トナカイは北極圏周辺に生息する寒さに強い草食動物です。
寒冷な気候の北極圏周辺では農業が難しいため、トナカイを家畜として利用しています。
このページでは、家畜としてのトナカイの概要についてまとめます。
【家畜:牛(乳用種・肉用種)・水牛/ヤク・羊・ヤギ・アルパカ/リャマ・ラクダ・トナカイ・馬・豚・ニワトリ】
目次
トナカイの特徴
トナカイはシカ科トナカイ属の動物で、北極圏周辺の寒冷な地域に生息する寒さに強い草食動物です。
生息域にあたる北極圏周辺は寒冷な気候(亜寒帯や寒帯)なので、防寒機能に優れた毛皮や雪道を歩くために大きなひづめをもつなど寒冷地に適応しています。
主なエサは地衣類(ちいるい)や蘚苔類(せんたいるい)(いわゆるコケ)ですが、キノコや魚、小鳥の卵なども食べます。
ウシ(牛)やヒツジ(羊)と同様に反芻動物であるため、草から効率よくエネルギーを取り出すことができます。
トナカイの生息域
トナカイの生息域は、米国のアラスカ州~カナダ、グリーンランド、スカンジナビア半島北部~ロシア北部~シベリア~樺太です。
特に北米に生息するものはカリブーと呼ばれています(上の地図の緑色の分布)。
家畜としてのトナカイと畜産物
北極圏周辺は寒冷な気候で農業が難しいため、伝統的に狩猟やトナカイの遊牧が行われてきました。
トナカイの狩猟は原始時代から行われきましたが、紀元前2000年以降に北ヨーロッパやシベリアでトナカイが家畜として飼育されるようになりました。
北米では長年カリブー(北米のトナカイ)は狩猟対象であり家畜化されていませんでしたが、近年ではヨーロッパの影響でカリブーも家畜化されるようになりました。
以下では、トナカイの畜産物や使役について画像とともに紹介します。
トナカイの使役(ソリ)
北極圏周辺は冬季の積雪により移動が困難になるため、トナカイにソリを引かせて雪道を移動します。
人間が積雪の上を歩くと体重で沈んでしまいますが、トナカイは雪の上でも走行できるため、トナカイにそりを引かせて荷物を運ばせたり人間が移動するために使われています。
サンタクロースのソリを引く動物としても知られています(1823年に米国で発表された児童向けの詩「クリスマスのまえのばん」の影響により広まった伝承)。
食料としての利用(トナカイの乳・肉)
家畜のトナカイを屠殺したり、野生のトナカイを狩猟することでトナカイの肉を得ることができます。
動植物が限られる北極圏周辺では貴重な食料であり、トナカイの肉は北極圏周辺の人々にとって伝統的な食べ物です。
北ヨーロッパやシベリアではトナカイを家畜として飼育されているため、肉だけではなく乳も利用されます。
材料としての利用(毛皮・骨)
寒冷地に適応したトナカイの毛皮は優れた防寒着になります。
トナカイの皮は防寒に優れた衣服として利用されるほか、遊牧民の移動式テントの天幕の材料としても利用されます。
また、骨や角は道具として利用されます。
北極圏周辺のような寒冷地では動植物が限られるため、食料に限らず人間の生活に必要な資源の多くをトナカイに依存しています。
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参考文献
地理用語研究会編「地理用語集第2版A・B共用」山川出版社(2019)
トナカイ ウィキペディア 2023/11/30閲覧
トナカイ(となかい)とは? コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 2023/11/30閲覧
トナカイ 釧路市動物園 2023/11/30閲覧
Reindeer, Wikipedia 2023/11/30閲覧
クリスマスのまえのばん ウィキペディア 2023/11/30閲覧