気候 系統地理

地球上の低圧帯・高圧帯(熱帯収束帯・亜熱帯高圧帯・亜寒帯低圧帯・極高圧帯)

地球上では緯度に応じて日射量が異なるため、上昇気流や下降気流が発生しやすい緯度が存在します。
このため、ある緯度帯が同じように気圧が低く/高くなり、その地域の気候にも影響します。

このページでは、地球上に存在する低圧帯と高圧帯について解説します。

低圧帯と高圧帯

アフリカ大陸の衛星画像(2025/4/3)。地球上では緯線に沿って低圧帯・高圧帯が帯状に広がる。赤道低圧帯(熱帯収束帯)に位置するギニア湾周辺では、上昇気流が発生しやすく積乱雲が並ぶ。その北のサハラ砂漠は中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)の影響下にあり、下降気流が発生しやすく雲が少ない。その北のヨーロッパは高緯度低圧帯(亜寒帯低圧帯)に位置し、上昇気流が発生しやすく雲が並ぶ。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, ©EUMETSAT, 2026/3/7閲覧

低圧帯は気圧が低い場所、高圧帯は気圧が高い場所が緯線に沿って帯状に広がる領域です。
地球上では緯度に応じて太陽光が届く量である日射量が変わるため、緯度に応じて気圧が低い緯度や気圧が高い緯度が形成されます。
このため、南北の緯度と比べて気圧が低い低圧帯、気圧が高い高圧帯が緯線に沿って形成されます。
低圧帯や高圧帯は緯度に応じた日射量の違いに起因して形成されるため、北半球と南半球でおおよそ同じ緯度に低圧帯/高圧帯が形成されます。
ただし、実際の気象現象(雨が降るか等)は緯度だけではなく地形や季節変動の影響も大きく受けるため、海洋と大陸の分布などの影響を受けて、地域や季節によって低圧帯・高圧帯の位置が南北に変動します。

地球上の低圧帯・高圧帯

地球の断面図と大気大循環の模式図。円の内側の矢印は地表の風の向きであり、円の外側の矢印は地表と上空の大気の循環を示している。出典:Wikimedia Commons,, CC BY-SA 1.0, 2025/12/2閲覧

地球上の低圧帯としては熱帯収束帯(赤道低圧帯)亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯があり、高圧帯としては亜熱帯高圧帯中緯度高圧帯)極高圧帯があります。

赤道付近では日射量が多いため、空気が暖められて膨張して密度が低下するため気圧が低くなります。
このため、赤道付近では緯線に沿って帯状に気圧が低い熱帯収束帯(赤道低圧帯)が形成されます。

熱帯収束帯で上昇した空気は上空で高緯度側に移動し、次第に空気が冷えて重くなり、緯度30°付近で下降気流となって地表に降りてきます(ハドレー循環)。
このため、緯度30°付近では緯線に沿って帯状に気圧が高い亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)が形成されます。

一方、北極や南極では日射量が少なく、放射冷却により冷やされた空気は収縮して密度が増加して気圧が高くなります。
このため北極点や南極点付近では気圧が高い極高圧帯が形成されます。
極高圧帯では冷たく重い空気が地表に降りて下降気流が発生します。
上空から地表に降りた空気は低緯度側の地域に向かって吹いていき(極偏東風)、緯度60°付近で上昇して再び極方向へ戻っていきます(極循環)。
このため、緯度60°付近では緯線に沿って帯状に気圧が低い亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯が形成されます。

さらに、亜熱帯高圧帯が位置する緯度30°付近で下降気流亜寒帯低圧帯が位置する60°付近で上昇気流が発生するため、地表では緯度30°から60°に向かって風が吹きます(偏西風)。
このため、亜熱帯高圧帯と亜寒帯低圧帯の間にも大気の循環が発生し、フェレル循環と呼びます。
フェレル循環はハドレー循環と極循環によって引き起こされた見かけ上の循環(間接循環)です。

北半球の上空と地表の大気の循環の模式図。赤道から北極に向かって順に、ハドレー循環、フェレル循環、極循環が生じている。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2025/12/2閲覧

熱帯収束帯(赤道低圧帯)

熱帯収束帯(赤道低圧帯)上に帯状に並ぶ雲(東太平洋)。熱帯収束帯では、日射量が多く気温が暖められて膨張するため上昇気流が発生しやすい。このため、水蒸気が結露(凝結)して積乱雲(雨雲)が形成されやすい。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/7閲覧

熱帯収束帯(赤道低圧帯)は、赤道付近で緯線に沿って帯状に形成される低圧帯です。
収束帯は別方向から来た2つの風が水平にぶつかる帯状の領域を表す用語であり、熱帯収束帯では北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風がぶつかり、上昇気流が発生します。

季節によって日射量が最大となる緯度が変動するため、それに合わせて熱帯収束帯の位置も変動します。
北半球の夏には北半球側へ北上し、南半球の夏には南半球側へ南下します。
熱帯収束帯の位置は、日射量だけではなく大陸と海洋の分布などの地形要因も影響するため、完全には緯線に沿わず、場所によって南北に曲がりながら帯状に分布します。

熱帯収束帯(赤道低圧帯)の季節変動。熱帯収束帯は北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が収束し、上昇気流が発生しやすい場所である。おおむね赤道付近で緯線に沿って帯状に分布している。熱帯収束帯は日射量が最大となり気温が上昇しやすい場所で発生するため、7月は北半球側、1月は南半球側に移動する。陸地の方が暖まりやすいため陸地(大陸)に沿うように曲がりながら分布している。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/7閲覧

亜熱帯高圧帯中緯度高圧帯)

中東~インド~東南アジアにかけての衛星画像。北緯30°付近の緯度帯は亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)の影響下にあり、赤道低圧帯から上空を移動してきた大気が冷やされて下降気流が発生するため、観測した気候になりやすい。大陸西岸の北アフリカやアラビア半島では大規模な亜熱帯砂漠が広がる。一方、季節風(モンスーン)の影響を受けるインドや東南アジア(インドシナ半島)では雨季が存在するサバナ気候(Aw)を呈する。出典を加工して作成。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/7閲覧

亜熱帯高圧帯中緯度高圧帯)は、緯度30°付近(回帰線付近)で緯線に沿って帯状に形成される高圧帯です。
下降気流が発生するため、地表ではこの高圧帯から熱帯収束帯(赤道低圧帯)に向けて貿易風が吹き出し、亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)に向かって偏西風が吹き出します。

熱帯収束帯で上昇した大気が移動し、次第に冷やされて圧縮して重くなった大気が地表に降りる場所が亜熱帯高圧帯です。
下降気流が発生するため雨雲ができづらく、乾燥した気候になりやすい場所です。
大陸西岸ではこの高圧帯の影響を受けた大規模な亜熱帯砂漠(中緯度砂漠)が見られます(例:サハラ砂漠、アラビア砂漠)。
一方で大陸東岸では季節風(モンスーン)の影響で夏季に海風が吹き込むため砂漠は形成されず、サバナ気候(Aw)が広がります(例:インド、東南アジアのインドシナ半島)。

亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)

ヨーロッパ周辺の衛星画像(20205/8/8)。緯度60°付近(スカンジナビア半島南部)は亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)の影響下にあり、上昇気流が発生して雲が発生しやすい。緯度30°付近(サハラ砂漠)は、亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)の影響下にあり、下降気流が発生しやすく雲が少ない様子とは対照的である。出典:NASA Worldview 2026/3/7閲覧 

亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)は、緯度60°付近で緯線に沿って帯状に形成される低圧帯です。
極高圧帯下降気流によって地表に降りてきた大気が地表が低緯度側に向かって吹いていき(極偏東風)、緯度60°付近で上昇気流が発生して上空に戻ります(極循環)。

亜寒帯低圧帯では、亜熱帯高圧帯中緯度高圧帯)からの温暖な偏西風極高圧帯からの寒冷な極偏東風とが収束します。
温かい空気(気団)と冷たい空気(気団)がぶつかって前線が形成されるため、大気の状態が不安定になりやすく、低気圧が発生して悪天候になりやすい場所です。

極高圧帯

極高圧帯は、北極や南極で形成される高圧帯です。
極地は日射量が少なく気温が低いため上昇気流が発生しづらく、放射冷却により冷やされた上空の大気が重くなって地表に降りてくるため下降気流が発生します。
地表に降りてきた大気は亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)に向かって吹く極偏東風となります。

南極大陸は気温が低いため氷に覆われていますが、極高圧帯の影響下にあるため降水量が極めて少なく、年間降水量が200mm以下です。
ケッペンの気候区分では降水量よりも気温を優先して分類するため砂漠気候(BW)には分類されませんが、降水量の少なさから極地砂漠と呼ばれています。

表面が凍結したフリクセル湖(南極大陸・マクマード乾燥谷)。南極大陸は極高圧帯の影響下にあり降水が少なく、気温が低いため氷河や湖の水の蒸発も非常に少なく、非常に乾燥した気候になる。加えて、フリクセル湖周辺は南極横断山脈(トランスアンタークティック山脈)の谷に位置し、周辺の山から吹き下ろす滑降風(カタバティック風)が気温上昇を引き起こすため、氷雪が溶けて地面が露出し、雪も降らずに地面が見える状態となっている。出典:Wikimedia Commons, Public domain, 2026/3/7閲覧

参考文献

地理用語研究会編「地理用語集」山川出版社(2024)
低圧帯(テイアツタイ)とは?  コトバンク デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、最新 地学事典 2026/3/6閲覧
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大気大循環とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、百科事典マイペディア、世界大百科事典 第2版 2021/1/22閲覧
大気還流とは コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2021/1/22閲覧
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大気大循環 ウィキペディア 2021/1/22閲覧
大気大循環とジェット気流 羽田空港 WEATHER TOPICS 東京航空地方気象台 32(2013)
熱帯収束帯とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、百科事典マイペディア、世界大百科事典 第2版 2026/3/7閲覧
収束帯(シュウソクタイ)とは? コトバンク デジタル大辞泉 2026/3/8閲覧
亜熱帯高圧帯とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/3/7閲覧
ハドレー循環とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、デジタル大辞泉、法則の辞典 2026/3/7閲覧
極高圧帯とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2026/3/7閲覧
極高圧帯 ウィキペディア 2021/1/23閲覧
極循環とは コトバンク デジタル大辞泉 2026/3/7閲覧
亜寒帯低圧帯とは コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、デジタル大辞泉 2026/3/7閲覧
Polar Deserts Sand-boarding.com 2026/3/7閲覧
Lake Fryxell, Wikipedia 2026/3/7閲覧
J. G. Bockheim "Landform and Soil Development in the McMurdo Dry Valleys, Antarctica: A Regional Synthesis" Arct. Antarct. Alp. Res., 34(3) p308-317 (2018)

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