南米のアンデス山脈の標高が高い地域では、気温が低すぎて農業ができない代わりにアルパカとリャマ(ラマ)の牧畜が伝統的に行われてきました。
このページでは、アンデス山脈の伝統的な家畜であるアルパカとリャマについてまとめます。
【家畜:牛(乳用種・肉用種)・水牛/ヤク・羊・ヤギ・アルパカ/リャマ・ラクダ・トナカイ・馬・豚・ニワトリ】
アンデス山脈の家畜
南米のアンデス山脈は標高が高く(6,000m級)、おおむね標高4,000m以上(緯度により異なる)の地域では気温が低く乾燥しているため農業ができません(高山気候)。
そのため、代わりにアルパカやリャマ(ラマ)といった家畜を飼育する牧畜が伝統的に行われてきました。
アルパカとリャマに共通する特徴
1.南米原産・アンデス山脈の家畜
現在、世界中で飼育されている家畜の大部分(牛、羊、ヤギ、馬など)はユーラシア大陸が原産地であるのに対し、リャマとアルパカはいずれも南米原産の家畜です。
リャマとアルパカは標高が高い環境に適応しているため、現在でもアンデス山脈中央部の標高が高い地域(4,000m)で飼育されています。
一方、それ以外の平地ではほとんど飼育されていません。
これは、ヒマラヤ山脈周辺で飼育されるヤクと同様です。
2.反芻動物
アルパカとリャマはいずれも反芻(はんすう)動物です。
反芻とは、一度胃で消化した草を口の中に戻し、よく噛んだ後に再び飲みこむことで草を消化しやすくする行為です。
反芻動物の胃の中には草(セルロース)を分解してエネルギーを取り出すことができる微生物がいるため、人間がエネルギーとして利用できない草を食べて生きることができます。
草を食べるアルパカやリャマは人間と食べ物が競合しないため、家畜として好都合な動物です。
アルパカ
アルパカはラクダ科の動物で、南米のアンデス山脈の3,500-5,000mの草原地帯で家畜として飼育されています。
家畜としてのアルパカは主に毛を取るために飼育されています。
アルパカの毛はやわらかくて絹のような光沢があり、耐久性にも優れます。
そのため、良質な繊維原料として衣服やカーペットの原料として利用されています。
リャマ
リャマ(ラマ)はアルパカと同じラクダ科の動物で、南米のアンデス山脈の高原で家畜として飼育されています。
リャマは高原地帯の荒地でも生きることができるため、標高が高すぎて農業が難しい地域で家畜として重宝されています。
主な用途としては、荷物の運搬用(使役)、毛(織物原料)や皮(履物原料)の採取用などです。
標高が高い地域では燃料用の樹木が不足するため、リャマの糞が燃料として利用されています。
アルパカとリャマの違い
アルパカとリャマは同じラクダ科の別の動物です。
アルパカよりもリャマの方が体格が大きいなどいくつかの違いはありますが個体差も大きく写真から違いを判別するのは難しいです。
両者の主な違いを以下の表にまとめます。
表 アルパカとリャマ(ラマ)の違い
特徴 | アルパカ | リャマ(ラマ) |
体長(横の長さ) | 150-175cm | 150-200cm |
体高(背の高さ) | 80-90cm | 100-125cm |
体重 | 50-70kg | 130-200kg |
耳の形 | 先端が丸くて短い耳 | 先端が尖った長い耳 |
頭部の毛 | 長い毛 | 短い毛 |
しっぽ | 根元が下がっている | 根元が上がっている |
性格 | 臆病だが好奇心旺盛 | 穏やかで人になれる |
家畜としての用途 | 毛 | 使役、皮、毛など |
出典:【徹底比較】ラマ(リャマ)とアルパカの違いについて アルパカタウンブログ 2023/11/5閲覧
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参考文献
地理用語研究会編「地理用語集第2版A・B共用」山川出版社(2019)
アンデス山脈 ウィキペディア 2023/10/14閲覧
アルパカ(あるぱか)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2023/10/14閲覧
アルパカ ウィキペディア 2023/11/5閲覧
Alpaca fiber, Wikipedia 2023/11/5閲覧
リャマ ウィキペディア 2023/10/14閲覧
ラマ(らま)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2023/10/14閲覧
ラグナ・コロラダ ウィキペディア 2023/10/14閲覧
【徹底比較】ラマ(リャマ)とアルパカの違いについて アルパカタウンブログ 2023/11/5閲覧