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家畜の畜産物の分類(肉・乳・毛皮・使役など)

世界各地で様々な家畜が飼育されていますが、その利用方法はある程度類似しています。
ここでは、家畜の利用方法(得られる畜産物など)を5パターン(肉、乳、毛皮、その他畜産物、使役)に分けて解説します。

肉(食用)

代表的な食肉である牛肉、豚肉、鶏肉。この3種類(鶏肉は鳥類の肉全体)で世界全体の食肉の9割以上を占める。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2023/12/30閲覧

食肉は代表的な家畜の利用法です。
動物の家畜化がはじまった初期の頃から、人間が生きていくための食料として家畜の肉を利用していました。
家畜を肥え太らせてから屠殺し、その肉を食料として利用します。
哺乳類の家畜の多くは肉として食べられますが、食用を主としてとして飼育される代表的な家畜としては、があります。
鶏に関しては肉だけではなく、メスが産む卵も食料や工業原料として利用します。

食肉としての家畜の利用については、以下のページで解説しています。

参考食肉用として飼育される家畜(肉用種・養豚・養鶏など)

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様々な乳製品。しぼりたてのミルクは腐敗しやすいため、保存性を高めるために様々な乳製品に加工される。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/1/13閲覧

出産後の家畜のメスの乳をしぼって得られたミルクもまた家畜から得られる重要な畜産物の一つです。
乳はその動物の赤ちゃんが生きるために必要な栄養の塊であり、人間にとっても重要な栄養源となります。
動物の出産時期には季節性があるためミルクが得られる時期は限られます。
その上、ミルクは栄養分豊富で腐敗しやすいため、バターチーズに加工して保存性を高めてから利用することも多いです。
人間に最も利用されているミルクは牛乳ですが、地域によっては他の動物のミルク(羊乳ヤギ乳馬乳ラクダ乳など)も利用されています。

家畜のミルクの利用については、次のページを参照して下さい。

参考家畜の乳の利用(乳用種)

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毛・皮

市場に並ぶアルパカの毛から作られた伝統的な衣服(エクアドル北部・オタバロ)。南米アンデス山脈の高原地帯で飼育されるアルパカの毛は良質な繊維原料であり、アンデス山脈の伝統的な衣服に使われている。出典:Wikimedia Commons, ©David Adam Kess, CC BY-SA 3.0, 2023/11/5閲覧

家畜の毛や皮衣服や材料としてつかわれます。
代表的な家畜としての毛用種があり、羊の毛を刈り取って集めた羊毛を繊維原料として衣服を生産します。
乾燥帯遊牧民に飼育される家畜であるラクダの毛は、乾燥帯では貴重な繊維原料として防寒着などに利用されます。
南米のアンデス山脈周辺では、アルパカの毛を原料として伝統的な衣服を生産します。
スカンジナビア半島北部に住むサーミ人などの先住民族は、トナカイの毛皮を加工して防寒具として使用します。

材料としては、牛の皮をなめして加工した牛革は財布や革靴などに利用されます。
先述のサーミ人はテント状の移動式住居の天幕にトナカイの皮を使用します。

トナカイの遊牧を行うサーミ人と移動式住居コタ(ノルウェー・北部地域、1900年頃に撮影)。テントの天幕にもトナカイの皮が活用されている。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2022/10/10閲覧

その他の畜産物

アメリカンビスケットに垂らした蜂蜜(はちみつ)。蜂蜜はセイヨウミツバチが集めた花の蜜を蜂の巣から取り出した食品である。セイヨウミツバチは蜂蜜を採取するために飼育される家畜である。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2024/1/22閲覧

その他の畜産物としては、以下の表にまとめました。
家畜は哺乳類に限らず、セイヨウミツバチやカイコガのような無脊椎動物も含まれます。
そのため、セイヨウミツバチから得られる蜂蜜(はちみつ)やカイコガから得られる絹糸も畜産物といえます。
また、家畜の臓器をすりつぶしてその成分(酵素など)を抽出して医薬品の原料として使われることもあります。

分類家畜畜産物製品例
食用セイヨウミツバチ蜂蜜蜂蜜
食用ニワトリ、ダチョウなどの鳥類鶏卵
油脂原料ウシ牛脂ラード、石鹸
繊維原料カイコガ絹糸絹織物
医薬品原料ブタなどの哺乳類酵素、糖類など医薬品
燃料ラクダヤク(乾燥させて燃料として使用)

使役

馬車による荷物の運搬(ハンガリー)。車輪を付けた馬車をウマに引かせることで荷物運搬や移動手段として歴史的に利用されてきた。近代に鉄道や自動車が発明・普及したことで馬車の利用は衰退していった。出典:Wikimedia Commons, ©zause01, CC BY 3.0, 2023/12/1閲覧

家畜に荷物を運ばせたり農作業に使うなどの作業をさせることを使役(しえき)といいます。

使役に使われる代表的な家畜としてがいます。
ユーラシア大陸内陸部では遊牧民が馬に乗馬して長距離を移動するのに使われました。
また、ヨーロッパでは馬車を引かせて大量の荷物や人員を運搬させるように使われていました。

他の動物の使役の例としては、ウシ水牛に農機具を引かせて田畑を耕すの利用されています。
高温多湿な環境に適応した家畜である水牛による使役はインド~東南アジアで見られます。
砂漠を横断する商人はラクダの背中に荷物を載せて移動します。
北極圏では冬季にトナカイにソリを引かせて移動します。
このように、地域によって様々な家畜が使役に利用されてきました。

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参考文献

家畜(かちく)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2024/1/22閲覧
地理用語研究会編「地理用語集第2版A・B共用」山川出版社(2019)
 ウィキペディア 2023/12/31閲覧
絵野沢 伸「医薬品の中にある動物由来物質の今」ドクターサロン 60(8) p14(574)-18(578) (2016)

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