒流が流れる場所では冷たい海水に地表付近の大気が冷やされて上昇気流が抑制され、沿岸部でも雨が降らない海岸砂漠が広がります。
このように海流の地球規模の循環は、沿岸の気候に大きな影響を与えます。
エルニーニョ現象やラニーニャ現象も、ペルー沖の海流の状態異常が世界各地に異常気象をもたらす現象です。
海洋の循環と気候への影響については、次のページで紹介しています。
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参考海流とは(成因・風・暖流と寒流・大循環)
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参考海洋と気候(海洋性気候と大陸性気候・西岸気候と東岸気候)
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参考エルニーニョ現象とラニーニャ現象
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気候区分

(University of Melbourne), CC BY-SA 3.0, 2021/2/8閲覧
地球上の様々な気候を理解するために、その類似点や特性によってグループ化して分類したものを気候区分といいます。
気候区分にはいくつかの分類方法がありますが、その中でもケッペン(Wladimir Peter Köppen, 1846-1940)による植生に着目した経験的な気候区分が有名です。
ケッペンの気候区分では、気温と降水量によって地球上を5つの気候帯に分類しています。
気候帯は分布がおおむね赤道に近い順に、熱帯(A)、乾燥帯(B)、温帯(C)、亜寒帯(D)、寒帯(E)と呼びます。
また、同じ緯度でも標高が高いほど気温が低くなり、高山特有の気候を呈します。
このような気候を高山気候(H)といい、元々のケッペンの気候区分に存在していませんが気候帯として加えられることがあります。
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参考アリソフとケッペンの気候区分(気候帯・気候区)
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参考高山気候と森林限界
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気候と植生・土壌

地表の植物の分布や土壌の形成には気候が密接に関わっています。
地球上のほとんどの場所では、その場所の気候に適応した植物が地表を覆っています。
特に、乾燥帯と寒帯以外では樹木が生育でき、その気候に適応した樹木が集まって森林を形成します。
土壌の形成には、気候が主要因となって形成される成帯土壌とそれ以外の要因が主要因となって形成される間帯土壌があります。
成帯土壌は気候との結びつきが強い土壌であるのに対し、間帯土壌はその地域に特徴的な土壌です。
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参考気候と植生
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参考土壌の分布と分類(成帯土壌と間帯土壌)
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参考文献
地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
気候(キコウ)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)、改訂新版 世界大百科事典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2025/11/5閲覧
気候要素(キコウヨウソ)とは? コトバンク 改訂新版 世界大百科事典、百科事典マイペディア 2025/11/5閲覧
気候要素と気候因子 自然地理学概論 青木”Kent”賢人のホームページ 2025/11/5閲覧
気候因子(キコウインシ)とは? コトバンク 改訂新版 世界大百科事典、百科事典マイペディア 2025/11/11閲覧
知らなかった! 農林水産省 中国四国農政局 2026/8/15閲覧





















