料理に香辛料を加えることで、香りや辛味などをつけることができ、食欲増進や味の改善につながります。
香辛料は産地が限られるため、15世紀末以降の大航海時代にはヨーロッパ人が香辛料を求めてアジアまでやってきて交易を行った歴史があります。
ここでは、香辛料についてまとめ、大航海時代にヨーロッパで重宝されたコショウ、ナツメグ、クローブについて紹介します。
香辛料とは
香辛料は、調理の際に食材の香りづけや辛味づけに使われる植物由来の調味料です。
香辛料の多くは植物の一部を乾燥させたもので、保存性が高い調味料です。
植物の茎や葉、花などを使う場合はハーブ、それ以外の部位を使う場合はスパイスとよばれます。
ハーブの例としては、セロリ、ニラ、ハッカ、ローズマリー、ペパーミント、レモングラスなどがあります。
スパイスの例としては、ニンニク、ショウガ(生姜)、トウガラシ(唐辛子)、コショウ(胡椒)、ナツメグ、クローブなどがあります。
香辛料は熱帯や亜熱帯地域原産のものが多いですが、北海道でも栽培可能なハッカなど例外もあります。
香辛料には独特の香りや辛味などがあるため、食欲増進や疲労回復などの効果を期待して薬として使われていました。
ヨーロッパでは熱帯原産の香辛料を栽培することができないため、中世ヨーロッパでは交易によりコショウなどを入手していました。
しかし、産地が遠いためベネチア(都市国家、現イタリア北東部)や中東の商人を介した交易になます。
産地のインドからヨーロッパに渡る間に何人もの商人が間に入って売買するため、そのたびに手数料が上乗せされ、末端のヨーロッパでの非常に高価格になります。
そこで15世紀末以降の大航海時代には、香辛料の産地であるインドやモルッカ諸島(マルク諸島、インドネシア東部)などに拠点を築き、直接交易をするようになりました。
その後、ヨーロッパ諸国は徐々に現地での勢力を広げ、植民地を築いていくことになります。
様々な香辛料
産地が限られる香辛料は、交易商品として歴史的に重要な役割を果たしてきました。
15世紀末以降の大航海時代には、ヨーロッパ各国がコショウなどの香辛料を求めてアジアに進出しました。
以下では、大航海時代に重要な交易商品であったコショウ、ナツメグ、クローブについてまとめています。
コショウ(胡椒)
コショウはインド原産の香辛料です。
樹木作物であり、現在ではベトナム、ブラジル、インドネシアなどの熱帯地域で広く栽培されています。
コショウの果実には強い香りと辛味があり、乾燥させた果実を調味料として肉料理などに使用します。
古代からインドの主要な輸出品であり、中東のイスラム商人やベネチア(現イタリア北東部、地中海交易を担ったイタリアの都市国家)の商人を介してヨーロッパまでもたらされました。
肉料理と相性が良いコショウはヨーロッパでも需要が高かったですが、産地と直接交易できないため非常に高価でした。
そのため、15世紀末以降の大航海時代にはポルトガルなどのヨーロッパ各国が船を出して原産地と直接交易するようになりました。
コショウの交易は当初莫大な利益をもたらしましたが、次第に供給源が増えてコショウの価格は低下し、庶民にも広く調味料として利用されるようになりました。
ナツメグ
ナツメグはインドネシア東部のモルッカ諸島(マルク諸島)原産の香辛料です。
ニクズクという樹木の種子を挽いて製造します。
現在では原産国のインドネシアに加えて、インドや中米のグアテマラなどの熱帯地域で栽培されています。
ナツメグは強い香りとほのかな甘味を有する香辛料です。
そのため、ヨーロッパではジャガイモ料理や焼き菓子にも使われます。
クローブ(チョウジ)
クローブ(チョウジ、丁子、丁字)はインドネシア東部のモルッカ諸島(マルク諸島)原産の香辛料です。
チョウジノキという樹木の花の蕾(つぼみ)を乾燥させて使用します。
乾燥させた蕾が「丁」の字のような形であることから日本ではチョウジとよばれています(クローブは英語の音訳です)。
インドネシア原産ですが、現在ではタンザニアのザンジバル諸島やマダガスカル、タンザニア、スリランカ、コモロなどのインド洋の島国でも栽培されています。
用途としては、肉料理やカレーの臭みを消したり、菓子やドリンクの香りづけにも使われます。
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参考文献
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香辛料とは 全日本スパイス協会 2023/6/8閲覧
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Clove, Wikipedia 2023/6/10閲覧
クローブを使いこなそう!ミニ講座&おすすめレシピ エスビー食品株式会社 2023/6/10閲覧