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【共通テスト解説】2024 地理B 本試験 第5問

大学入試共通テスト(2024年 地理B 本試験 第5問)の解説ページです。

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問題と解答

共通テスト(2024年 地理B 本試験)の問題と解答のリンクです。
問題文のPDFは下記リンク先から入手し、図表や問題文を手元に置きながら解説(次項)を見て下さい。
リンク切れ対策のため複数サイトへリンクを貼っていますが、いずれも同一です。

入試速報トップ:福井新聞東進朝日新聞
問題:福井新聞東進朝日新聞
解答:福井新聞東進朝日新聞

試験日(2024年)から年数が経過している場合はリンク切れの可能性が高いため、下記サイトを利用して下さい。

過去問サイト:日本の学校中日進学ナビ

解説

第5問は地域調査(中国地方西部)に関する問題です。

問1立地と気候の違い

中国地方西部に位置する浜田市(日本海側)、広島市(瀬戸内海沿岸)、三次市(中国地方内陸部)について1月の日照時間と平均気温と都市の組み合わせを当てる問題です。

日照時間を見ると、「ア」が長く、「イ」と「ウ」が短いです。
冬の日本は日本海側で降水量が多く、太平洋側で降水量が少ないことから3都市の中で最も太平洋側に位置する広島市が「ア」であることがわかります。

次に平均気温を見ると、「ア」と「ウ」が高く、「イ」が低いです。
気温は標高が高いほど低くなるため、標高が高い中国山地に位置する三次市が気温が低い「イ」であることがわかります。

正解:5

必要知識:
・冬の日本海側と太平洋側の降水量の差
・気温の逓減率

問2 買い物等に伴う移動範囲(生活圏)

島根県西部の買い物等に伴う移動を表した地図から、買い物目的の組み合わせをを当てる問題です。
「カ」~「ク」が衣料品・身の回り品、娯楽・レジャー、食料品のいずれかです。

「カ」~「ク」の移動範囲を見ると、移動範囲が最も狭いのは「カ」であり、せいぜい隣町まです。
次が「ク」であり2つ隣の町まで移動しています。
最も移動範囲が大きいのは「キ」であり、県外の都市まで移動しています。

以上を踏まえ、衣料品・身の回り品、娯楽・レジャー、食料品のうち、買い物に伴う移動距離について考えていきます。

一番近くで買い物するのは食料品です。
週に何度も買い物するため、近くのスーパーやコンビニで済ませるはずです。
よって「カ」は食料品です。

最も遠くまで行くのは娯楽・レジャーです。
たとえば、東京ディズニーランドや大阪のUSJへ行くために遠くから何百キロもかけて移動する人は少なくないはずです。
よって「キ」は娯楽・レジャーです。

残った「ク」は消去法で衣料品・身の回り品です。
ユニクロやしまむらへ行く際には、近所のスーパーやコンビニよりも遠い場所まででかけると思います。
一方で、ユニクロやしまむらへ行くためだけに広島市のような大都市に行くという人は少ないはずです。

正解:6

必要知識:なし

問3 人口分布と施設までの距離

市内の人口分布を記載した地図と最寄り施設までの距離を人口比で調べたグラフが与えられており、地域と施設の組み合わせを当てる問題です。
純粋なグラフと地図の読み取り問題であり、知識ゼロで解答できます。

まず、XとYのどちらが「まちづくりセンター」であるか(もう一方はコンビニ)を考えます。
校区bとcでは、コンビニが1, 2箇所しか存在しない一方、まちづくりセンターは地域全体に分散して何箇所も立地しています。
コンビニがある箇所にはだいたいまちづくりセンターも立地しています。
以上から、コンビニよりもまちづくりセンターの方が施設への距離が短い人の割合が高いと考えられます。
よって、XとYを比較すると、Xは「サ」「シ」で施設から3 km以上の人口が目立つ一方、Yではほとんど存在しません。
よってまちづくりセンターはYであると考えられます。

次に「サ」と「シ」のどちらが校区bであるかを考えます。
グラフを見ると全体的に「シ」より「サ」もの方が施設への距離が近い人の割合が高いです。
そこで、校区bとcについて人口分布と施設の立地を見比べます。

校区bの人口分布を見ると、まちづくりセンターが無い場所にも一定の人口が存在することがわかります。
一方、校区cは細長いエリアであることも相まって、校区bよりもまちづくりセンターから離れた場所の人口が少ないように読み取れます。
以上から、校区bはまちづくりセンターからの距離が近い人口割合が低い「シ」であると判断できます。

正解:4

必要な知識:なし

問4 地形図と写真

地形図とその地図上のいくつかの地点の写真が与えられ、それらについての会話文の中から誤りを見つける問題です。

①「内湾のため、波が穏やかで船を安全に停泊させることができた」
地形図を見ると、確かに地点Eは陸地に囲まれた入り江の奥に立地していることがわかります。
→正しい

②「モータリゼーションに対応した大規模な再開発がされている」
地点Fの地形図を見ると、川沿いの平地であり、市役所がすぐそばにあることから市街地に位置していると思われます。
モータリゼーションに対応した場所(ショッピングモールなど)は一般的に都市郊外の幹線道路沿いなどの広い土地が確保できる場所に立地します。
写真を見ても狭い道路の両脇に家が立ち並ぶだけで「モータリゼーションに対応した」と思われる施設(広い幹線道路や駐車場など)は見当たりません。
→誤り

③「広い土地を造成するため、海を埋め立てて造られた」
地点G周辺では、陸地が海に突き出ており、海岸線が直線的です。
これは人工的に埋め立てられた場所と考えられます。
→正しい

④「高台にあり、切土や盛り土をして造成された」
地形図を見ると、地点Hには等高線が見当たりませんが、少し離れた場所に地点Hを囲むように等高線がたくさん引かれており、地点Hの標高が高いことがわかります。
また、細かく区画を区切るように長方形の形をした道路があることから人工的に整備した住宅地であると判断できます。
以上から、元々山であった場所を切土や盛り土をして平らに整備して、住宅地として開発したと推測できます。
→正しい

正解:2

必要な知識:
・モータリゼーションによって自家用車が普及したことで、広い土地を確保できる郊外に駐車場完備のお店(ロードサイド型店舗)が増加し、市街地の商店の来客が減ったこと

問5 江戸時代の商品流通

江戸時代の商品流通に関する文章の穴埋め問題です。
「タ」では、瀬戸内海・大阪から北海道・東北・北陸に向かう航路の途中で島根県浜田市に寄っています。
出発地が「瀬戸内海・大阪」なので、これらの地域の特産品が浜田に運ばてていたはずです。
選択肢は「砂糖・塩」と「米・昆布」です。
瀬戸内海沿岸で製塩が盛んであること(晴天が多い瀬戸内海型気候のため)、昆布は北海道など寒い地域でしか取れないことを知っていれば、「タ」は「砂糖・塩」であることがわかります。

次に浜田から東北・北陸地方への商品運搬手段が陸路と海路どちらであるかという問題です。
貨物の運搬は、陸路(人や馬)よりも海路(船)のほうが圧倒的に効率が良いです。
そのため、江戸時代のような自動車や鉄道が存在しない時代には、貨物輸送には船が使われていました。
浜田と東北・北陸の間は海が続いており、船を問題なく使えます。

そもそも論として、もし陸路で運搬するならば、瀬戸内海・大阪から北海道・東北・北陸に荷物を運ぶ際にわざわざ西に外れた浜田を経由するはずがありません(非常に遠回り)。
瀬戸内海や大阪から北陸方面へ船で荷物を運ぶときには、東西に長い本州を迂回する必要があります。
そのため、関門海峡経由の遠回りルートを取った結果、浜田が経由地になったわけです。
以上より、「チ」は知識ゼロで「海路」であることがわかります。

正解:3

必要な知識:
・瀬戸内海沿岸で製塩が盛んであること(晴天が多い瀬戸内海型気候のため)
・昆布は北海道などの寒い地域でしか取れない

問6 目的と手段の対応

目的と手段の対応を当てる問題です。
「P 地域文化に対する愛着の醸成」を目的としたときの具体的な取り組み内容を選びます。

答えは③「伝統行事の保存・継承に対する支援」です。
選択肢中で取り上げられた取り組み内容のうち、「地域文化」に最もよく対応するテーマは「伝統行事」だからです。

正解:3

必要な知識:なし

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