大学入試共通テスト(2024年 地理B 本試験 第4問)の解説ページです。
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目次
問題と解答
共通テスト(2024年 地理B 本試験)の問題と解答のリンクです。
問題文のPDFは下記リンク先から入手し、図表や問題文を手元に置きながら解説(次項)を見て下さい。
リンク切れ対策のため複数サイトへリンクを貼っていますが、いずれも同一です。
入試速報トップ:福井新聞|東進|朝日新聞|
問題:福井新聞|東進|朝日新聞|
解答:福井新聞|東進|朝日新聞|
試験日(2024年)から年数が経過している場合はリンク切れの可能性が高いため、下記サイトを利用して下さい。
解説
第4問は環太平洋地域に関する様々なトピックに関する問題です。
問1太平洋の海底地形
太平洋の地点B(ハワイ諸島の北西)の海底地形を当てる問題です。
ハワイ諸島周辺は太平洋プレートの中央部に位置するため、本来であれば③のようななだらかな海底地形が続いているはずです。
しかし、ハワイ諸島はホットスポットになっており、プレートの中央部にも関わらず火山が分布しており、ハワイ諸島は火山の噴火によってできた島々です。
そのため、ハワイ諸島の延長線上に位置する地点Bでは、海面下に火山が存在していると考えられます。
地図を見ると、ハワイ諸島の延長線上に位置するのはBのうち西側なので、西側半分が山なりである(ハワイ諸島の火山)のに対して東側は平らになっている(プレートの中央部)④が正しいと考えられます。
正解:4
必要知識:
・太平洋におけるハワイ諸島の位置
・ハワイ諸島周辺がホットスポットであること
・火山と海底地形の関係
問2気温と衣服の関係
ハイサーグラフを読み取り、各地点の気候に対応する衣服の説明を選ぶ問題です。
各地点には次のような特徴が読み取れます。
F:冬(1月)は-10℃になる非常に寒冷な土地
G:一年を通して10℃前後になる涼しい土地
H:一年を通して30℃弱になる暖かい土地
次に選択肢を見ていきます。
イ:「トナカイの毛皮や皮を用い、保温性と断熱性に優れた、全身を覆う衣服。」
「全身を覆う」とあるのでかなりしっかりした防寒具であり、非常に寒い場所であることがわかります。
また、北半球の北極圏周辺に生息するトナカイの毛皮を利用していることからも、非常に寒冷な気候であることがわかります。
よって、最も寒冷なFに対応する衣服です。
ア:「アルパカの毛を用い、防寒性に優れた、頭からかぶる着脱が容易な衣服。」
防寒性に優れた衣服であることから、寒い土地の衣服であることがわかります。
一方、「着脱が容易な」とあることから「イ」の「全身を覆う衣服」よりは気温が高い気候の衣服であることがわかります。
よって、気温が10℃前後のGに対応する衣服です。
ウ:「木綿を用い、通気性と吸湿性に優れた、腰に巻く衣服。」
「通気性と吸湿性に優れた」とあることから、汗をかくような暖かい気候に対応した衣服です。
「腰に巻く」とあることからも薄着であることが伝わります。
よって、汗をかくような気温であるHに対応する衣服です。
正解:3
必要知識:
・ハイサーグラフの見方
問3国別の食品摂取量の違い
1人1日当りのたんぱく質供給量(肉、魚、大豆、牛乳)の表を見て3カ国(日本、カナダ、ベトナム)がどれにあたるかを答える問題です。
3カ国に加えてチリのデータも記載されています。
まず表を見ると、「カ」とチリは肉と牛乳の摂取量が多く魚と大豆の摂取量が少ない一方、「キ」と「ク」は魚と大豆の摂取量が多く肉と牛乳の摂取量が少ないことがわかります。
このことから4カ国は大きく2つの食文化に分けられます。
選択肢の国々の組み合わせと食べ物から考えると、「カ」とチリは肉と乳製品をたくさん食べる欧米の食文化、「キ」と「ク」は大豆と魚をたくさん食べる東アジア周辺の食文化であると判断できます。
そのため、「カ」は選択肢の中で唯一欧米文化圏のカナダです。
残った「キ」と「ク」は日本とベトナムです。
「キ」と「ク」の違いを探すと、「キ」は「ク」と比べて、魚、大豆、牛乳の摂取量が多いという特徴があります。
そこで、ベトナムと日本の風土を比較します。
ベトナムは海に面しているがユーラシア大陸の一部であるのに対し、日本は四方を海に囲まれた島国です。
立地だけから考えると日本の方がたくさん魚を食べそうです。
次に大豆についてです。
大豆は東アジア原産の食べ物なので、東南アジアのベトナムより日本の方が消費量が多そうです。
最後に牛乳ですが、酪農が盛んなのは北海道などの寒冷な地域です。
そのため、日本の方が牛乳の生産量が多そうであり、腐りやすい牛乳の消費量も産地に近い日本の方が多そうです。
以上を総合して考えると、「キ」が日本、「ク」がベトナムであると考えられます。
正解:3
必要な知識:
・アジアと欧米の食べ物の違い(特に乳製品の摂取量)
・大豆が東アジアで多く食べられていること
・牛乳の生産地と消費地(酪農が盛んなのは涼しい地域であり、牛乳は腐りやすいので近隣で消費される)
問4 観光客の出発地域別割合
3地域(グアム、ハワイ、フィジー)について出発地域別の観光客数の割合のグラフが与えられており、グラフと地域の対応を当てる問題です。
上記3地域に加えてタヒチについても記載があります。
グラフの凡例J, Kについてはアジアとヨーロッパのいずれかです。
以上について、グアムとヨーロッパがどれかを回答します。
まず4地域のグラフでJとKの割合を見ると、Jは「サ」で割合が非常に高く、一方で「ス」やタヒチでは割合が低いです。
Kは「サ」~「ス」で割合が低く、タヒチだけ割合が高いです。
「シ」では北アメリカの割合が高く、「ス」ではオセアニアの割合が高いです。
大前提として、遠くの地域からの観光客は少なく、近い地域からの観光客は多くなるはずです。
これをふまえて考えると、北アメリカの割合が一番高い「シ」は4地域の中で一番北アメリカに近いハワイであり、オセアニアの割合が一番高い「シ」はフィジーであると考えられます。
残った「サ」はグアムです。
ここでグアムの観光客の割合を見るとJの割合が非常に高いです。
地図を見てもグアムは4地域の中で一番アジアに近いため、Jはアジアであると考えられます。
そのため、Kはヨーロッパになります。
太平洋自体がヨーロッパから遠いことをふまえると、「サ」~「ス」でヨーロッパからの観光客が少ないことは自然です。
ちなみに、タヒチでヨーロッパからの観光客が多い理由は、タヒチがフランス領ポリネシアの一部であるためフランス人観光客が多く来訪するからです。
正解:2
必要な知識:
・遠い場所よりも近くから来る観光客の割合が高い
問5 国名と貿易額の組み合わせ
1999年と2019年についての4カ国(アメリカ合衆国、オーストラリア、中国、ペルー)の輸出入額の組み合わせから中国を当てる問題です。
図を見ると、PとQの二国間は元々貿易額が大きく、Sは他の国との貿易額が少ないことがわかります。
1999年と2019年の変化を見ると、RからQへの輸出が1999年から2019年にかけて増加している点が特徴的です。
そこで、4カ国の中から貿易が増えた組み合わせがどこかを考えます。
知識として知っていれば、RがオーストラリアでQが中国だと一発でわかります。
近年は中国の経済発展に伴い様々な物資の消費量が増えたため、資源輸出国であるオーストラリアから鉱物資源などの中国への輸出が増加しました。
正解:2
必要な知識:
・中国の経済発展に伴い鉱物資源の輸入量が増加し、その輸入元としてオーストラリアとの貿易が増加していること
問6日本企業の海外進出状況の変化
日本企業(製造業・非製造業別)の海外進出状況(現地法人数)の地図と国別円グラフと説明文を読み、適当ではない文を選ぶ問題です。
①「北アメリカよりもアジアに多く進出した」
各国の円グラフについて1999年と2019年の差分を比較すると、アジアの国々の方が現地法人数が増えています。
→正しい
②「アジアで非製造業の割合が高まった」
アジア各国の円グラフについて1999年と2019年を比較すると、たしかに非製造業の割合が高まっています。
→正しい
③「ソフトウェアや人工知能(AI)の開発に関わる企業が含まれる」
地図からはわかりませんが、常識的に考えて正しいはずです。
仮にこの選択肢が誤りであれば、北米に進出した日本企業の中にソフトウェアや人工知能(AI)の開発に関わる企業が1社たりとも存在しないということになります。
なぜなら、含まれない=1社たりとも存在しないことを意味するからです。
常識的にあり得るのかと考えると、考えづらいです。
④「進出先の工場において部品の生産から完成車の組立てまでを一貫して行っている」
①~③は知識ゼロで答えが出せるので自動的に④が誤りであることがわかります。
ちなみに、自動車産業は分業が進んでおり、部品を作る工場(会社)と車体を組み立てる工場(会社)が別々です。
そのため、1つの工場の中で部品の生産から完成者の組立てまでを一貫して行うことは考えづらいです。
正解:4
必要な知識:なし